[CML 037807] 「政府見解」全文掲載!:集団的自衛権問題研究会 News&Review 特別版 第3号

杉原浩司(Koji Sugihara) kojis at agate.plala.or.jp
2015年 6月 10日 (水) 00:04:28 JST


【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第3号】
(2015年6月9日)

「安全保障法制」の審議が明日6月10日、久々に再開されます。憲法審査
会で3人の参考人全てが「違憲」と発言したことを受けて、野党の求めに
応じる形で9日、政府見解が公表されました。

今号では、10日の審議予定に併せて、この政府見解全文を緊急掲載しま
したのでぜひご参照ください。[転送・転載歓迎/重複失礼]

 <こちらのリンクもご活用ください>

 【政府見解】
 新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性等について
 http://www.sjmk.org/?page_id=198

 【政府見解】他国の武力の行使との一体化の回避について
 http://www.sjmk.org/?page_id=200

政府与党は採決シナリオの練り直しを余儀なくされ、内部からは、審議が
進まず世論の理解を得られない現状に対する様々な反応が出ています。
市民のより厳しい監視と行動が求められています。

安保法案:会期内衆院採決を断念 「違憲」指摘が影響(6月9日、毎日)
http://mainichi.jp/shimen/news/20150609ddm001010146000c.html

自民の一部 安保関連法案は党議拘束外すべき(6月9日、NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150609/k10010108171000.html

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【衆議院「安全保障法制」特別委員会の審議予定】

6月10日(水)一般質疑(首相出席なし、NHK中継なし)

9:00~9:35  吉田豊史(維新)
9:35~10:10  落合貴之(維新)
10:10~10:30 盛山正仁(自民)
10:30~10:50 伊佐進一(公明)
 休憩(大臣が参議院本会議から戻り次第、再開)
11:05~12:00 辻元清美(民主)
 休憩
13:00~13:39 寺田学(民主)
13:39~14:25 緒方林太郎(民主)
14:25~15:11 大串博志(民主)
15:11~15:31 後藤祐一(民主)
15:31~16:15 高井崇志(維新)
16:15~17:15 宮本徹(共産)

衆議院インターネット中継
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

※可能な方はぜひ傍聴してください(衆議院議員事務所の紹介が必要)。

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<資料>

【政府見解】

新三要件の従前の憲法解釈との論理的整合性等について

                    平成27年6月9日
                    内閣官房
                    内閣法制局

(従前の解釈との論理的整合性等について)
1 「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障の整備
について」(平成26年7月1日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三
要件(以下「新三要件」という。)は、その文言からすると国際関係にお
いて一切の実力の行使を禁じているかのように見える憲法第9条の下でも、
例外的に自衛のための武力の行使が許される場合があるという昭和47年10
月14日に参議院決算委員会に対し政府が提出した資料「集団的自衛権と憲
法との関係」で示された政府見解(以下「昭和47年の政府見解」という。)
の基本的な論理を維持したものである。この昭和47年の政府見解において
は、
(1)まず、「憲法は、第9条において、同条にいわゆる戦争を放棄し、い
わゆる戦力の保持を禁止しているが、前文において「全世界の国民が---
平和のうちに生存する権利を有する」ことを確認し、また、第13条におい
て「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、---国政の
上で、最大の尊重を必要とする」旨を定めていることからも、わが国がみ
ずからの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄してい
ないことは明らかであって、自国の平和と安全を維持しその存立を全うす
るために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されな
い。」としている。この部分は、昭和34年12月16日の砂川事件最高裁大法
廷判決の「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするため
に必要な措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと
といわなければならない。」という判示と軌を一にするものである。
(2)次に、「しかしながら、だからといって、平和主義をその基本原則
とする憲法が、右にいう自衛のための措置を無制限に認めているとは解さ
れないのであって、それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、
自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事
態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置としては
じめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するため
とられるべき必要最少限度の範囲にとどまるべきものである。」として、
このような場合に限って、例外的に自衛のための武力の行使が許されると
いう基本的な論理を示している。
(3)その上で、結論として、「そうだとすれば、わが憲法の下で武力行
使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処す
る場合に限られるのであって、したがって、他国に加えられた武力攻撃を
阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は、憲法上許
されないといわざるを得ない。」として、(1)及び(2)の基本的な論理
に当てはまる例外的な場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した
場合に限られるという見解が述べられている。

2 一方、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器
などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変
化し続けている状況を踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃で
あったとしてもその目的、規模、態様等によっては、我が国の存立を脅か
すことも現実に起こり得る。新三要件は、こうした問題意識の下に、現在
の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、このような昭和47年の政
府見解の(1)及び(2)の基本的な論理を維持し、この考え方を前提とし
て、これに当てはまる例外的な場合として、我が国に対する武力攻撃が発
生した場合に限られるとしてきたこれまでの認識を改め、「我が国と密接
な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が
脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白
な危険がある」場合もこれに当てはまるとしたものである。すなわち、国
際法上集団的自衛権の行使として認められる他国を防衛するための武力の
行使それ自体を認めるものではなく、あくまでも我が国の存立を全うし、
国民を守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措
置として、一部、限定された場合において他国に対する武力攻撃が発生し
た場合を契機とする武力の行使を認めるにとどまるものである。したがっ
て、これまでの政府の憲法解釈との論理的整合性及び法的安定性は保たれ
ている。

