[CML 037927] 再度、辻元清美幻想と民主党幻想を排す ――「今の戦後最悪の民主主義破壊政権を固定させた立役者は民主党」であることを忘れてはならない。

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2015年 6月 15日 (月) 18:40:48 JST


衆院の安保法制論議の際の安倍首相の「早く質問しろよ!」や「大げさなんだよ!」という下品なヤジは、その下品さのゆえにメ
ディア的には「絵」になる格好のネタとして注目され、何度も大きく取り上げられることになりました。その安倍首相の下劣なヤジ
が飛び出したのは民主党の辻元清美議員の質問の際のことでしたから、必然のなりゆきとして辻元議員へのメディアの注目度
も高まり、辻元議員のメディアへの露出度も高まることになりました。さらにその際の辻元議員の質問は自衛隊の中東における
後方支援の問題、「人の生き死にに関わる問題」(辻元発言)でしたから安倍首相の下劣さへの反発に比例するように辻元議員
の人権感覚と民主度の株は高まることになりました。かつての辻元清美人気の復活というところまでは届きませんが、かなりの
復活のきざしを見せたのはたしかです。一部のリベラルを自称する人たちの間で辻元議員に期待する声が再び高まることにも
なりました。

しかし、辻元議員やその所属政党としての民主党に期待を寄せるのは早計というべきでしょう。辻元人気はメディアによってつく
られた側面もあります。辻元議員のテレビ露出度が高かったのはもちろん上記のようないきさつがあったからですが、辻元議員
はニュースメディアにとっては扱いやすい存在であるという側面も少なくないでしょう。辻元議員は一見保守とは相対する立場に
いるように見えますが、以下に見るように実は保守に対立する存在ではありません。ですから、ニュースメディアにとっては、辻元
議員は安倍政権からクレームがつくことはまず心配しなくてすむリスク保険のような存在でもあるのです。

辻元議員は先の安倍首相から「大げさなんだよ!」というヤジが飛んだ後の中谷防衛相との質疑において「安保法案は憲法学
者から疑義が出たのだからいったん撤回された方がいい」などと発言しています(5月28日、衆院平和安全法制特別委員会)。
この「安保法案は憲法学者から疑義が出た」違憲法案であることは明らかなのですから「いったん撤回」するのではなく、廃案に
するのが法制上のスジというものです。そのことが辻元議員にはわかっていない。だから「いったん撤回」などというスジ違いの
ことを言ってその誤りに自身では気がつかない。

同様の誤りは民主党の長妻昭代表代行にもあって、6月14日の「国会包囲行動」」の際、長妻議員は「法案を出し直させる」と
スピーチして集会参加者から「ダメだよ!!民主党!!」「廃案だよ!!」という抗議のヤジを受けてたじたじの体だったそうで
す(vanacoralの日記、2015年6月14日)。6月6日のテレビ東京の番組で辻元議員(民主党政調会長代理)は「集団的自衛権行
使を容認した安倍政権の憲法解釈変更に関し、民主党が将来、政権を獲得した場合は行使を禁じる従来の解釈に戻す考えを
示した」上で「戻さなくても済むよう、法案の廃案に全力を挙げる」と強調したということですが(東京新聞、2015年6月7日)、その
1週間後の14日の集会で長妻昭代表代行は「法案を出し直させる」とスピーチしています。当然、テレビ東京の番組での辻元
議員の発言にも長妻昭代表代行発言にも信を置くことはできません。その場限りの言い放しというのがこの党と所属議員の発
言の実態だからです。辻元人気は同議員の実際の政治行動に基づかない辻元幻想がつくり出したものといえるでしょう。同じ
ように民主党人気も(仮にそういうものがあるとして)実際の同党の政治実体に基づかない民主党への革新期待幻想がつくり
出した虚構の産物といえるでしょう。

以下、辻元議員の実際の政治行動の一端を過去記事から示しておきます。また、民主党については、私も繰り返し述べてい
ることですが、「今の戦後最悪の民主主義破壊政権を固定させた立役者は民主党」(Afternoon 
 Cafe、2015/02/28)であるとい
う事実を私たちは決して忘れてはならないことのように思います。

     辻元氏自身の問題性は大きくいって次の2点にある、というのが私の見方です。第1点。辻元氏は自身のブログで「こ
     れからは無所属議員として活動を始めます」と述べていますが、しかし、これは井原勝介氏(前岩国市長)が指摘して
     いることですが、辻元氏は社民党の公認を得て議員当選を果たしている。「公認を得て選挙を戦うということは、政党
     の看板を背負うことであり、その看板に対しても責任を持つ必要がある。」「一つの理念を掲げて政党に集い、政党を
     通じてその理念と政策の実現を図るというのが、政党政治の本来のあり方である。その政治の基盤となるべき政党と
     袂を分かつというのであれば、議員辞職する覚悟を持つべきである」ということです(「辻元清美の離党」 井原勝介ー
     草と風のノートー 2010年7月28日付)。「私は社民党を離党します。これからは無所属議員として活動を始めます」で
     は済まないのだ、と私は思います。辻元氏は自らの行動に筋を通そうとするのであれば一旦議員辞職するべきでしょう。

     第2点。もう1点は辻元氏が27日の大阪での離党表明記者会見で述べた「政権交代を逆戻りさせてはならない」「政権
     の外に出ると、あらゆる政策実現が遠のく」(読売新聞 2010年7月27日)という発言の問題性です。辻元氏は自民党政
     権から民主党政権へと変わった昨年夏の衆院選での「政権交代」を絶対視しているようですが、政権交代で重要なの
     はいうまでもなく政権交代という形ではなく、その政権交代の結果として政治変革、政治の中身が変化したかどうか、と
     いうことです。自民党政治の延長に過ぎない政権交代は政権交代の名に値しないのです。民主党政権は自民党政治
     に決別しえたか。普天間基地問題に象徴される民主党政権の対米従属、民意無視の政治姿勢を見る限り、民主党政
     権の政治は自民党政治の延長であり、というよりもさらに悪質化しており(たとえばSCC共同声明参照)、自民党政治
     に決別しえたとはとてもいえません。それを単純に「政権交代を逆戻りさせてはならない」などと言ってしまう。ここに辻
     元氏の信念に基づく「理念」の実現よりも「権力」によるまやかしの「理念」の実現(すなわち「理念」の非実現)の方を重
     要視する権力志向の姿勢がよくあらわれていると見るべきでしょう。(Blog「みずき」2010.07.30から抜粋)


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
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