[CML 033986] ICRP体系を科学の原理から徹底批判:矢ヶ崎克馬「長崎原爆体験者訴訟」追加意見書

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2014年 9月 20日 (土) 17:05:34 JST


みなさまへ     (BCCにて)松元


■拡散希望■


●被爆者ではなく被爆「体験者」?

長崎被爆体験 者訴訟とは、爆心地から半径12キロ以内の被爆未指定地域で長
崎原爆に遭い、被爆者と認められてこなかった「被爆体験者」が国や県、長崎
市を相手に被爆者健康手帳の交付など国家損害賠償を求めている集団訴訟です。


長崎の被爆地 として指定されている地域は南方に12辧東、北、西には5
とゆがんだ地域指定と なっています。実際は、原子雲はほぼ等方に広がってい
ます。東、北、西方面の地域の人々は「正当に被爆地域を決めてほしい」という
要求が 上がり続けていま した。しかし国側は「あなた方は放射線に打たれてい
ません。放射線に打たれたのでないかという精神的ストレスが病気を引き起こし
ているのです。」と言い続 けてきました。精神神経的な病気にかかっているこ
とを条件に国は健康手帳を支給しています。それでこの扱いを受けている方々
が、精神的に 被爆を体験しているとして「被爆体験者」という珍妙な名称で呼
ばれているのです。フクシマでも、被曝者と被曝「体験者」が 区別されるので
しょうか。


被告側(国、 県、市)は、「放射線起因のがんが増えるのは被ばく線量が
100ミリシーベルトを超える場合で、…爆心地から12キロの被爆未指定地域
で それほど高線量の内部被ばくをすることはあり得ない。…確認された被ばく線
量では住民への健康影響はない。」と主張しています。これは、 3・11後の
福島原発の被ばく被害に対する国、企業、行政側の姿勢とまったく同様であるこ
とを示しています。


この根拠こそICRPの放 射線防護体系です。じっさい第1次訴訟では、国側が
約20人の専門家※の 連名でICRPに基 づいて沢田昭二氏の 主張には「科学
的根拠がない」と反論しているのです。今回の裁判は、まさに「内部被曝」が争
点です。被告側が依拠 する内部被ばくを隠ぺいするICRPの防 護体系こそ
が、核心的争点になっているのです。内部被曝の科学的実在を認定させることが
できなければ、福島原発事故で避難した多くの人た ち、避難せず に忍従してい
る人たち、将来の疾病に不安を抱いている人たち、損害賠償を請求する人たち
が、たんなる「体験者」として打ち棄てられることは目に見えていま す。


※こうした「専門家」が国側企業側の「科学的」裏付けを提供していることが依
然続いていますが、今般、日 本学術会 議第1部から公表された「提言」によれ
ば、「放射線被曝の健康影響を過小評価する姿勢」こそが「科学者の信頼失墜」
を招いた重要な一因であるとし、「その 後、信頼回復へ向かうど ころか、時と
ともにさらに深刻さを増していった。」「「統一見解」という考え方の「崩壊」
が社会の信頼を失う大きな要因となった。」と 指摘しています。
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-15.html 


第1陣原告 388人(長崎地裁敗訴、現在福岡高等裁判所に控訴中)、第2陣
原告161人(長崎地裁提訴)で、今回は549 名の方々が「被爆者として認
定せよ」と訴訟を起こしています。この被爆体験 者訴訟は、原告が69年間の
痛苦の思いを込めて命尽きるまで、最後の力を振り絞って、「被爆者援護法の精
神に従って、正当な扱いを」求め ている裁判です。内部被曝によ る放射線被曝
が主論点となっていますので勝訴すれば「フクシマ」の住民の今後に重大な影響
があります。拡散をお願いいたします。


