[CML 040423] IK改憲重要情報(112)

河内 謙策 kenkawauchi at nifty.com
2015年 11月 1日 (日) 18:24:33 JST


IK改憲重要情報(112)[2015年10月29日]

私たちは、内外の改憲をめぐる動きと9条改憲反対運動についての情報を発信しま
す。(この情報を重複して受け取られた方は失礼をお許しください。転載・転送は自
由です。)

弁護士 市川守弘、弁護士 河内謙策

連絡先:〒170-0005東京都豊島区南大塚3-4-4-203 河内謙策法律事務所電話
03-6914-3844,FAX03-6914-3884

河内が参加している「南シナ海問題署名運動」のサイトは以下のとおりです。
http://www.southcs.org/
___________________
 (以下の見解は、河内個人の見解です。市川の見解は、必ずしも河内の見解と同一
ではありません。御理解のほど、よろしくお願い申し上げます。)

     最近の中国本から

 南シナ海の緊張状態は続いていますが、ここで、今回の事態との関連で、中国をど
うみるか、を考えてみたいと思います。考える材料は、最近、私が読書した中国問題
の本(以下「中国本」と言います)です。

*宮崎正弘「「中国の終わり」にいよいよ備え始めた世界」徳間書店

 この本は、宮崎正弘氏の世界を飛び回って得た情報がぎっしりと詰まっている面白
い本ですが、その宮崎氏が次のように述べています(同書226頁)。
「中国は通常兵器による戦争では米国とそれに連合する国々との戦争に勝つ自信もな
く、口では大げさな喇叭を吹いても実際の戦争を忌避する。その代り、どんな手段を
講じても、卑怯と言われようが、インチキと痛罵されようが、テロ、化学兵器、細菌
兵器、毒ガスばかりか、緒戦のリードのためにハッカーによる敵ネットワークの寸
断、偽情報や指令といった攪乱陽動情報を敵の指揮系統へ送り込み、相手のホーム
ページを破壊する練習を日々実施している。」
 実際の戦争を回避するという宮崎氏の予想は、今のところ、的中しています。
 立派な分析です。

*渡邉哲也「余命半年の中国経済」ビジネス社
 今回の、米国と戦争をせず白旗をあげるという習近平の決断については、最後まで
貫かれるかどうかは、まだ不確実ですが、その決断の背後に中国経済の深刻な実情が
あったことは間違いないと思います。つまり、「現在の中国経済に戦争をささえる経
済的力はないし、ここで、もし負けることが有れば中国経済は完全に崩壊する。だか
ら、ここでは我慢して、いつか中国経済をたてなおして復讐したほうがよい」と習近
平が判断したのだと思います。
 渡邉哲也氏の本は、深刻な中国経済を
鋭く分析しています。渡邉哲也氏の分析の結論は、次の一行に示されています(同書
219頁)。
「バブルが崩壊後、実体経済への影響が顕著化するまでに約6か月から8か月かかる
といわれている。もう残された時間はわずかである。」
 余命「半年」かどうかは別として、
経済の連鎖、とくに金融経済と実体経済の連鎖、に着眼したのは、素晴らしいと思い
ます。言われてみれば「コロンブスの卵」ですが、この方法論があることによって、
これでもか、これでもか、と中国経済の深刻な実情を羅列する多くの本を圧倒的に抜
き去っているのです。

*石平「暴走を始めた中国2億6000万人の現代流民」講談社

 私は、今から50年前には、日本の民衆と中国の民衆の連帯が新しいアジアを作って
いくことを素朴に信じていました。そのような事態は将来に来るかもしれませんが、
現在においては、残念ながらほど遠い事態と言わざるをえません。
 石平氏は、現在の中国を変革する主体を、農村戸籍を持ちながら、都市で下ずみの
労働をしている農民工=現代流民に求めています。そして、農民工による犯罪が大き
な社会問題になっていること、その主役が10代、20代の若者たちであることに注目し
ています。その数は、約2億6000万人と言われています。
 農民工が、そのまま中国の変革主体になるとは考えられませんが、その中から、
日本の市民と連帯する人びとが生まれることを私は、信じていきたいとおもいます。

*麻生川静男「本当に残酷な中国史」角川SSC新書

 私は多くの人に、戦後のケナンのX論文に匹敵する名著として、マイケル・ピルズ
ベリー「China 2049」(日経BP社)の一読を勧めています。私のとっては、書
いてあることは、だいたい私の「想定内」だったのですが、「想定外」だったことが
一つあります。それは、中国の共産党、人民解放軍、国家機関のリーダーたちが、中
国の古典を熟読研究し、中国の古典に基づいて、自己の行動を決めていることでし
た。
 中国のリーダーたちが古典を利用しているのでなく、古典にもとづいて自己形成
し、古典に基づいて思考しているようなのです。
 あまり良い適切な比喩でないかも知りませんが、現代人が古典を利用しているので
なく、江戸時代の人間が現代に生きて、古典に基づいて発言し・思考しているように
見えるのです。
 もし、そうだとすれば、大変なことです。
 私は、前から、この疑問をもっていました。たとえば、中国人にはウェストファリ
ア条約以降の近代法的な国境の観念がありません。彼らの意識は、彼らの勢力が及ぶ
ところが国境であり、したがって、国境は伸び縮みするものなのです。
南シナ海問題で、南シナ海全体が中国の
領海であるという主張の根底に、この国境観念があると考えれば、中国の主張は分か
りやすくなります。
 中国人の意識構造というのは大問題ですから、結論を急がず、今後も、もう少しか
んがえていきたいと思います。
 麻生川静男氏は、工学博士です。麻生川氏は、豊富な経験と研究に基づいて次のよ
うに断言するので、私は注目したのです(同書26頁)。
「中国の政治や社会は表面だけをみて、近代民主主義的な価値観から判断しても正し
く理解できない。中国の政治や社会を動かしている根本理念は彼らの伝統的な価値観
であるのだ。」

 私が、このような本を推薦すると、「なぜ河内は右派の本ばかり推薦するのか」と
いう人がいます。しかし、私に見落としの可能性はありますが、左派の人から本格的
な現実の中国分析・研究の本は出版されていないのが現状です。それが10年以上続い
ています。左派の多くの研究者や理論家は、自分に都合の悪いことは沈黙を守ってい
るのです。彼らは、自分が沈黙を守るだけでなく、自分に都合の悪いことは黙ってい
ればよいのだという悪習・処世術を、日本の民衆運動に広めることに貢献していま
す。それが、どれだけ日本の民衆運動の戦闘性を弱め、国民の信頼を喪失させている
か、計り知れないものがあると思います。
_________________
            以上

 




CML メーリングリストの案内