3 新三要件の下で認められる武力の行使のうち、国際法上は集団的自衛
権として違法性が阻却されるものは、他国を防衛するための武力の行使で
はなく、あくまでも我が国を防衛するためのやむを得ない必要最小限度の
自衛の措置にとどまるものである。

(明確性について)
4 憲法の解釈が明確でなければならないことは当然である。もっとも、
新三要件においては、国際情勢の変化等によって将来実際に何が起こるか
を具体的に予測することが一層困難となっている中で、憲法の平和主義や
第9条の規範性を損なうことなく、いかなる事態においても、我が国と国
民を守ることができるように備えておくとの要請に応えるという事柄の性
質上、ある程度抽象的な表現が用いられることは避けられないところであ
る。
 その上で、第一要件においては、「我が国と密接な関係にある他国に対
する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、
自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」とし、
他国に対する武力攻撃が発生したということだけではなく、そのままでは、
すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ、国民に我が国
が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかで
あるということが必要であることを明らかにするとともに、第二要件にお
いては、「これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に
適当な手段がないこと」とし、他国に対する武力攻撃の発生を契機とする
「武力の行使」についても、あくまでも我が国を防衛するためのやむを得
ない自衛の措置に限られ、当該他国に対する武力攻撃の排除それ自体を目
的とするものでないことを明らかにし、第三要件においては、これまで通
り、我が国を防衛するための「必要最小限度の実力の行使にとどまるべき
こと」としている。
 このように、新三要件は、憲法第9条の下で許される「武力の行使」に
ついて、国際法上集団的自衛権の行使として認められる他国を防衛するた
めの武力の行使それ自体ではなく、あくまでも我が国の存立を全うし、国
民を守るため、すなわち我が国を防衛するためのやむを得ない必要最小限
度の自衛の措置に限られることを明らかにしており、憲法の解釈として規
範性を有するに十分に明確なものである。
 なお、ある事態が新三要件に該当するか否かについては、実際に他国に
対する武力攻撃が発生した場合において、事態の個別具体的な状況に即し
て、主に、攻撃国の意思・能力、事態の発生場所、その規模、態様、推移
などの要素を総合的に考慮し、我が国に戦禍が及ぶ蓋然性、国民が被るこ
ととなる犠牲の深刻性、重大性などから客観的、合理的に判断する必要が
あり、あらかじめ具体的、詳細に示すことは困難であって、このことは、
従来の自衛権行使の三要件の第一要件である「我が国に対する武力攻撃」
に当たる事例について、「あらかじめ定型的、類型的にお答えすることは
困難である」とお答えしてきたところと同じである。

(結論)
5 以上のとおり、新三要件は、従前の憲法解釈との論理的整合性等が十
分に保たれている。

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他国の武力の行使との一体化の回避について

                     平成27年6月9日
                     内閣官房
                     内閣法制局

1 いわゆる「他国の武力の行使との一体化」の考え方は、我が国が行う
他国の軍隊に対する補給、輸送等、それ自体は直接武力の行使を行う活動
ではないが、他の者の行う武力の行使への関与の密接性等から、我が国も
武力の行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るというものであり、
そのような武力の行使と評価される活動を我が国が行うことは、憲法第9
条により許されないという考え方であるが、これは、いわば憲法上の判断
に関する当然の事理を述べたものである。

2 我が国の活動が、他国の武力の行使と一体化するかの判断については、
従来から、\鐺活動が行われている、又は行われようとしている地点と
当該行動がなされる場所との地理的関係、当該行動等の具体的内容、
他国の武力の行使の任に当たる者との関係の密接性、ざ力しようとする
相手の活動の現況等の諸般の事情を総合的に勘案して、個々的に判断する
としている。

3 今般の法整備は、従来の「非戦闘地域」や「後方支援」といった枠組
みを見直し、
 _罎国の支援対象となる他国軍隊が「現に戦闘行為を行っている現場」
では、支援活動は実施しない。
◆_召法⊂況変化により、我が国が支援活動を実施している場所が「現
に戦闘行為を行っている現場」となる場合には、直ちにそこで実施してい
る支援活動を休止又は中断する。
という、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法
制の整備について」(平成26年7月1日閣議決定)で示された考え方に立っ
たものであるが、これまでの「一体化」についての考え方自体を変えるも
のではなく、これによって、これまでと同様に、「一体化」の回避という
憲法上の要請は満たすものと考えている。

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<特別版 第2号(6月5日の審議録)はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=187

<特別版 第1号(6月1日の審議録)はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=136

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発行:集団的自衛権問題研究会
  代表・発行人:川崎哲
  News&Review特別版 編集長:杉原浩司
    http://www.sjmk.org/
    ツイッター https://twitter.com/shumonken/
  ※ダイジェストはツイッターでも発信します。ぜひフォローしてください。

 <本研究会のご紹介>
 http://www.sjmk.org/?page_id=2

◇集団的自衛権問題研究会News & Review
 第9号の内容
 ● 歯止め無き対米支援法制は「国民を守る」か(川崎哲)
 ● 新「日米ガイドライン」は何を狙うか(吉田遼) 
 http://www.sjmk.org/?p=130

◇『世界』7月号、6月号に当研究会の論考が掲載されました。
 http://www.sjmk.org/?p=194
 http://www.sjmk.org/?p=118

  



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