[CML 035804] 【京都新聞社説】沖縄を冷遇  「寄り添う」は口だけか+沖縄タイムス社説 [続く沖縄冷遇]品位のない対応を憂う+【京都新聞社説】安倍政治  国民的な議論から逃げるな沖縄タイムス社説 [新しい政治の誕生]壮大な挑戦 主役は県民

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2015年 1月 10日 (土) 12:48:41 JST


京都新聞と沖縄タイムスの社説です。安倍首相に読ませたい切れ味です。


【京都新聞社説】沖縄を冷遇  「寄り添う」は口だけか
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20150109_4.html

 政府が2015年度の沖縄振興予算を概算要求から減額する方針という。昨年末に翁長雄志沖縄県知事が就任あいさつで上京した際も含め、安倍晋三首相や基地負担軽減担当相の菅義偉官房長官は、いまだに会おうともしない。

 沖縄への冷遇ぶりはどうしたことか。県民が怒るのは当然だろう。

 昨年11月の沖縄知事選では、米軍普天間飛行場を辺野古に移設する政府計画に反対し、阻止を訴えた翁長氏が当選した。政府の意に沿わない知事の誕生だが、それが沖縄の民意と知るべきだ。

 移設容認に転じた仲井真弘多前知事時代の14年度予算では概算要求を上回る額を確保し、仲井真氏が退任のあいさつに訪れた時には安倍首相や菅氏らが面談、労をねぎらったとされる。

 手のひらを返したような対応で翁長知事へのけん制、嫌がらせでしかない。あきれるばかりだ。

 振興予算は沖縄県が米施政権下に長年置かれ、今も在日米軍施設の74%が集中する事情を考慮した対応で、11年度に約2300億円だったのが14年度には3460億円となり、15年度の概算要求では3794億円に増額されていた。

 ところが、「最大限の配慮」から一転、14年度比で1割程度減額する方向で最終調整していることが分かった。概算要求から700億円近くの大幅減額の上、県側の使途の自由度が高い「沖縄振興一括交付金」が対象という。

 政府関係者は執行率の低さを減額理由にあげ、菅氏も「どのように使われているかチェックし、ほかの予算と同様に査定していく」と述べた。一見もっともな発言に聞こえるが、別の狙いがあることは「前知事とは政府対応が異なると見せつけないと将来の知事選にも影響する」と自民党関係者が述べていることからも明らかだ。

 政府の計画に賛成の知事には増額、反対の場合は減額する露骨なやり方で、普天間の移設問題と振興をリンクさせないとしてきた政府方針を覆すことにもなる。

 もっとも、アメとムチを使い分けてきた政府・自民党の手法に対し、名護市長選、知事選、続く衆院選と、県民はいずれも「ノー」を突きつけてきた。その手法は、もはや通用しないということだ。

 安倍政権では世論を二分するような問題で、政権と異なる意見に耳を傾けない硬直した姿勢が目立つ。一方で首相は「沖縄に寄り添う」「丁寧に説明して理解を求める」と言っていたはずだ。口先ではなく行動で示してもらいたい。

[京都新聞 2015年01月09日掲載]



沖縄タイムス社説  [続く沖縄冷遇]品位のない対応を憂う
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=97879

2015年1月9日 05:30

 2015年度予算案の決定を前に上京した翁長雄志知事への政府・自民党の冷淡な対応が続いている。

 沖縄振興予算について話し合う自民党沖縄振興調査会などの会議に出席できなかったばかりか、サトウキビ関係の要請で面談を求めていた農相とも会えなかった。

 党本部の会議は県の要望を聞く重要な場で、仲井真弘多前知事は当たり前のように出席していた。農相の方も、JA沖縄会長や県関係自民党国会議員らの要請には応じている。

 昨年末、就任あいさつで上京した折りも、閣僚で会えたのは山口俊一沖縄担当相だけだった。首相や官房長官と頻繁に会談していた前知事との関係から一転、示し合わせたような大人げない振る舞いである。

 冷遇は予算にも表れる。政府は来年度沖縄振興予算を、概算要求から700億円近く、本年度予算から360億円ほど減らし、3100億円前後で調整しているという。

 予算は国の財政事情に応じ財務省の査定を経て決定するわけだから、要求から減ることは不思議でも何でもない。ただ米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する知事に代わった途端の減額が、何を意味しているかは明白である。

 地方分権一括法によって国と県の関係は「上下」から「対等」に改められたはずだ。対話すら拒む政権の姿勢は、選挙で示された沖縄の民意を敵視するのに等しく、到底受け入れられない。

