[CML 037854] 「差別扇動表現(ヘイト・スピーチ)」という用語とポリティカル・コレクトネス

檜原転石 hinokihara at mis.janis.or.jp
2015年 6月 12日 (金) 08:50:15 JST


檜原転石です。

トンデモ和製英語「ブラック」(「ブラック企業」・「ブラック大学」など)の
“言葉狩り”が正しいのは私にとっては当たり前だが、世の中には、「差別扇動表
現(ヘイト・スピーチ)」は駄目だが、トンデモ和製英語「ブラック」は容認す
るという人が多い。

しかし自らがブラックにあらゆる悪を含意して使い、それを社会で氾濫するのを
許容しておいて、そうやって差別・偏見を広めているのだから、トンデモ和製英
語「ブラック」の使用者は、世界中に跋扈する「有色人種」への「差別扇動表現
(ヘイト・スピーチ)」者の“お先棒担ぎ”と言われても反論はできないだろう。

まあ簡単にいえば、米国の黒人=ブラックがあっさり警察に射殺されるニューズ
を見ながらも、ブラックにあらゆる悪を含意してトンデモ和製英語「ブラック」
(「ブラック企業」・「ブラック大学」など)を使う日本低国民の鈍感と反知性
は度しがたいものがあるということだね。



▼師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』岩波新書、2013年

頁38──

「ヘイト・スピーチ」という用語の誕生

・・・
 同じ1980年代には、大学への非白人および女性の進出に反発する差別事件
が頻発したことに対し、当事者や大学研究者を中心に、差別的表現の是正・禁止
など言語を中心とする文化面での差別撤廃としてのポリティカル・コレクトネス
political correctnessを求める運動が盛んになった。その一環として、多くの
大学が、ヘイト・スピーチを含むハラスメント行為全般を「ヘイト・スピーチ」と
いう言葉も広がったのである。

▼ポリティカル・コレクトネス
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%8D%E3%82%B9

・・・
1980年代に多民族国家アメリカ合衆国で始まった、「用語における差別・偏見を
取り除くために、政治的な観点から見て正しい用語を使う」という意味で使われ
る言い回しである。「偏った用語を追放し、中立的な表現を使用しよう」という
運動だけでなく、差別是正に関する活動全体を指すこともある。


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