[CML 034037] 神奈川新聞のヘイト・スピーチ記事に寄せて

Maeda Akira maeda at zokei.ac.jp
2014年 9月 22日 (月) 13:53:43 JST


前田 朗です。

9月22日

神奈川新聞のヘイト・スピーチ記事です。

*時代の正体(26)ヘイトスピーチ考 不正義を前に  もどかしさ*

http://www.kanaloco.jp/article/77889/cms_id/102360

なかなかいい記事ですが、特殊 な日本的議論を反映していて、次のような限界
があります。

記事は川崎のヘイト・デモとの 関係で、<「集会、言論の 自由は憲法で保障さ
れている。デモの内容からして反対する人の気持ちは分かるが、規制には根拠と
なるが法令が必要。市都市公園条例は集会 を規制しておらず、適用できる項目
がない」と職員は言う>と書いています。

つまり、<自治体はヘイト・デモを規制できるか>と問いを立てて、「表現の自
由」「集会の自由」を根拠に、「根拠法令がな いから規制できない」という結
論を出しています。川崎市職員の見解をこの記事は是認しています。日本では多
くの憲法学者や弁護士がこうし た主張をしています。しかし、この議論は誤り
です。

正しい問いは、<自治体はヘイト・デモに協力 しても良いか>です。

第1に、人種差別撤廃条約第2 条は、政府が人種差別をしないことだけでな
く、政府が民間の人種差別をやめさせること、そして、政府が民間の人種差別に
協力してはならな いことを定めています。

第2に、人種差別撤廃条約第4 条柱書き(日本政府は留保していないので、日
本にも適用される)は、政府がヘイト・スピーチを非難することを求めています。

第3に、人種差別撤廃条約第7 条は、政府が人種差別につながる偏見と戦うこ
とを求めています。

自治体はヘイト・デモに協力し てはいけません。ヘイト・デモをやめさせる責
任があります。それゆえ、自治体がヘイト・デモにわざわざ許可を与えて、その
結果としてヘイ ト・デモによって人権侵害がなされれば、人権侵害被害者は自
治体を相手どって損害賠償訴訟を提起することができると考えるべきです。

この点の検討が従来、非常に弱 いのが実情です。



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