[CML 039110] Re: 今日の言葉 ――デマによって「反原発」を主張しようとする卑しい人間がいることがぼくには許せない・・・
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2015年 8月 12日 (水) 18:34:01 JST
以下は檜原氏への応信ではありません。読者のために以下の点について事実関係のみ述べるために書いています。
檜原氏が [CML 039089][CML 039097][CML 039100]の3便で主張している論拠はバンダジェフスキー著『放射性セシウムが人体
に与える医学的生物学的影響 チェルノブイリ原発事故被曝の病理データ』(2011年)と論文集『調査報告 チェルノブイリ被害
の全貌』(2013年)に負っていますが、その二著とも専門学会や専門誌、専門家の査読を経ていないもので、同二著の説には
専門家から「データに不備がある」 「信頼出来ない」などの批判の声があり、科学界からはまともな論文集として認められていな
い体のものです。そうした科学界では認められていない説の受け売りをして自説の展開をしてもなんらの説得力もないばかりで
なく、科学界ではすでにダメ出し=否定という形で決着がついているものを科学の素人がそのダメ出しの論のままに世間に受け
売り、流布するのは、デマの再生産というほかない行為というべきものです。 自身を民主主義者と自己規定する者がとるべき行
為とはとてもいえません。その旨をはじめに述べておきます。
さて、バンダジェフスキー著『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響
チェルノブイリ原発事故被曝の病理データ』
(2011年)の説が科学界から批判があることについては下記をご参照ください。
http://www47.atwiki.jp/info_fukushima/pages/139.html
同サイトには次のような指摘があります。
「放射能が怖いと論じる人たちが持ち出すバンダジェフスキーの論文(というよりレポート)は、複数の専門家(医師、病理医、
研究者など)から「データに不備がある」「信頼出来ない」との声が聞かれています。そもそも、学術雑誌と言えるかどうかも怪
しい(インパクトファクターの低い)雑誌に掲載された論文です。この論文【のみ】を論拠として「セシウムは心臓に溜まるのだ。
危険だ」と不安を煽るのはフェアではありません。」
「wikipediaでもこの「セシウムが心臓に溜まる…」の研究についての問題点が指摘されています。『彼の研究は以下の点で問
題があり、精査・追試が必要とされる。1・論文掲載の学術雑誌(そもそも学術雑誌と言えるレベルなのか不明である)のイン
パクトファクター。2・世界的論文引用度。3・人体におけるセシウムの心臓に与える影響は死者のみを対象としており、生者
との比較がそもそも不可能である。4・心臓と腎臓に関しては病的な所見はなく、標本作成時のアーティファクトがあるだけで
ある。(wikipediaからの引用) 」
論文集『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』(2013年)の説が科学界から批判があることについては私の論としてすでに
[CML 038798](2015/07/27)で述べていますので、以下に同論を再録(抜粋)することにします。
「ニューヨーク科学アカデミーから出版された論文集「チェルノブイリ被害の全貌」という本の絶版事件(略)に関する以下の
科学者の客観的事実に関する主張とウィキペディアの記述は私と薮田氏の主張の正しさを裏づけています。
『実は、この本(論文集)「チェルノブイリ大惨事、人と環境に与える影響」を出版したニューヨーク科学アカデミー自身が、こ
の本に幾つもの根本的な疑問・疑念が寄せられていることを同ウェブサイトで明確に表明している(リンク)。同雑誌によれ
ば、この本はロシア語で書かれた論文集の翻訳で当時、チェルノブイリの文献を翻訳して紹介するプロジェクトの一環とし
て出版されたが、同誌の査読を経ていないものだという。そして、(この本の査読の代理としてだろうが)、同論文集の具体
的な問題点を詳説した論文(5)さえ紹介している。しかも、この本は絶版であり、今後ニューヨーク科学アカデミーは再版し
ないことまで明言している。科学者の読者ならもう頷いていることと思うが、これだけのことを雑誌社が書くことは普通では
ない。雑誌社はこの論文集から距離をおきたがっており、この論文集が大変ないわくつきのものであることは明瞭である』
(小野昌弘(免疫学者・医師) 2015年1月4日)
http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20150104-00042002/
『この報告書がニューヨーク科学アカデミーで英語版として発表された際には査読をされていない。発表後5人の独立した
研究者によって報告の正当性が精査されたが、いずれも好意的な評価は得られていない。そこでは主に統計的手法に
批判が集中している。例えば放射線の健康被害を説明するための図表には多くの矛盾点が含まれ、データから導かれ
る論理的な説明は行われていない。そのためこの報告書は科学的根拠が薄弱であり、事故の犠牲者数は過大評価され
ていると結論付けられている』(Wikipedia『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』)」
http://bit.ly/1HFxAgX
東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/
