[CML 037818] 今日の言葉(9日付) ――メディアのいちばん重要な目的は、どの政府に対してであれ、一般大衆の側に立ってそれを監視し、日々疑問をなげかけることである(ピーター・ジェニングス)

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2015年 6月 10日 (水) 21:25:09 JST


今日の言葉(9日付) ――メディアのいちばん重要な目的は、どの政府に対してであれ、一般大衆の側に立ってそれを監視し、日
々疑問をなげかけることである(ピーター・ジェニングス)
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はじめに引用者の「今日の言葉」に対する全般的コメント。

【NEWS23とテレ朝報ステの「憲法学者アンケート」報道に寄せて】(「山中人間話」参照)
ニュースを読むメインキャスター膳場貴子とアンカー岸井成格のバックに「違憲」の安保関連法案に反対する憲法研究者の巨大
な署名一覧を掲げて番組の意志を明確に示している。ワールド・ニュース・トゥナイトのアンカーを長年務めたピーター・ジェニング
スはかつてこう言った。

「メディアのいちばん重要な目的は、どの政府に対してであれ、一般大衆の側に立ってそれを監視し、日々疑問をなげかけること
である」。

「今日の言葉」(その1)

【憲法論争では反対する側にも一定の弱点がある】
憲法9条を変更しないまま集団的自衛権の行使を可能にする法改正を行うことは論理的に不可能との指摘が、多くの憲法学者や
国防の専門家から行われているが、政府はのらりくらりとした答弁で国会審議を乗り越え、数の論理で法案の成立を押し切れる
と考えているようだ。国家の「存立危機事態」という新たな概念を作り、その場合に限って、自国が攻撃を受けていない場合でも他
国を攻撃できるとするのが「安保法制」の肝だが、野党側が繰り返し「存立危機事態」とはどのような事態を指すのかを質しても
「政府が総合的に判断する」とした答弁しか返ってこないのだから話にならない。ここまでの国会などでの議論を聞く限り、政府が
武力攻撃をしたい時にできるようにする法律を作ろうとしていると言わざるを得ない。(略)それが憲法上許されていないという解釈
は、6月4日に国会に参考人として呼ばれた3人の高名な憲法学者が口を揃えて、「違憲」と言い切ったことからも明らかだ。(略)そ
れだけでも安保法制を廃案にすべき理由としては十分過ぎるほど十分なものだが、とはいえ憲法論争では反対する側にも一定の
弱点があることも事実だ。(略)われわれの多くは、既に現時点で自衛隊の現状が当初の憲法が想定していた状態を大きく踏み越
えた、解釈改憲の状態にあると感じている。今回の法改正は武力行使の要件の変更に当たるので、過去の解釈の変更とは次元
が違うと主張することも可能かもしれないが、いずれにしても憲法違反であることだけを理由に安保法制への反対論を展開しても、
「これまでも同じようなことを散々やってきたではないか」と言われてしまえば反論が難しいという面があることもまた事実だ。しかし、
それでも今回の法改正には大きな問題がある。(略)それはこの法改正を行い、日本がある特定の条件の下で集団的自衛権を行
使できるようにしたとして、それがどのような形で日本の安全保障に寄与するかが、まるで見えてこない点だ。今回の法改正を適用
し、日本が自国を攻撃していない国に武力攻撃を行ったり、存立危機事態と並ぶもう一つの新要件である「重要影響事態」を理由
に、アメリカの戦争に兵站を提供した場合、日本の自衛隊が攻撃を受けるリスクはもとより、敵国とみなされた日本人が海外で殺
害されたり誘拐されたりするリスクや、日本の国土が武力攻撃を受けるリスクが増すことは明らかだ。(神保哲生「ビデオニュース・
ドットコム」2015年6月6日)

「今日の言葉」(その2)

【「論じるに値する」か「値しない」かが問題なのではない】
久保亨信州大教授「偏った思想を持つ一部の歴史研究者が声明を発表したわけではない」(神奈川新聞)「一部の政治家は従軍
慰安婦をめぐる歴史認識について『歴史家に任せる』という趣旨の発言をして加害責任への言及を避けようとしている」「だが、任
せるというのであれば歴史家の見解に耳を傾け、研究の成果としてたどり着いた歴史的事実を大前提にした認識を基に発言して
もらいたい」「問題を相対化しようとする姿勢は全体像を見誤らせる」

石居人也一橋大准教授「声明は、多くの歴史学者がもはや看過し難い状況だという危機感を抱いた結果だ」「こうした(慰安婦問
題を矮小化したり、存在が疑わしいとする)言説を、歴史学の学会はまともに取り合ってこなかった。有力な学会誌に論文として掲
載されたこともない。論拠とする証拠や証言に対する評価の仕方が、歴史学がよって立つ手法とあまりにかけ離れ、論じるに値し
なかったためだ」

歴史学の学者の方々は、慰安婦問題だけでなく、様々な題材に関する歴史修正主義の「事実認定の改変や否認」に、もっと発言
されるべきだと思う。「論じるに値しない」というのは、学者の沽券に関わる問題かもしれないが、「それが社会に及ぼしている悪影
響」という視点で見れば、黙る態度は大いに疑問。「論じるに値する」か「値しない」かではなく「それが現実に何を破壊しているか」
「目前の破壊に何のリアクションも起こさなければ、破壊の対象はどこまで広がるか」に目を向けるべきだと思う。「手が汚れると嫌
だから、ドブにヘドロが溜まっても掃除しない」でいれば、腐臭と腐敗は際限なく拡大する。歴史修正主義の「事実認定の改変や否
認」が社会に広がり、首相や大臣など政府の中枢にいる人間までもが、それに依拠した発言をする状況に対して、歴史的事実に
基づいて「それは違う」と指摘するのは「自分の仕事じゃない」と歴史学者が思っているなら、それは一体誰の仕事なんですか、と
いう話になる。(山崎 雅弘Twitter 2015年6月8日)

【山中人間話】(省略)


東本高志@大分
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