[CML 037567] 今日の言葉 ――湯川さんと後藤さんの殺害テロ事件の検証報告書には「ふたりの命を守ることができたか」という最も重要な問いが抜けている

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2015年 5月 24日 (日) 18:32:24 JST


■今日の言葉 ――湯川さんと後藤さんの殺害テロ事件の検証報告書には「ふたりの命を守ることができたか」という最も重要
な問いが抜けている(弊ブログ 2015年4月24日)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1301.html

【邦人殺害テロ事件の検証報告書について】
平成27年5月21日、邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会が検証報告書を公表した(略)この報告書には最も重要
な問いが抜けている。ふたりの命を守ることができたか、という問いだ。第1段階の(1)で、邦人の渡航を防ぐことはできなかっ
たかという問題設定をしているが、これとはちがう。渡航してしまったふたり命を守ることはできなかったかという問いは、別問
題だ。常岡浩介氏と中田考・元同志社大学客員教授が、イスラム国から連絡を受けて、湯川遙菜氏の命を救うためにイスラム
国へ行こうとしていたときに、警視庁公安部外事三課が渡航を妨害したことに全く言及していない。したがってこの点の評価も
ない。この報告書は、政府の主体的行動に焦点をあてて検討している構成になっているので、常岡氏や中田氏の行動は登場
する余地がないのだろう。しかし、ふたりの命を守ることが出来たかという問いについて、主語は政府だけである必要はない。
報告書では、情報収集についてではあるが、「本事件のように非国家主体が主として関わる事案については、政府による外国
政府諸機関との関係を中心とした情報収集によって得られる情報には自ずと限界があることから、日本側の民間の個人や団
体の有する情報をより積極的に聴取し対処策に活かす手法も、今後検討されるべきであるとの意見も示された。」(8頁)と指
摘している。本件のように政府間交渉ができない事案では、「日本側の民間の個人や団体の有する情報をより積極的に聴取
し対処策に活かす手法」が重要なのである。これを常岡氏や中田氏に当てはめるなら、彼らの協力を得ることによってこそ、
政府は湯川氏の命を守ることができたかもしれない。彼らがイスラム国で生命の危険に晒されるおそれが小さければ、彼らが
イスラム国に渡航して湯川氏の処刑を回避できたかもしれない。そういう形の協力もあったのではないか。報告書では、後藤
氏の渡航目的は不明のようである。湯川氏救出が目的であれば、常岡氏や中田氏が行動することで、後藤氏はイスラム国へ
行く必要がなくなり、命を奪われることにはならなかった。(弁護士清水勉のブログ 
2015-05-23)

*昨日のTBS報道特集「独自検証!イスラム国事件」 (動画)添付

■今日の言葉~車谷長吉の死 ――「泥の粥」をすすって生きるような「世捨て」の時代だ。この経験がなければ「物書きという無
能(ならず)者」にはなっていなかった。(弊ブログ 2015年4月20日未掲載分)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1300.html

【任俠の世界に属する人の匂い】
修行僧のような風情と言われることもあるが、失礼ながら筆者は任俠の世界に属する人の匂いを感じてしまった。作家の車谷
長吉さんが文壇に登場した時に受けた印象である。ごく短い髪、鋭い目、こけた頰に、どこか捨て身な気配が漂っていた。30
代の大半、関西を転々として過ごした。料理場の下働きなどをしたが、極貧だった。「泥の粥」をすすって生きるような「世捨て」
の時代だ。この経験がなければ「物書きという無能(ならず)者」にはなっていなかったと振り返っている。金貸し一族の物語
「鹽壺の匙」を表題作とする作品集で三島由紀夫賞を受けた。時に47歳。自分自身の骨身に染みたことを、骨身に染みた言
葉だけで書く。反時代的と言われようが、私(わたくし)小説でおのれの存在の根源を問い、代表作の『赤目四十八瀧心中未遂』
に結実させた。変人といっていいのだろう。「私は原則としてズボンの前を閉めない」と書いている。原則、の2文字がなんとも
おかしい。48歳の時に結婚した詩人の高橋順子さんから「卦(け)ッ体(たい)な人」と呼ばれたのも無理もない。本紙「悩みの
るつぼ」の回答者としても異彩を放った。小説を書きたいという相談に、善人には書けないと答えた。作家は、人に備わる「偽、
悪、醜」を考えなければいけないのだから、と。それは車谷さんの自負だったろう。5年ほど前に書いたエッセーに「あと数年で
死のときが来るので、その日が待ち遠しい」とある。予感があったのだろうか。69歳での旅立ちだった。
(天声人語 2015年5月20日)


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



CML メーリングリストの案内