[CML 039386] 福島原発事故前の茶・しいたけのセシウム137
檜原転石
hinokihara at mis.janis.or.jp
2015年 8月 28日 (金) 07:18:58 JST
檜原転石です。
study2007『見捨てられた初期被曝』の記述──
「厚生労働省は事故後1年を経た2012年4月1日に一般食品中の放射性セシウム
(134、137の和)の基準値を100Bq/kgと設定しました。それを下回る食材は「基
準値以下」として流通しています。ところが原発事故前の日常食中のセシウム
137は、1人につき1日あたりでも0.01Bqから0.1Bqの範囲でした。」を読み、改め
て放射性物質を日本中にばらまいた東電の犯罪を確認したいと思います。
2012年の個人的検査のCs-137を中間値を8Bq/kgとし、北陸・甲信越地
方におけるしいたけ中のCs-137の1998年の数値──0.26と比較する
と、福島原発事故前のしいたけより、事故後のしいたけにはセシウム137は約
30倍含まれていることになります。これに低線量被曝にしきい値がないことを
考慮すれば、私たちは東電によって環境中に大量に追加された放射性物質によっ
て、一定数ががん死などで死ぬことは明白です。
「1mSvの被ばくで 10,000人中1人ががんになり、そのがんの半分が致死的」の基
準は大幅に甘く、かつ放射性物質は人にがんをもたらすだけではない。バンダ
ジェフスキーの『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響 チェルノ
ブイリ原発事故被曝の病理データ』という本も出ている。
それにも関わらず、このCMLにも以下のような小野昌弘の戯言を喜んで紹介
する人もいる。
「放射脳」「放射線恐怖症」「放射能おばけ」などという愚劣な言葉を喜ぶの
は核・原発マフィアの連中でしかないが、なぜか社会運動の側からも出てきてし
まうのは、簡単なことで「放射性物質は人をゆっくり殺す」からである。まあ今
すぐは死なないのだから、小野昌弘──「低線量放射線の影響が、はるか昔よりは
ずいぶん分かっているとはいってもまだ完全に解明されたわけではない以上、灰
色の領域は存在する。しかし重要な点は、この灰色の領域は、決しておばけに満
ちた恐怖の世界ではない。」などと悠長な戯言でも言えてしまうのである。
またstudy2007は「放射線業務従事者でさえ、放射性核種の摂取可能性につ
いては厳格に管理され、作業場などでの飲食は法規で禁じられています。」とも
言っている。放射線管理区域に指定されるような環境でも多くの住民が日常的に
飲食している状態が果たしてまともなことなのか?
私たちは未来を見通す知で原発災害の被害を最小限にとどめる義務があるのです。
★放射線管理区域 1.3mSv/3ヶ月 0.6µSv/h 40000㏃/㎡
▼放射能恐怖という民主政治の毒(10):放射能おばけとは何か(2)
小野昌弘 | イギリス在住の免疫学者・医師
2015年2月14日 22時37分
http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20150214-00043040/
放射能おばけの出現は必然であることについて
よく考えてみれば、こうして放射能おばけが社会を歩き回って人々の理性的な議
論と合意を阻害する状況に至ることは、福島第一原発で事故が起きた時点で既に
明らかであった。なぜならば、おばけの活躍する土壌は事故の規模にかかわらず
必ず生じたものであり、またチェルノブイリでの経験から、その土壌の上に非科
学的なデマが横行し人々に恐怖を与えることは明瞭だったのだから。
放射性物質が周囲に放出され環境が汚染されたならば、ある一定以上の汚染が見
られる地帯から人間は後退しなければならなくなる。逆に、もともとの平均的放
射線量と同じ程度の放射線しか検出しない地域に住むことは問題がない。論争が
生じえるのは、その間の領域である。この境界領域は事故の規模の大きさにかか
わらず必ず生じる。
おばけは真っ黒闇でも太陽の光の下でも無く、茫漠とした暗がりに現れる。放射
能おばけも例外ではない。放射線問題では、まず確実に安全だという部分と、確
実に危険だという部分のあいだに幅があり、そこに放射能おばけが発生する土壌
がある。
低線量放射線の影響が、はるか昔よりはずいぶん分かっているとはいってもまだ
完全に解明されたわけではない以上、灰色の領域は存在する。しかし重要な点
は、この灰色の領域は、決しておばけに満ちた恐怖の世界ではない。広島・長崎
以来の社会と科学の努力により随分明らかになってきたものであり、今なお明ら
かにされつつあるものである。この灰色の領域をたとえていえば、湖の波打ち際
のようなものだと言っても良いだろう。湖と陸の境界はいつも揺らいで見える
が、それは風景全体から見れば、ごく小さく静かな揺らぎである。
▼study2007『見捨てられた初期被曝』岩波書店、2015年
ページ──
また、本書で見てきたように、体表面スクリーニング基準10万cpmや環境除
染の基準0.23μSv/hなど、放射線に関する基準値に何らかの安全性を担保する意
味はありません。(2章、本章参照)。対処しきれない問題が発生すれば都合に
合わせて引き上げられますし、基準値を引き上げる際の手続きも適切には行われ
ませんでした。厚生労働省は事故後1年を経た2012年4月1日に一般食品中の放射
性セシウム(134、137の和)の基準値を100Bq/kgと設定しました。それを下回る
食材は「基準値以下」として流通しています。ところが原発事故前の日常食中の
セシウム137は、1人につき1日あたりでも0.01Bqから0.1Bqの範囲でした。放射線
業務従事者でさえ、放射性核種の摂取可能性については厳格に管理され、作業場
などでの飲食は法規で禁じられています。しかも、通常の放射線業務で取り扱う
核種は密封された線源か、あるいは放射化した機器や構造物から放射されるγ線
によるものです。それに対して、事故後、福島やその近隣県にまき散らされた放
射性核種は、大量の使用済み核燃料溶融物が微粒子やガスとして飛来し、土壌や
農地などに降下・沈着、あるいは海洋や陸水に流出したものです。それは、研究
者が実験室で扱う(特性が明かな)放射性セシウムやヨウ素の化合物とは異なる
化学的特性をもつ物質を含むと考えておくべきと思われます。高温・高圧な炉心
内で煮えたぎり、海水や炉心構造物に含まれるありとあらゆる不純物と反応した
様々な放射性核種を含む物質の、その基準値が詳細な科学的議論もなく「セシウ
ムを指標とし100Bq/kg」と設定されたわけです。これを安心して食べる(食べさ
せる)ことなど到底できません。
▼北陸・甲信越地方におけるしいたけ中のCs-137の経年変化
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food/servlet/food.do?pageSID=84_1701C08E43FAFB43DE817D46CF4B2CA7
北陸・甲信越地方におけるしいたけ測定結果
単位(Bq/kg)
核種
最小値 0.26
平均値 5.9
最大値 17
全試料数 3
検出数 3
非検出数 0
1992年 17
1994年 0.44
1998年 0.26
個人的検査
2012年、生しいたけ Cs-137 4.3~12.7
Csー134 1.2~8.2
▼東海地方における茶中のCs-137の経年変化
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food/servlet/food.do?pageSID=353_720B04AC9EFE7B3B17804AD05EAA791A
▼ 日常食から受ける放射線量
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/servlet/sel_dailyfood
日常食から受ける預託実効線量(平成元年度~平成17年度)
1989年~2005年
平均放射能濃度Bq/人・日
Cs-137 0.048
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