[CML 038024] 今日の言葉 ――ここまで強い拒否感があるのか。翌日はスーチーさんの誕生日で日本にいるすべての民主化支持勢力が集まるがそこに「ロヒンギャ」が来るなら僕は行かないとまで言った。
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2015年 6月 21日 (日) 20:42:39 JST
【ここまで強い拒否感があるのか】
きょうは難民の日。ロヒンギャ問題がニュースになっている。(略)1990年代はじめ、バングラデシュに逃げてくるロヒンギャを
取材したことがある。避難民が到着するところを撮りたいと海岸でカメラを持って待ち構えていた。はたして、ちょうどよく、そ
んなシーンに出会えるのか不安だったが、それは杞憂だった。避難民を満載した船が、次から次へとやってきて、ロヒンギャ
の人々と家財道具を浜辺に下ろしては、また新たな避難民を乗せるために沖へと戻っていく。近くの空き地や丘は、イスラム
諸国が配ったテントで覆われていた。このロヒンギャ難民問題を、当時の国際社会は、ビルマの軍事政権による民族抑圧の
一つと理解していた。すなわち、最大多数のビルマ族以外の、カレン族、カチン族、シャン族などと同列の被害者だと。私も
はじめ、そう思っていたのだが、取材するうち、「ちょっと違うぞ」と感じてきた。ビルマ族だけでなく、他の諸民族も、ロヒンギャ
をビルマという国を構成する民族だとは考えていないのだ。「ロヒンギャ」という言葉を使うことさえ拒否している。英国の植民
地時代にバングラデシュから流れこんだベンガル人の不法移民にずぎないというのだ。(略)
日本には、軍政下での抑圧を逃れたさまざまな民族のビルマ人が住んでいるが、3年前、私はロヒンギャの居住する西端の
ラカイン州の主要民族、アラカン族の若い男性と知り合いになった。彼は、私の仕事を知ると、ロヒンギャの悲劇にばかり注
目するメディアの偏向報道を批判した。いわゆるロヒンギャなる人々は、ビルマへの違法越境者であるにもかかわらず、ど
んどん人口が増え、アラカン族を圧迫している。先祖から受け継いできた土地も彼らに奪われ、仏教寺院は破壊された。「わ
れわれアラカン族こそ被害者だ」と最後には涙まで流して切々と訴える。その翌日は、スーチーさんの誕生日で、日本にいる
すべての民主化支持勢力が集まるが、そこに「ロヒンギャ」が来るなら、僕は行かない、とまで言う。彼と一緒にいたシャン人
の女性も、「ロヒンギャ」はともにビルマ民主化を闘う仲間ではないときっぱり言った。ここまで強い拒否感があるのかと、とて
も驚いた。(略)
ビルマには、中国雲南省から南下した回族を含め、いろんな出自のイスラム教徒がいるが、彼らは自分たちが「ロヒンギャ」
とは違うことを強調する。ロヒンギャを擁護、支援する勢力は、ビルマにはほとんどいないと言ってよい。中央政府と少数民族
の停戦と融和を訴えているスーチーさんはどうか。ロヒンギャ問題が、これほど国際的に大きなニュースになっているにもか
かわらず、彼女はずっと沈黙を守っている。ロヒンギャに国籍を与え、国民として受け入れよ、などと発言したら、スーチーさ
んは政治生命を失いかねない。スーチーさんはきのう誕生日で、70歳になったが、どういう政策で対応するつもりなのか。注
視したい。ビルマは、2010年の総選挙のあと、民政に移行したが、これまで軍政に抑えられてきた国内の各グループ間の
鬱屈した対立感情が表面化してきた面も否定できない。民主化はかくれていたものを表に出す。共産党独裁が崩れた旧ユ
ーゴでは、国家が分裂し、民族・宗教の異なる集団同士が凄惨な殺し合いをはじめた。
(高世仁の「諸悪莫作」日記 2015-06-20)
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20150620
【山中人間話】
・実質賃金「24カ月連続マイナス」 なぜ大手メディアは報じない
・安保法案は憲法違反56% 共同通信世論調査
以下、省略。下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1343.html
東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/
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