[CML 037677] 「街の弁護士日記」の岩月浩二弁護士の「日弁連問題」勃発という問題提起 ――日弁連が人権弾圧立法のお先棒を担ぐ。今回の声明に関与した日弁連執行部の汚名は、歴史に残るだろう。
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2015年 6月 1日 (月) 19:27:32 JST
日弁連執行部に対する「街の弁護士日記」の岩月浩二弁護士の怒りを「今日の言葉」(3本)としてフォローしておきます。岩月
弁護士の怒りは「日弁連問題」の問題の在り処を明確に示しており、怒りとともに同時に発せられている問題提起は、私たち
市民の基本的人権のゆく末にもろに関わってくる問題です。対岸の火事ではなく、まさに家中の火事というべきものです。家中
の火事はまず私たち自身で消火にあたるべきでしょう。
【日弁連執行部の退嬰と共産党への期待】(「今日の言葉」6月1日)
専門分化が進み、かつ、資本の要求によって、何より迅速さな決断が求められる中で、、現代の組織は、どこも一部の者によ
る決定が全体の名によって正当化されていく傾向がある。端的に、これは、民主主義の危機である。一部の者による専横の
構造は、日弁連も確実にむしばんでいる。会員弁護士の多くが決して望んでいなかった、司法試験合格者3000人とする弁
護士大増員決議を組織動員によって、強行採決した2001年臨時総会を画期として、専横の体制は確実に強化されてきた。
そして今回、それは、ついに「盗聴法拡大強化」、「司法取引導入」という人権弾圧立法の早期成立を求める会長声明という、
極めてグロテスクな形で、あらわになった。(略)日弁連が、人権弾圧立法のお先棒を担ぐ。今回の声明に関与した日弁連執
行部の汚名は、歴史に残るだろう。(略)(刑事訴訟法制度改悪法案の)早期成立を求める日弁連会長声明がいう「有識者委
員が参加した法制審議会…で約3年間の議論を経て全会一致で取りまとめられた答申…にも述べられているとおり、複数の
制度が一体となって新たな刑事司法制度として作り上げられているものである。」などとする主張は、何の反論にもなっていな
い。法制審議会が苦労してまとめ上げたから、「国権の最高機関」も、おとなしく言うことを聞けなどという論法は、まるきり官僚
の言いぐさである。安全保障法制の一括法案の反民主性も、この立場では批判できぬだろう。確か、共産党の方々も刑事弁
護委員会や理事者には少なからずおられ、議論をリードしてきた経緯がある。裁判員裁判制度の導入をめぐっては、これに対
して反対を表明したところ、裁判員裁判制度導入によって証拠開示手続という成果を得たことをどう考えるのかという、反論を
してきたのも共産党系の方であった。刑事訴訟法制改正問題では一貫してぶれない主張を続けている、赤旗の報道(引用者
注:下記最下段にも添付しておきます)も合わせて引用しておきたい。共産党の見解にしたがって、悪法推進を謳う、会長声明
を撤回させることこそ共産党系の方々の使命ではないか。盗聴・たれ込みや「共犯者の自白」(司法取引)は、戦争に反対し続
けてきた勢力にも用いられてきた卑劣なえん罪製造、弾圧法規だったではないか。いうまでもないことであるが、安全保障法制
と政治的弾圧手段の整備は、一体のものとして進められる。安倍政権が、法制審議会での議論経過で官僚が約束した内容を
遵守すると素朴に信頼するほどに、共産党の方々はバカなのですかと、言いたい。弁護士増員論では、共産党の方々のおお
かたが推進にまわったことは認識しているが、今回の件は国民の基本的人権に直接関係する重大な法改正であり、歴史をも
左右しかねぬ法改正である。日弁連執行部に対し、会長声明の撤回を求めて断固として闘うことを強く求める。
(街の弁護士日記 2015年5月31日)
【日弁連問題が勃発していることに気づかなかった不明】(「今日の言葉」5月29日)
武本夕香子弁護士の論考で初めて日弁連会長の会務執行方針の「基本姿勢」を読んだ。これほどひどいとは正直、思わなか
った。人権の砦であるべき日弁連は、すでに過去のものになりつつある。「基本姿勢」中、とくに強い違和感を覚えるのは、「す
べての判断基準は、市民の利益に叶い(略)」「日弁連の主張を最大限実現するためには、孤立を回避することが不可欠であ
り、独りよがりや原理主義と批判されるような言動は排さなければなりません(略)」との部分であり、現実迎合の姿勢があらわ
である。(略)一体、ここにいう理解を得、利益を叶えるべき「市民」とはだれなのか。「孤立を回避することが不可欠」で「独りよ
がりや原理主義」と批判されてはならない」相手は誰を想定しているのか。(略)「日弁連の主張を最大限実現するためには、
