[CML 039217] 【京都新聞の社説】安保の参院審議  欠陥、露呈するばかりだ 「憲法や国会を軽視する態度は、「法的安定性は関係ない」(礒崎陽輔・首相補佐官)、「(戦争に行きたくないというのは)極端な利己的考え」(武藤貴也・自民党衆院議員)など相次ぐ暴言の土壌にもなっている。政権・与党のおごりというほかあるまい。」

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2015年 8月 18日 (火) 16:03:49 JST


【京都新聞の社説】安保の参院審議  欠陥、露呈するばかりだ


「安保の参院審議  欠陥、露呈するばかりだ

 安全保障関連法案は参院での審議が進むにつれ、理解が深まるどころか、次々と欠陥が露呈するばかりの事態に陥っている。」


「憲法や国会を軽視する態度は、「法的安定性は関係ない」(礒崎陽輔・首相補佐官)、「(戦争に行きたくないというのは)極端な利己的考え」(武藤貴也・自民党衆院議員)など相次ぐ暴言の土壌にもなっている。政権・与党のおごりというほかあるまい。」


【京都新聞の社説】安保の参院審議  欠陥、露呈するばかりだ
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20150818_4.html


 安全保障関連法案は参院での審議が進むにつれ、理解が深まるどころか、次々と欠陥が露呈するばかりの事態に陥っている。

 海外での武力行使を禁じた憲法に違反するのではないか−。土台からして、そうした重大な疑義を抱える点は、衆院の審議で憲法学者や歴代の内閣法制局長官らが指摘し、多くの国民に知れわたった。

 そこに目をつむり、参院審議で安倍晋三首相らが強調しているのは中国脅威論である。

 政府は法案の参院審議入り直前に、東シナ海での中国による新たなガス田開発の航空写真などを公表した。これを材料に「わが国をめぐる海の状況が変化した」と法案の必要性を訴える。だが、これまでも認められている個別的自衛権でなく、なぜ集団的自衛権が要るのかの説明にはならない。

 そこで首相は当初は否定的だった南シナ海での集団的自衛権を使った機雷掃海に、言及するようになった。従来、想定例としてきたホルムズ海峡での機雷掃海が、先月にイランと欧米が核問題で最終合意して現実味が薄れたため、答弁を軌道修正したのだろう。

 逆に言えば、時の政権の考えでいかようにも集団的自衛権が使え、他国の戦争に日本が加われるということだ。法案を「専守防衛の考え方と変わらない」と繰り返す首相の答弁は破綻している。

 法案の「歯止めのなさ」は後方支援、つまり自衛隊が海外で他国軍に行う兵站(へいたん)でも明らかだ。対象は米軍に限らず、「現に戦闘を行っている現場」以外なら地域も問わない。さらに「政策論としてあり得ない」としながら、核兵器の運搬さえ「法文上は排除していない」(中谷元・防衛相)という。

 審議中なのに、法案成立を前提として防衛省が南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)部隊に対し、「駆けつけ警護」の任務を与える検討をしている内部文書も明らかになった。来年2月にも自衛隊の武器使用を大幅に解禁する内容だ。隊員が負傷したり、相手を傷つける危険が飛躍的に増す。

 憲法や国会を軽視する態度は、「法的安定性は関係ない」(礒崎陽輔・首相補佐官)、「(戦争に行きたくないというのは)極端な利己的考え」(武藤貴也・自民党衆院議員)など相次ぐ暴言の土壌にもなっている。政権・与党のおごりというほかあるまい。

 安倍首相らは来月14日以降に衆院で再可決・成立させる「60日ルール」の適用も視野に入れるが、到底認められる法案ではない。

[京都新聞 2015年08月18日掲載] 		 	   		  


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