[CML 034132] Re: 国立市マンション訴訟:元市長の上原公子さん無事勝訴

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 9月 26日 (金) 18:55:08 JST


前田朗氏 wrote:
>  国立市マンション訴訟で、元市長の上原公子さん、無事勝訴でした。嫌がらせ裁
> 判に対して、住民自治を守る闘いを敢然と貫きました。

国立市マンション訴訟の原告側(国立市)の訴えを果たして「嫌がらせ裁判」などと侮蔑語を用いることは果たして正しいこと
でしょうか? また、同訴訟の被告側(上原公子元国立市長)の応訴を「住民自治を守る闘い」など称揚することは適切とい
えるでしょうか?

この件についての私の論はまた改めて述べることにしたいと思いますが、ここでは私という一個の素人の意見を述べるより
も、「首長の行為の違法を追求可能とする住民訴訟の制度の趣旨」に即して、また、地方議会のあり方に関する総務省の
見解や最高裁の判例を援用し論理的に今回の東京地裁の判断に重要な疑問を提起している法律の専門家としての澤藤
統一郎弁護士の論をご紹介させていただこうと思います。

要点は、「公益」のために認められた特別の訴訟類型としてたった一人でも行政の違法を質すことができる制度である住民
訴訟の意義を議会の多数決で無にすることは「正義」に適うかどうかというところにあるように思います。私は澤藤統一郎弁
護士の論に正統な説得力を感じます。

なお、澤藤弁護士の論中に「市議会が、11対9の票差で裁判にかかっている国立市の債権を放棄する決議をした」という
くだりがありますが、私の調べたところこの「11対9の票差」の内訳は以下のとおりですが、「党派性」でこの問題を判断す
るのは誤りのもとだと私は思います。判断すべき材料はあくまでも「論理」、そして「市民的権利」というものであろう、と私は
思います。

国立市議会賠償金請求権利放棄決議

賛成:
重松朋宏(緑の党)、上村和子(こぶしの木)、生方裕一(維新の党)、藤田貴裕(社民党)、望月健一(みらいのくにたち)、
長内敏之(共産党)、尾張美也子(共産党)、高原幸雄(共産党)、阿部美知子(生活者ネット)、小川宏美(生活者ネット)
前田節子(生活者ネット) 合計11票

反対:
稗田美菜子(民主党)、藤江竜三(新しい風)、池田智恵子(つむぎの会)、中川喜美代(公明党)、小口俊明(公明党)、
石塚陽一(自民党・明政会)、大和祥郎(自民党・明政会)、石井伸之(自民党・明政会)、東一良(自民党・明政会) 合計
9票



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■株主代表訴訟と住民訴訟、明と暗の二つの判決(澤藤統一郎の憲法日記 2014年9月25) 

http://article9.jp/wordpress/?p=3589

誰もが自分の権利・利益を保護するために裁判を申し立てる権利を持つ(憲法32条)。とはいえ、裁判は自分の権利・利益
の保護を求めてのもの。自分の権利の保護を離れての訴訟提起は法が想定するところではない。正義感から、公益のた
めに、世の不正や違憲の事実を裁判所に訴えて正そうと、裁判を提起することは原則として許されない。

もっとも、これにはいくつかの例外がある。自分の権利保護を内容としない訴訟を「客観訴訟」と言い、客観訴訟が認められ
る典型例が地方自治法上の「住民訴訟」。地方自治体の財務会計上の行為に違法があると主張する住民は、たった一人
でも、住民監査を経て訴訟を提起することができる。住民であるという資格だけで、全住民を代表して原告となり、自治体コ
ンプライアンスの監視役となって訴訟ができるのだ。

よく似た制度が「株主代表訴訟」。これも、取締役らの不正があったと主張する株主は、たった一人で裁判所に提訴ができ
る。各取締役個人を被告として、「会社に与えた損害を賠償せよ」という内容になる。原告にではなく、会社に支払えという
裁判。住民訴訟同様に、原告となる株主個人が、全株主を代表して損なわれた会社の利益を回復する仕組みであり、この
制度あることによって取締役の不正防止が期待されている。

株主代表訴訟と住民訴訟、両者とも私益のためではなく、「公益」のために認められた特別の訴訟類型。はからずも本日
(9月25日)東京地裁で、両分野で、注目すべき判決が言い渡された。

