[CML 036991] 避難者のこえ Re: 帰還して卒業式に迎えられる感動を描く「そつぎょう」

T.kazu hamasa7491 at hotmail.com
2015年 4月 9日 (木) 20:17:29 JST


みなさま
いわき市からの区域外避難(自主避難)されているご家族の
父親の方からご意見を頂戴しました。
東京で孤立しがちな避難者同士の、
人と人との繋がりに努めていらっしゃいます。 


ご了解を得ましたので、皆様に読んでいただきたいと思います。
ni0615田島拝

(ここから)
>「 ふくしまからきた子は 避難先の広島から
>胸いっぱいに 希望や 喜びや 友達や 家族や 幸せを感じながら
>福島に帰ります。
>不安や 絶望や 悲しみや 憎しみや 孤独から
>”そつぎょう”するために-ーー 」

私の身のまわりには、家庭、親族のやむにやまれぬ事情で
泣く泣く帰った方々がいます。
この西田敏行氏のメッセージはにわかに信じがたいものです。

西田氏は本当に避難断念者の話を直接聞いたのでしょうか。
聞いたのだとすると、
それは私の身の回りの避難者(避難断念または中断者)
とはかけはなれた考えの持ち主です。

少なくとも私の身の回りに
「胸いっぱいに 希望や幸せを感じながら 福島に帰った」人などいません。
「不安や 絶望や 悲しみや 憎しみや 孤独から”そつぎょう”するために」帰った人もいません。

むしろ、絶望に近い不安を抱え、帰った後も地域コミュニティーとの考えの違いから孤独が続いているのです。

西田氏が悪意を持ってこのような事実誤認をしているとは思いたくありませんが、
善意だったとしても看過できません。
西田氏の社会的影響力の大きさを考えると、
事実誤認にあたる軽率な発言は確実に避難者を追い詰めることになります。

特に科学的に危険性を理解、主張することが難しい一般の避難ママにとって、
この、西田氏のメッセージは不安を駆り立てるばかりです。

(長瀧会議のメンバーが「安心して帰ろう」と言っても、
その裏のどろどろ(悪意?)を察して
避難を続けることへの疑問は湧きません。
しかし、西田氏に「帰れば安心だよ」と言われると、
善意で言っているように感じてしまうので、
守ろうとしている家族や子供に
避難という苦行を強いているだけなのではないか?との疑問が生じ、避難を続けることが悪いことであるかのように思え、
不安が増すのです。)

そして、おそらくこの本を手にする人は、
避難当事者よりも、避難とは関係のない一般の方のほうが多いでしょう。

このような出版物やニュースが流れるたびに、 

・「帰れるようになったんだね」
・「安心して帰れるように応援しないとね」
といった新たな善意が生じるのです。

善意が背景なだけに、対応が困難です。
この手の善意が日々ひろがりつつあることは、 

避難者にとって強烈な脅威です。


確実にこの善意の脅威が浸透しつつあることを 

ひしひしと実感しています。
そして、これに対する有効な対抗策が私には見えません。

せめて、機会があるごとに
一人でも二人でも理解者を増やす努力をしています。
しかし、悔しいことに、
西田氏の帯メッセージ一発のほうが、桁外れに威力がある。
私の努力なんぞ蚊の一刺しにもならないのでしょう。
でも刺しますよ。何度でも。

(以上、区域外避難者の方から)


-----Original Message----- 
From: T.kazu
Sent: Thursday, April 09, 2015 12:50 PM
To: ML_ CML ; ML平和への結集・市民の風 
(新)
Subject: [uniting-peace:3915] 帰還して卒業式に迎えられる感動を描く「そつぎょう」

みなさま

とどいた絵本は、
『ふくしまからきた子 そつぎょう』松本春野、岩崎書店1300円+税
帯のおもてには、顔写真入で西田敏行氏のメッセージがあります。

「 ふくしまからきた子は 避難先の広島から
胸いっぱいに 希望や 喜びや 友達や 家族や
幸せを感じながら
福島に帰ります。
不安や 絶望や 悲しみや 憎しみや 孤独から
”そつぎょう”するために-ーー 」

この言葉を聞かされるお子さんを連れて県外避難した
お母さんたちは、どう思うでしょうか?

帯の裏には小さな字で高畑勲スタジオジブリ監督のコメントです。
「 春野さんの描く子はいきいきしてて、息づかいが聞こえてきそう。
すばらしいレイアウトと、水彩の絵に気持ちがあふれ、
いとしくて、心がほっこり、あたたかく 」

作者松本春野氏の父親で、いわさきちひろの長男である松本猛氏は、
長野県安曇野にある いわさきちひろ記念館の館長ですが、
巻末に解説文を書いてます。

作品ストーリーの解説ではなく、福島の現況についてです。
言わんとすることは、
「 福島の汚染は大変で、安全になったとは必ずしも言えないが、
ひとびとは努力して安全に暮らしている 」
という趣旨で、

安斎育郎氏がアドバイスを贈っている2つの保育園の園児の線量が、
世界各国の園児のそれより低いことを示すグラフが、
猛氏の弁の裏づけとされてます。
(ちょっと待って、外国の子供たちはガラスバッチで測ったのかなあ?
空間線量計で測ったものとガラスバッチで測ったものをおなじグラフにするのは、
ルール違反ですよ)

いずれにしても、この本を直感的にヨシとすることは、
それが限りないヒューマニズムの善意であったとしても、
即、避難を続けたい人の孤立化に、組することになります。
(・・・そういう心遣いをして読む人は少数でしょう。)

春野氏の前作は避難者に心寄り添う『ふくしまからきた子』松本猛・春野共著ですから、
この第2作は、
作者春野氏の転向でもあり、避難者への転向のすすめでもあります。

西田敏行氏が作者のメッセージを代行してるとすれば、
この絵本は、避難者に帰還を促し、
そうする人たちに対してのみ連帯のゴールを示す、
「国民主義運動」の布教書なのかもしれません。 

「放射線被曝の理科・社会」が示す運動論に寄り添うものとして。


相手が洗練された「国民主義」運動だとすると、 

それへの抵抗は、ひとり孤立してできるものでは、決してありません。
「そつぎょう」できない人たちに残るのは、
西田氏が極めつけの優しさをもって恫喝したとおり、
不安や 絶望や 悲しみや 憎しみや 孤独なのですから。

ni0615田島拝
(故人は敬称略)



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