孤立を回避することが不可欠であり、独りよがりや原理主義と批判されるような言動は排さなければなりません。司法と日弁
連の歴史に思いをいたし、経緯と情勢そして現実を冷静に見極め、説得力のある最善の主張を展開することにより多くの人々
の理解を得、力を合わせて改革を着実に前進させることが大切です。」との基本姿勢を適用すると、猛毒を含んだ法改正の
「早期成立を強く望みます」となるのだ。(略)この延長には、幅広く臣民の理解が得られるよう心がけ、孤立を恐れる、戦前の
日弁連の姿が待っている(略)ポツダム宣言の受諾を受け、おそらく占領軍が憲法改正案を所望していることを聞きつけて、
大日本弁護士会連合会は、臣民の理解を広く得るべく天皇大権は存続させて(結果、天皇は国会の制定した法律の拒否権を
持つ)、臣民の自由は原則として、法律の範囲内についてのみ認めるのを原則とする改憲案を立案したのだ。かかる微温的な
改正しか提言する能力がなかったのが、時局迎合した戦前の大日本弁護士会連合会のなれの果てである。日弁連は今、その
道に踏み込んでいる。マスコミや、大学の批判をしていて足下の日弁連がむちゃくちゃにされていることに気づかなかった。日
弁連問題が勃発していることに気づかなかった不明を恥じる。(街の弁護士日記
2015年5月28日)
【日弁連執行部の弁護士窮乏化路線について】(「今日の言葉」5月27日)
憲法が目指す理想通りにはいかないことは周知のところであり、日本の裁判所は憲法問題に踏み込むのを極端に嫌う。お上
の意向を窺う「ヒラメ裁判官」との謂いが一時期はやったゆえんである。しかし、中には、国家の方針に反してでも、憲法を擁護
しようとし、「裁判官の良心」に忠実であろうとする裁判官も少数ではあっても存在したし、現在も存在し続けている。激変してい
るこの時代ほど、「裁判官の良心」や司法の独立が果たすべき役割は大きい。(略)かつて、食えない弁護士というのは、想像
もつかなかった。裁判官が職を賭して良心を貫こうと決意する場合、裁判官を辞しても、弁護士として少なくとも最低限の安定し
た生活は保障されていた。いかに良心的であろうとも、裁判官も人である以上、生活は先立つ。裁判官を辞した後の生活の保
障が何もないとしたら、勇気を振り絞った判決が書けるだろうか。良心をかけて歴史に残る違憲判決を出した末、組織で冷遇
され、昨今の政治情勢では、国会の弾劾裁判にかけられる可能性すら否定できないのである。繰り返すが裁判官も人であり、
家族もあり、子どももある。裁判官を辞した後の長い人生が日々の生活にあえぐ、貧困弁護士でしかないとしたなら、どうやっ
て「裁判官としての良心」に忠実であろうとする、勇気ある決断ができるというのか。「司法の独立」あるいは「裁判官の独立」と
いう理念は、実は、弁護士になれば少なくとも食べていくことはできるという、実に現世的な経済基盤に支えられていたのである。
今、日弁連執行部がやっているのは、政府と結託して「裁判官の独立」、「司法の独立」の現実的な基盤を掘り崩し、これを文字
通り「画に描いた餅」にする策動である。日弁連執行部が、基本的人権の擁護を弁護士の使命とし、憲法の擁護を叫ぶのであ
れば、直ちに、弁護士窮乏化路線を転換し、司法試験合格者1000人以下の目標を掲げなければならない。司法試験合格者
1000人以下としても、この10年余で倍増して全国3万5000人に及んだ弁護士人口は、なお当分の間、増加し続けるのであ
る。国民は、弁護士が事件を漁るような、トラブルが多発する社会は望んでいない。基本的人権と平和を基本的価値とする憲法
の実現をこそ望んでいるのだ。はき違えてはいけない。(街の弁護士日記 2015年5月26日)
附記:【しんぶん赤旗報道】(4本)
省略。下記のどちらかの記事でお読みください。
・「街の弁護士日記」の岩月浩二弁護士の「日弁連問題」勃発という問題提起 ――日弁連が人権弾圧立法のお先棒を担ぐ。今回
の声明に関与した日弁連執行部の汚名は、歴史に残るだろう。(弊ブログ 2015年6月1日)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1313.html
・【続】道を踏み違えた日弁連 『盗聴法拡大強化・司法取引支持』の会長声明の撤回求める(街の弁護士日記 2015年5月31日)
moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2015/05/post-891e.html
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