[CML 039029] 広島の初期放射線低線量被爆者は高い発がんリスクを示した
檜原転石
hinokihara at mis.janis.or.jp
2015年 8月 8日 (土) 06:46:33 JST
檜原転石です。
以前にも紹介した可能性もありますが、以下、──
▼広島の初期放射線低線量被爆者は高い発がんリスクを示した
渡辺智之 1、宮尾克2、本多隆文3、山田裕一3
1 愛知学院大学心身科学部健康栄養学科(愛知県日進市)
2 名古屋大学情報連携基盤センター(名古屋市)
3 金沢医科大学医学部(衛生学)(石川県)
短縮表題:「広島被爆者のがんのリスク」
http://www.miyao.i.is.nagoya-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2010/06/日本
語訳広島低線量被爆者のがんリスク.pdf
抄録
目的:本研究の目的は,寿命調査(LSS)の原爆被爆者のがんのリスクを,
広島県の全人口か
らなる非曝露群(広島県全住民対照群(HPCG)),隣接する岡山県の全人
口からなる非曝露群
(岡山県全住民対照群(OPCG))と比較することである。
方法:調査対象は,寿命調査(LSS)12報で報告された広島の被爆者集団
(LSS−Hグル
ープ)と,広島県全住民対照群(HPCG)及び岡山県全住民対照群
(OPCG)からなる比較
対照群であった。
本研究では,寿命調査(LSS)12報における広島の被爆者集団の年齢構成
を,原爆が投下
された1945年に0歳から34歳であった広島・岡山県民の集団と同等の年齢
構成に補正した
上で,広島の被爆者集団が,観察期間中,前記広島・岡山県民の集団なみに死亡
したとして,寿
命調査(LSS)12報における広島の被爆者集団の全死因及び各種のがんに
よる死亡の期待数
がどれほどになるか推定した。そして,広島県全住民対照群(HPCG)および
岡山県全住民対
照群(OPCG)とを基準とする広島の被爆者集団(LSS−Hグループ)の
2つの標準化死亡
比(SMR−H)と(SMR−O)を算出して比較した。
結果:低線量及び極低線量の被爆者分類にあっても,広島県全住民対照群に対
する標準化死亡比
(SMR−H)と岡山県全住民対照群に対する標準化死亡比(SMR−O)
は,全死因による死
亡,全がん,固形がん,男性の肝臓がん,女性の子宮がん,肝臓がんについ
て,それぞれ有意に
高かった。この結果は,仮に1986年線量推定方式(DS86)による線量推
定が正しいとす
ると,極低線量被爆者にあってさえ,がんのリスクが有意に増加していること
を示すものである。
結論:DS86による線量推定については,爆心地から遠距離の地域の線量を
過小評価している
との批判がなされてきた。寿命調査(LSS)において無視されている残留放
射線の寄与や,D
S86によって過小評価された中性子線の寄与が,かなり高いのではないかと
示唆された。
・・・
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