[CML 037957] 再び「9条にノーベル平和賞運動」を批判する ――自らを受賞候補に自薦する自己満足の運動は人々の共感を得られないだろう(ダグラス・ラミス)

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2015年 6月 17日 (水) 14:19:50 JST


私としては「憲法9条」という憲法理念を「固守」する橋頭堡としてはNG(nogood)でしかないと思っている「9条にノーベル平和
賞運動」がまたぞろ「革新」の地の一角で蠢動していることに大きな違和感を感じていましたが、私の地元にまでそのおぞまし
い余波が襲ってくるとまでは予想していませんでした。が、わが地元においても「9条にノーベル平和賞運動」のNGの火の粉
は飛んできているいるようです。

「憲法9条にノーベル平和賞を」 県内でも実行委結成へ(大分合同新聞 2015年6月16日)
https://www.oita-press.co.jp/1010000000/2015/06/16/003724493

以下は、その私の違和感を地元のメーリングリストに寄せた文章です。

「9条にノーベル平和賞運動」には疑義があります。その私の疑義を述べた2本の記事をご紹介させていただこうと思います。

■「9条にノーベル平和賞運動」への警告 ――ダグラス・ラミスさんの「9条にノーベル賞運動」への違和
(Blog「みずき」 2015.02.05)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1165.html

上記記事はダグラス・ラミスさん(アメリカ合衆国の政治学者。元米海兵隊員。元ベ平連活動家)の「9条にノーベル平和賞運
動」への警告を中心に論を構成しています。ダグラス・ラミスさんの問題提起を上記記事から抜粋しておきます。

     「数ヶ月前に私は、善意でこの運動を始めたある若い女性の電話を受けた。私は長くも辛い対話を通じて、なぜその
     運動を支持しないのか説明した。まずそれは自己満足の側面が強い。申請に参加した人達は憲法9条支持者であり、
     したがっていかに間接的にやる事だとしても、彼ら自らを受賞候補に自薦するように見える。第2にさらに重要なのは、
     私が以前にこのコーナーで書いたように、世論調査の結果で日本人の51%が憲法9条を支持すると答えながらも、
     81%が日米安保条約を支持すると出た。安保条約に反対する人間は11%に過ぎない。憲法9条を支持する大多数
     が安保条約を支持するという意味だ。この人達は平和に献身するのではない。むしろ戦争が起こった場合、他の誰か
     が彼らの代わりに戦ってくれるのを望む。それは理解出来なくもないが、賞をもらうほどのものではない。そして米軍
     基地を日本、大部分は沖縄に置いておく根源こそが安保条約だ。辺野古に新基地を建てようという圧力の裏にも安
     保条約がある。」(京郷新聞(韓国) 2014-04-28)

また、日本会議と神道政治連盟傘下の極右の長島忠美衆院議員と金子恭之衆院議員までが「9条にノーベル平和賞運動」の
賛同議員として名前を連ねている事実について述べています。

■マララさんという少女の評価について ――弁護士の徳岡宏一朗さんのマララさんを讃える記事を読んで改めて思うこと
(Blog「みずき」 2015.04.20)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1248.html

上記記事は欧米の“マララ・ヒーロー化計画”を批判的視点で分析する写真家で作家の藤原新也さんのマララさん評価を中心
に論を構成しています。

また、マララさんの国連スピーチに広告代理店Edelmanが介入していた事実についても言及しています。

ところで、今年の春に「ノーベル賞委員会が委員長を解任、異例の降格人事」(AFPBB 
 News 2015年03月04)をしたという事実
はご存知でしょうか?
http://www.afpbb.com/articles/-/3041378

同記事によれば、今回の「ヤーグラン氏の降格は、ノルウェーの2013年総選挙で勝利した右派政党によって委員の過半数が
指名されているという政情の変化を反映している」ということです。

上記の事実もノーベル平和賞自体がもはや「平和賞」に値しないしろものでしかないことを明白に示しています。

     「今回の人事をきっかけに、1901年以降ほぼ毎年平和賞を授与してきたノーベル賞委員会が、今後政治色をより強
     く打ち出し始めることになるのかどうか、疑問も生まれている。ヤーグラン氏の降格は、ノルウェーの2013年総選挙で
     勝利した右派政党によって委員の過半数が指名されているという政情の変化を反映している。委員会を構成する5人
     の委員はノルウェー議会に任命されてきたが、委員会はあくまで独自の判断で受賞者を選考してきたと主張している。
     しかしノーベル賞に詳しい歴史家のアスル・スベーン(Asle Sveen)氏は「このことは右派政権がこれまでの慣行以上に
     より強い政治的影響力を行使しようという狙いとも解釈できる」という見方を示すとともに、中国は圧力をかけてきた成
     果が出てきたと解釈するかもしれないと指摘した。さらに深刻な懸念の声も上がっている。日刊紙アフテンポステン(A
     ftenposten)編集者のハラルド・スタングヘレ(Harald Stanghelle)氏は、「今回の人事で、ノーベル賞委員会の委員長と
     新与党の政治色を結び付けるという新たな原理が生まれることになる」と指摘し、「そうなると疑問が湧いてくる。同委
     員会が本来維持すべき政治的独立は果たして守られるのだろうか」と問い掛けた。」(AFPBB News 2015年03月04)

再度、「9条にノーベル平和賞運動」は「憲法9条」という憲法理念を「固守」する橋頭堡としてはNG(nogood)でしかないという
私の見解を繰り返しておきます。


東本高志@大分
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