    ■    ■

 首相官邸ホームページは、沖縄振興策の必要性について三つの特殊事情を挙げて説明している。

 沖縄戦と米軍統治でインフラ整備が遅れたこと、離島県であること、国土の0・6%の土地に米軍基地の74%が集中していることだ。

 ここでの基地集中とは、既存基地の過重負担を言っているのであって、新基地建設を含むものではない。

 にもかかわらず予算で揺さぶりをかけるのは「政権与党とパイプのない知事の下で泣くのは県民」とのメッセージを送り、世論を分断したいからだろう。

 動揺する必要は全くない。全国的にも注目されている予算である。翁長知事は特殊事情に照らし要求すべきは要求し、予算をちらつかせた基地受け入れは選挙公約に従って拒否する。国の姿勢と、知事の対応のどちらが「まっとう」か。県は最後まで「まっとうさ」を貫くべきである。

    ■    ■

 冷遇に加担する県関係自民党国会議員の態度は、選挙で負けたことへの腹いせにしか見えず残念である。個人的な怒りや反発を、当選したばかりの行政の長の公人としての行為に向けるべきではない。

 安倍政権の強権的なやり方が、県民世論をますます硬化させている。知事に翻意を促すのは公約を破れということと同じで、代表制民主主義をも否定する。

 沖縄側から対話の扉を閉ざすことはない。理不尽な対応や民意を踏みにじる差別的手法に対して政府不信を募らせることはあっても、屈することはない。



【京都新聞社説】安倍政治  国民的な議論から逃げるな
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20150106_4.html

 「この道しかない」。安倍晋三首相は昨年12月の衆院選で何度も繰り返した。経済政策に関してだったが、国論を二分する安全保障や原発再稼働をめぐっても似たような政治姿勢をみせてきた。

 安倍政治の最大の問題は、重要な問題ほど仲間内の意見を重用し、強権や奇策をふるって国民的な議論を避けることにある。特定秘密保護法の強行採決や、集団的自衛権の行使容認に向けて閣議決定だけで憲法の解釈を変えたことが典型例だ。

 異論に耳を貸さず、不都合から目を背け、一本道を突っ走るようでは民主政治を危うくする。与党から首相にもの申し、野党は政権にブレーキをかける力をもたねばならない。何より首相自身が国民と向き合い、誠実に説明を尽くすことが不可欠だ。

納得できぬ原発再稼働

 だが、きのうの首相の年頭会見からは、そうした謙虚さが相変わらず伝わってこなかった。原発再稼働や安保法制の整備などについて「自民党として選挙公約に掲げ、考えを明確に示している」と述べるにとどめた。衆院選で積極的に触れなかった問題で、丸投げの信任を得たかのような口ぶりだ。

 九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)は、早ければ春までに再稼働するとされる。だが、福島第1原発のような事故が起きた際、誰が責任を持つのかは依然あいまいだ。事業者責任を原則とした原子力損害賠償法はそのままで、避難計画の策定も自治体に委ねる。福島原発事故は原因が未解明で、収束のめども立っていない。再稼働を急ぐ時ではない。

 川内原発の後は、規制委が年末に「合格」とした関西電力高浜原発3、4号機(福井県)が続く。京都、滋賀も30キロ圏内にかかるだけに住民の不安は大きい。

 事故処理や住民避難には、国がまず責任を持つべきだ。同意が必要な「地元」は立地県に限らず、被害が及ぶ範囲まで含めるのが当然ではないか。こうした声に答えない限り、再稼働に過半数が反対する国民世論の理解は到底得られないだろう。

 きれいごとではなく、現実を正面から語ってほしいのは安全保障政策も同じだ。

戦争の現実味を語れ

 自民、公明両党は集団的自衛権の行使を可能にする安保関連の法整備に向け、調整を本格化させる。4月の統一地方選後の国会提出を目指すという。

 政権は昨年7月の閣議決定で、武力行使の要件を「日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合」とした。この解釈次第では自衛隊の海外派遣がなし崩しに広がる。象徴的なのは日本への原油輸送ルートであるホルムズ海峡が機雷で封鎖された場合だ。安倍首相は停戦合意前でも自衛隊が機雷掃海に出動できるとの姿勢をみせるが、これは日本が戦争に加わることに等しい。

 法整備と並行し、日米の軍事分担を定める防衛協力指針(ガイドライン)の改定も進められる。米軍の後方支援を拡大する方針を示しており、やはり米国の戦争に巻き込まれる可能性が高まる。

 行使容認に転じた閣議決定時のように、戦後70年にわたり歩んできた平和国家の道のりを踏み外すような決定を、密室での与党協議で下すことは許されない。

 首相は年頭会見で「積極的平和主義の旗の下、世界に貢献する」といった抽象論で安保政策の大転換を説明したが、自衛隊員に戦死者を出し、他国民を傷つけるリスクを率直に語り、国民に覚悟を問うべきである。

