[CML 038174] 【京都新聞・社説:沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない】自民の報道批判 民主主義脅かす暴論だ
uchitomi makoto
muchitomi at hotmail.com
2015年 6月 28日 (日) 16:32:59 JST
【京都新聞・社説:沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない】自民の報道批判 民主主義脅かす暴論だ
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20150628_2.html
安倍晋三首相に近い自民党若手議員の勉強会で、安全保障法制に批判的な報道機関を威圧するような発言が相次いだ。
議員からは「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ。文化人、民間人が経団連に働き掛けてほしい」「(沖縄のメディアは)左翼勢力に完全に乗っ取られている」といった声が上がった。
加えて、講師に招かれた作家の百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」「米兵よりも、沖縄県自身が起こしたレイプ犯罪の方が、はるかに率が高い」などと述べた。
民主主義の根幹を成す「言論・報道の自由」を否定し、県民を侮辱する暴言、暴論である。私的な勉強会とはいえ、これが国民の負託を受けた国会議員らの発言かと耳を疑う。
沖縄の新聞社の「沖縄タイムス」と「琉球新報」は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設や、集団的自衛権の行使容認を含む安保関連法案に批判的な論陣を張る。政府・与党は苦々しく思っているのだろう。
だが、両紙の主張は県知事選や衆院選などで示された民意に沿っている。そんな地元の声と真剣に向き合おうとせず、政権に批判的な世論を生んだ責任を報道機関に転嫁しようとする考えは筋違いだ。
両紙は編集局長の連名で「(政権に)批判的だからつぶすべきだ−という短絡的な発想は極めて危険」とする共同抗議声明を発表した。当然だろう。
安倍首相は「報道の自由を尊重するのが政権、自民党の立場だ」という。ならば党として若手議員の問題発言をしっかりと検証すべきだ。勉強会代表の党青年局長や発言者の処分だけで済ませてはならない。
そもそも報道への圧力の下地をつくったのは首相自身だ。
昨年11月、衆院解散表明の直後に出演した報道番組で、アベノミクスに批判的な街の声の紹介に対し「(実態が)反映されていない」と注文を付けた。
以降、自民は在京テレビ各局に公正な衆院選報道を求める文書を出し、元官僚が報道番組降板をめぐって官邸を批判したテレビ朝日と、報道番組で「やらせ」が指摘されたNHKの幹部を呼んで事情を聴いた。
いずれも行き過ぎた政治介入であり、とても報道の自由を尊重しているとは言い難い。
自民は報道機関だけでなく、党内の締め付けも強める。
問題の勉強会とは別に、リベラル系議員が安保関連の勉強会を計画していたが、党幹部が「安保法案に批判的な講師を呼べば、衆院での審議に影響する」と警告し、中止となった。
党執行部が、テレビ番組への出演に際して事前報告の徹底を指示したのも、安保法案に批判的な発言をしないようくぎを刺しておく狙いだろう。
異論を封じ込めようとする点は、若手議員の今回の発言とも通じ合う。多様な言論が封じられ、破滅へと向かった戦前・戦中の歴史を思い起こしたい。
独善的な「1強」のおごりが若手議員の強圧的な発言を許していないか。政府・自民に猛省を促したい。
[京都新聞 2015年06月28日掲載]
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