まずは、株主代表訴訟。西松建設事件である。(中略)たった一人の株主が、会社の不正を質した判決に到達したすばら
しい実践例。「株主オンブズマン」(大阪市)の日常的な活動があったればこその成果といえよう。

もう一つは、住民訴訟関連の判決。報道の内容は次のとおり。

「高層マンション建設を妨害したと裁判で認定され、不動産会社に約3100万円を支払った東京都国立市が、上原公子
元市長に同額の賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であり、増田稔裁判長は請求を棄却した。
増田裁判長は『市議会は元市長に対する賠償請求権放棄を議決し、現市長は異議を申し立てていないので、請求は信
義則に反し許されない』と指摘した。」(時事)

先行する住民訴訟において、東京地裁判決(2010年12月22日)が、元市長の国立市に対する賠償責任を認容し、こ
の判決は確定している。元市長は任意の支払いを拒んだので、国立市は元市長を被告として同額の支払いを求めた訴
訟を提起した。

ところが、その判決の直前に新たな事態が出来した。市議会が、11対9の票差で裁判にかかっている国立市の債権を
放棄する決議をしたのだ。今日の判決は、この決議の効果をめぐっての解釈を争点としたものとなり、結論として国立市
の請求を棄却した。

こちらは、せっかくの住民訴訟の意義を無にする判決となって、高裁、最高裁ともつれることになるだろう。

問題は、たった一人でも行政の違法を質すことができるはずの制度が、議会の多数決で、その機能が無に帰すことにな
る点にある。

たとえば、総務省の第29次地方制度調査会「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申」(2009年
6月16日)は、次のように述べている。
「近年、議会が、4号訴訟(典型的な住民訴訟の類型)の係属中に当該訴訟で紛争の対象となっている損害賠償請求権を
放棄する議決を行い、そのことが訴訟の結果に影響を与えることとなった事例がいくつか見られるようになっている。
4号訴訟で紛争の対象となっている損害賠償又は不当利得返還の請求権を当該訴訟の係属中に放棄することは、住民
に対し裁判所への出訴を認めた住民訴訟制度の趣旨を損なうこととなりかねない。このため、4号訴訟の係属中は、当
該訴訟で紛争の対象となっている損害賠償又は不当利得返還の請求権の放棄を制限するような措置を講ずるべきであ
る。」

私は、この考え方に賛成である。首長の違法による損害賠償債務を議会が多数決で免責できるとすることには、とうてい
納得し難い。国立市はいざ知らず、ほとんどの地方自治体の議会は、圧倒的な保守地盤によって形成されている現実が
ある。首長の違法を質すせっかくの住民訴訟の機能がみすみす奪われることを認めがたい。

とはいえ、現行制度では、自治体の権利の放棄ができることにはなっており、その場合は議会の議決が必要とされてい
る。問題は、議会の議決だけで債権の放棄が有効にできるかということである。

最高裁は、古くから「市議会の議決は、法人格を有する市の内部的意思決定に過ぎなく、それだけでは市の行為として
の効力を有しない」としてきた。高裁で分かれた住民訴訟中の債権放棄議決の効力について、最近の最高裁判決がこ
れを再確認している。

2012(平成24)年4月20日と同月23日の第二小法廷判決が、「議決による債権放棄には、長による執行行為として
の放棄の意思表示が必要」とし、これに反する高裁判決を破棄して差し戻しているのだ。 


国立市の現市長は、「長による執行行為としての放棄の意思表示」をしていないはず。最高裁判例に照らして、「現市長
は異議を申し立てていないので、請求は信義則に反し許されない」は、すこぶる疑問であり、不可解でもある。

首長の行為の違法を追求可能とするのが住民訴訟の制度の趣旨。この判決では、市長派が議会の過半数を味方にす
れば責任を逃れることが可能となる。さらに、前市長・元市長の違法を追求しようという現市長の意図も、議会の過半数
で覆されることになる。

このままでは、せっかくの住民訴訟の制度の趣旨が減殺される。上級審での是正の判断を待ちたいところではある。
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東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
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From: maeda at zokei.ac.jp
Sent: Friday, September 26, 2014 9:39 AM
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Subject: [CML 034124] 国立市マンション訴訟:元市長の上原公子さん無事勝訴
前田 朗です。
9月26日

国立市マンション訴訟で、元市長の上原公子さん、無事勝訴でした。嫌がらせ裁
判に対して、住民自治を守る闘いを敢然と貫きました。

朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASG9T4WNJG9TUTIL027.html
読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/news/20140925-OYTNT50571.html




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