[CML 034035] Re: 民衆は国家に命令する

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 9月 22日 (月) 13:26:43 JST


坂井さん 小林さん

カミュは私も好きな作家です。そういうこともあって、というわけでもありませんが、ささいなことですが少し補足のようなことを
述べさせていただこうと思います。

小林さん

西日本新聞に載った「カミュの社説」の記事は西日本新聞の 「ワールド望遠鏡」というオピニオン欄に掲載された井手さんと
いう記者の手による「私説」(コラム記事)ですね。同紙の「社説」ということではないようです。

坂井さん 

坂井さんは「驚くべきことは、原爆に関する情報がほとんど無かったにもかかわらず、原爆の非人間性を見抜き、核兵器廃
絶を主張したことです」とカミュを絶賛していますが、カミュが「45年8月8日には、広島への原爆投下について社説を書いて
いる」ということは、カミュは8月8日以前、おそらく「広島への原爆投下」の翌日の7日の時点では6日の同原爆投下の情報
を知っていたということになります。「広島への原爆投下」の情報はビッグニュースですからおそらくさまざまなメディアを通じ
て瞬時に全世界に流されたのでしょう。当然、フランスにも。だから、カミュが8日の時点で「広島への原爆投下」のニュース
を知っていたとしても特段に「驚くべきこと」のようには思いません。

「原爆に関する情報」そのものについても、1942年には米国によって原子爆弾開発のためのマンハッタン計画が着手され、
1943年にはソ連共産党書記長のスターリンが原子力プログラムの開始を命じていますから(wikipedia『原子爆弾』)、193
5年に共産党に入党している左翼知識人で、かつ、戦前のパリでサルトル、ボーヴォワールらとも親交のあったカミュはこう
した情報は比較的容易に入手していたでしょう。だから、カミュは当時の「知識人」としてはごくふつうの立ち位置にいたという
べきでこれも特段に「驚くべきこと」のようには思いません。

また、坂井さんは、カミュは45年8月8日の時点で「核兵器廃絶を主張」していたとも書いていますが、西日本新聞に掲載さ
れた「カミュの社説」を読むかぎり、その「カミュの社説」には、「機械文明はその野蛮さの極点に達した。人類は遅かれ早か
れ、集団自殺か、科学的成果の知的利用か、どちらかを選ばなくてはならないだろう」という一節がありますが、この一節を
「核兵器廃絶」の主張とまで読解することはできません。そのように読解するには飛躍がありすぎます。すなわち、坂井さん
の主観的な読解というべきだろう、ということです。

カミュを「慧眼の小説家」と評価するのは賛成ですが、カミュを弱視的に「崇拝」視して評価するのは賛成できません。「弱視」
と「慧眼」はまったく対極のものです。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

From: 小林アツシ
Sent: Monday, September 22, 2014 10:37 AM
To: 市民のML
Subject: [CML 034030] Re: 民衆は国家に命令する
小林アツシです。

坂井貴司さん

アルベール・カミュに関する西日本新聞の社説のご紹介、ありがとうございます。
私自身も、高校生の時に『異邦人』を読んで感銘を受けました。

> 2014年8月7日付け西日本新聞夕刊

この社説は、ネットでも読めるのかなと思って、調べてみたら、
「2014/08/08付 西日本新聞朝刊」
になっていました。
(地域によって掲載日等が異なるかもしれませんが……、)

以下です。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world_telescope/article/106620

細かい点ですが、補足させていただきました。

-- 
小林アツシ



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