From: 檜原転石
Sent: Wednesday, August 12, 2015 6:34 AM
To: 市民のML
Subject: Re: [CML 039089] 今日の言葉 ――デマによって「反原発」を主張しようとする卑しい人間がいることがぼくには許せない。
そうした「反原発」は真の被害者である福島の人たちを疎外し、結果的に差別する。
檜原転石です。
東本さん、こんちは。
簡単に言うと、内部被曝を伴う放射性被爆は人にがん死だけをもたらすのではな
い。よってがん死についての国際放射線防護委員会(ICRP)が現在採用して
いるリスク推定(10,000人が公衆の年間被ばく線量限度である1mSv被ばくすると
その中の0.5人ががん死する)の緩い基準は参考程度に考えてもよいかもしれない。
次に、安斎育郎がずーっと反原発だったから、彼の放射線量測定が常に正しいわ
けではない。
で、次に彼の測定が正しいと仮定しても──
【一方、安斎育郎氏らの実測で、現に 福島で暮らしている人たちの年間追加被
ばく量 (外部被ばく)が概ね1~2mSvに収まっている現状も明らかになった。
1~2mSvの追加被ばくということは、北欧やフランスなどの人々が自然放射線
によって被ばくしている量より遥かに低い。・・・】
こんな結論が出てきてしまうのは無知のなせるわざ。toriiyoshikiはバンダジェ
フスキー 『放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響 チェルノブイ
リ原発事故被曝の病理データ』(久保田護・訳、合同出版、2011年)という
本を全く読んでいないからで、北欧の人々は放射性セシウムを体内に取り込んで
いるのではない。
また例えば心臓の周りをぐるぐるしている放射性セシウムを無視しても、人間に
とって年間被曝量の2mSvの追加も凄まじい話で、「1mSvの被ばくで 10,000人中
1人ががんになり、そのがんの半分が致死的」の基準は緩く、10倍ぐらいに補正
すると、「1mSvの被ばくで 1000人中1人ががんになり、そのがんの半分が致死
的」になり、「2mSvでは500人中1人ががんになり、そのがんの半分が致死的」
になります。これ自体が恐ろしい数字だ。
私は無駄な医療被曝を避けて、0.05mSvのレントゲンを嫌がっているのに、
この放射線被曝に無頓着なおおらかさは一体何なの?
東本さん、反原発運動へのイチャモンをつけるなら、せめてバンダジェフスキー
の本を読んでからすると良い。助平な誰かが言ってます──「調査なくして発言権
なし」。
On 2015/08/11 19:49, higashimoto takashi wrote:
> 【「福島は危険でなければならない」とでもいうような倒錯した主張】
> 福島では「検出限界を高くしたり、計測時間を故意に短くして、NDという結果を
> 出す工作をしている」などというデマを流布し、そう
> いうデマによって「反原発」を主張しようとする卑しい人間がいることがぼくに
> は許せない(略)。ぼくたちが依拠すべきは「事実」と
> 「合理的思考」の2点であるべきだと思う。結論(例えば「反原発」、あるいは
> 「安倍政権批判」)が同じだからといってデマに与して
> しまえば、それは東電や安倍政権を批判する資格を失うことを意味していると思
> う。(略)福島原発事故による環境汚染は幸いな
> ことに当初懸念されたよりも少なくてすんだ。それはまさに「不幸中の幸い」と
> も言うべきことである。その事実を福島の人たちの
> ために素直に喜ぶことができない「反原発派」がいること自体がぼくには全く信
> じられない。(略)常々思っているのだが、放射能
> に対する恐怖に依拠した「反原発」は脆弱である。それは福島の汚染が懸念され
> たほどではないという事実が明らかになってき
> たときに、そのことを喜ぶどころか、感情的にその事実を否定するしかなくな
> る。そして、真の被害者である福島の人たちを疎外
> し、結果的に差別する。(略)南相馬市立総合病院などの調査によって、子ども
> たちのセシウムによる内部被ばくがほぼゼロに
> なっていることが明らかになってきている。一方、安斎育郎氏らの実測で、現に
> 福島で暮らしている人たちの年間追加被ばく量
> (外部被ばく)が概ね1~2mSvに収まっている現状も明らかになった。
> 1~2mSvの追加被ばくということは、北欧やフランスなどの
> 人々が自然放射線によって被ばくしている量より遥かに低い。もちろん「絶対安
> 心」などとは言えないし、データのない初期被ばく
> の問題も残るが、今後、深刻な健康被害が発生する可能性は当初懸念されたより
> 低くなってきているのが現実だ。(略)そのとき
> に、健康被害に対する恐怖感のみに依拠した「反原発」は説得力を失う。(略)
> 非合理的で感情的なだけの言説には議論に耐え
> うる客観性がない。(略)都合の悪い現実に目を瞑り、「福島は危険でなければ
> ならない」とでもいうような倒錯した主張を行うケー
> スも実際に出てきている。ぼくも非難されることが少なくないが、40年以上最
> 前線で反原発行動を続けてきた安斎育郎さんです
> ら「御用学者」などと罵られる始末だ。こうなると宗教のようなもので、普通の
> 人たちの感覚と遊離し、そして何より現実に福島で
> 暮らしている人たちを傷つける。(toriiyoshiki(NHK-ETVディレク
> ター)Twitter 2015年8月11日)
>
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