[CML 037743] 安斎育郎さんの「時を超えた民主主義」について ――toriiyoshikiさんのいう「『福島』をめぐる思想戦」の問題として(3)

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2015年 6月 5日 (金) 20:53:25 JST


toriiyoshikiさんの記事をご紹介するのは今回でおそらく6度目です。1度目はNHKのある退任理事の「若い世代」に託す言葉
の紹介の紹介として、2度目はNHKの「クローズアップ現代」の「やらせ疑惑」をどう見るかという問題に関して、そして、3度目
以降は「福島をめぐる思想戦」の問題に関してです。今回も原発問題、すなわち、「福島』をめぐる思想戦」の問題に関してです。
なぜtoriiyoshikiさんの記事を紹介するようになったのか。大きな理由のひとつは私がtoriiyoshikiさんの視点に共感するからに
ほかなりません。toriiyoshikiさんのNHKのある退任理事の「若い世代」に託す言葉を紹介する記事を読んだとき、私は彼の文
章に「無垢な文章の美しさ」のようなものを感じて新鮮な驚きがありました。ふたつ目の理由は、しかし、toriiyoshikiさんという人
を多くの人は知らないだろう。だから、彼の文章をもっと多くの人にもらいたい、と思ったからです。今回のtoriiyoshikiさんの視
点にも私は共感します。そして、明後日の番組の紹介のことですから、今日のうちに「今日の言葉」として紹介しておきたいと
思いました。

     【安斎育郎さんの「時を超えた民主主義」について】
     放射線防護学者の安斎育郎さんにお話を聞いた「こころの時代 福島を支えるということ。」が明後日7日の早朝(午
     前5時!)、Eテレで放送される。先日、「ETV特集」で安斎さんらを主人公にした「終わりなき戦い」を放送したが、こ
     の人にはぜひ一度じっくり話を聞いてみたいと考え、別途企画したのがこの番組である。VTR部分は基本的に「ETV
     特集」のダイジェストだが、インタビューは新たに撮り下ろしたものだ。安斎さんは、東京大学工学部原子力工学科の
     一期生として原子力の未来に夢を託していた若い日のエピソードから、研究を進めるなかで原子力の持つ危険性と
     向き合わざるを得なかったこと、日本の原発建設が周辺住民の安全を軽視して専ら経済優先で進められてきたこと
     を危惧し次第に「反原発」の姿勢にシフトしていったことなどを、安斎さん独特の率直な語り口で話してくれた。そして
     危惧が的中するかたちで福島原発事故が起こり、原子力の専門家として何を考え、どう行動してきたかも…。東京の
     下町に生まれ、幼い頃から落語好きだったという安斎さんには、“話芸の基礎”とでもいうべきものが血肉化していて、
     ともかく話が面白く、わかりやすい。しかも、深い。ナチスドイツのためにV2ミサイルを開発し、後に宇宙ロケットの開
     発で大きな功績を残したフォン・ブラウンの話などちょっとした“脱線”も含め、面白いうえに大変示唆に富んだ話であ
     ることは、いささか自画自賛めくが聞き手を務めたぼくが請け合う。インタビューのなかでひときわ心に残ったのが「時
     を超えた民主主義」という言葉だった。原発を稼働させれば、半減期が数万年という放射性廃棄物が生み出される。
     我々の何百世代先の子々孫々に至るまで、その「負の遺産」を引き受けざるを得ないことになる。原発がもたらす経
     済的恩恵が例えあるとしても、未来の我々の子孫たちはその恩恵に浴することはできない。そして、その人たちは、
     当然ながら現在の政策決定に関与する術がない。発言することも、意思決定に参画することもできず、ただ政策決定
     の結果だけを押し付けられることになるわけだ。だから、現在の我々は、何百世代、何千世代も後の子孫たちへの責
     任を自覚して原発(再)稼働の是非を決めなければならない。「時を超えた民主主義」が問われている、というのである。
     これは原発という厄介極まりない存在への最も根底的(ラジカル)な批判ではないだろうか?
                                                      (toriiyoshiki's Blog 2015年6月5日)


東本高志@大分
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