 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古周辺に移設する計画も、知事をはじめ反対派が各種選挙で当選を続けている実情を踏まえ、見直すことが避けられない。地元や国民の理解なしに、国の安全保障が成り立つはずもないからだ。

1強を止められるか

 安保法制の整備後には、首相が悲願とする憲法改正も政治日程に入ってこよう。昨年6月に投票年齢を18歳以上に引き下げる改正国民投票法が成立し、憲法改正案が国会で発議されれば国民投票が実施できる環境は整備された。

 だが、なぜ憲法改正が必要なのか。どの条項を変えて、何をよくしようというのか。議論を丁寧に積み上げなければ、国民投票での支持は得られまい。

 政党の責任も重い。「安倍1強」政治の前に自民党内からも異議を唱える声が途絶えがちだ。しかし衆院選後の世論調査では、党支持層も政権の安保政策に過半数が不支持とした。9月の党総裁選は安倍再選が既定路線とみられるが、活発な議論で多様な意見を反映してきた党の機能を取り戻せるかが注目されよう。

 公明党は安保法整備で歯止めをかけられるかが問われる。消費税の軽減税率導入と引き替えに譲歩するような次元の問題ではないことは、肝に銘じてほしい。

 衆院選で伸び悩んだ民主党は、18日に新代表を選出する。明確な対立軸を打ち出し、他の野党を束ねて安倍政権と対峙する体制作りが迫られる。党再生のラストチャンスとの危機感を共有すべきだ。

[京都新聞 2015年01月06日掲載]



沖縄タイムス社説 [新しい政治の誕生]壮大な挑戦 主役は県民
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=97419

2015年1月6日 05:30

 翁長雄志知事は昨年の知事選で、繰り返し二つの言葉を強調した。「イデオロギーよりアイデンティティー」「誇りある豊かさ」。

 いずれも一般向けのスローガンとしては生硬で、とっつきにくい。対立する陣営からは「意味不明」との批判も受けた。

 選挙中、さまざまな反応を引き起こしたこの二つのスローガンは実は、沖縄社会の深層で起きていた地殻変動を言い表した言葉だった。

 那覇市議(無所属)の前泊美紀さんは「長い間、私の中でモヤモヤと思い描いていた沖縄のあるべき姿。それを上手(うま)く言い当てた言葉が『誇りある豊かさ』だった」と指摘する(メールマガジン)。

 ウチナーンチュとしての「誇り」を革新が担い、現実的な「豊かさ」を保守が実現する、という保革対立の政治構造。革新は「基地」を問題にし、保守は「経済」を強調する、というパターン化された論戦。保革対立を前提とした従来型の政治は、「分断して統治する」という政府の姿勢を崩すことができず、限界にさしかかっていた。

 冷戦時代から続いてきた基地をめぐる政治に変化が生じてきたのは、2007年9月に開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」あたりからだ。「オール沖縄」への志向が急速に広がった。

 保革の枠を超えた新しい政治主体による「新しい政治」が生まれ、まったく新しいタイプの知事を誕生させたのである。「沖縄の挑戦」というべきだろう。戦後70年にあたる今年、第2幕が上がる。

    ■    ■

 「新しい政治」の誕生を促したのは、皮肉にも日本政府の理不尽な基地政策である。それがあまりにも強権的で差別的であるがゆえに、沖縄の人々は、抵抗の記憶を紡ぎ直し、「自治・自立」「いのち・環境」「人権・誇り」という普遍的な価値を掲げて立ち上がったのである。

 選挙で約束した「辺野古移設阻止」と「誇りある豊かさ」をどのように具体化していくか-それが「沖縄の挑戦」第2幕の大きな課題である。仲井真弘多前知事は官邸トップとの密談で物事を決めることが多かった。まずそのスタイルをやめてもらいたい。積極的に情報公開を進めるとともに、説明責任を丁寧に果たしていくことが、県民との信頼維持につながる。

 翁長県政という城の周りに、民意という名の強固な石垣を二重三重に張り巡らし、翁長知事の発信力を高める-そのような状況をつくり出すことが求められる。

    ■    ■

 翁長県政の前には、安倍政権という大きな壁が立ちはだかっている。強硬一点張りの政権に対しては、海兵隊の抑止力の虚妄性をあらためて問題にし、辺野古移設が「唯一の選択肢」だと主張する根拠を問い続けることが重要だ。

 自治体や市民が安全保障について深く学び、政府に対して疑問を突きつけることも21世紀の「新しい政治」といえる。沖縄の挑戦を世界の関係者が注目している。 		 	   		  


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