●ICRP体系を科学の原理から徹底批判
ここで以下に紹介するのは、矢ヶ崎克馬氏による長崎原爆体験者訴訟の追加意見
書です。


とくにその第1章がICRP体系 に対する科学の原理からの徹底批判となってい
ます。ICRPの「えせ科学性」について論じ、人間の健康影響の基準とは断じ
てなりえない 「反-非-科学」体系であることを論証しています。おそらく
ICRP 放射線防護学は「科学でない」ことを論じた世界でも初めての科学的
な全面批判と思われます。矢ヶ崎さん自身意見書の末 尾に、 「体内被爆者であ
り、広島で最も若い認定被爆者であった亡き妻沖本八重美に捧げる」と献呈の辞
を記しているように、渾身のちからで世界を覆う核=原子力体 制に立ち向かって
います。


全文は下記のURLでご覧 いただけますが、80ページにも及ぶ科学的論証の積み重
ねですから一般のわれわれには読み通すことに難儀します。ここに「第1章
ICRP体 系と科学のその1、ICRP体 系の誤り」から一部抜粋して紹介し
ますので、ご参考の糸口にしていただきたいと思います。とくに、各地の原発訴
訟で闘っておられる方々、 被曝の惧れで悩んでいる方々、政府やメディアの情
報に疑念を抱かれている方々、もしくは、それらの情報を信じ込んでいる方々
に、この力強 い意見書をぜひ読んでほしいと思います。


なお、原爆投 下後ただちに始まり今日まで続く【核兵器と原子力産業を存続さ
せるための】核=原子力隠蔽体制は、メディアを利用した「安全神話」の自作 自
演でその棄民政策を拡大し続けています。 また、9・11事件及びその後のテロリ
スト支援による自作自演で「対テロ 世界戦争」という独立国家を解体、懐柔す
る【イスラエル国家と軍需産業を存続させるための】征服戦争は、何百万人もの
犠牲者を伴って現在進行中です。日本政府が画策する「集団的自衛権」も米
-NATO軍を軸としたその勢力への参画です。ともに科学を歪曲 した巨大なプ
ロパガンダで民衆を呑みつくし、とも に国連を隠れ蓑に利用し、国際法を蹂躙
し世界民衆の人権と公正を愚弄し続ける一方で、この虚構と隠 蔽に抵抗する市
民と少数の良心的科学者たちによる「科学=真実を闘いとる」あるいは「人間を
回復する」闘争を余儀なくさせています。根が まったくひとつの一体構造をな
していることに着目したいと思います。(2014 年9月20日、松元記)


※本紹介は以下の「抜粋紹介」とともに著者矢ヶ崎克馬さんのご了解を得ていま
す。なお、琉球大学名誉教授の 矢ヶ崎さんの専門は物性物理だそうです。鳥島
の米軍射爆場における劣化ウラン弾の抗議から一貫して一市民の立場で参画して
きたといい ます。

★*矢ヶ 崎克馬 「長崎原爆体験者訴訟」追加意見書*(2014年9月10日)
*全文URL*:http://yagasaki.i48.jp/doc/ICRP-criticism-20140910.pdf



また、この訴訟に注目 していただき、励ましと抗議の声を届けていただきたい
と思います。

*【激励先】*
**諫早総合法律事務 所:龍田紘一朗<cyh01311 at nifty.com
<mailto:cyh01311 at nifty.com>>

矢ヶ崎克馬yagasaki888 at gmail.com <mailto:yagasaki888 at gmail.com>

*【抗議先】*
「被爆体験者」の主管先:厚生労働省https://www-secure.mhlw.go.jp/getmail
/getmail.html

「被爆体験者」の業務担当、県お よび市:

長崎県http://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/kenseijoho/goiken-
gosodanmadoguchi/kocho/goiken-kocho/

長崎市http://www.city.nagasaki.lg.jp/syokai/770000/776000/p023498.html



=====以下、*抜粋紹介*=====
※論証を積み重ねる科学論文の「抜粋紹介」はルール違反ですが、市民生活に密
接に関連しまた世界市民の世界観に寄与する問 題でもあります ので、ご海容く
ださい。(紹介者)


*矢ヶ崎克馬「長崎原爆体験者訴訟追加意見書から第1章ICRP体系と科学の
1、ICRP体系の誤り」より*


本意見書は,放射線の人体影響は科学の対象であり,科学の原理,法則に支配さ
れるという基本的視点から,被告 側が依存するICRP体系が科学上の真理及
び科学的方法の原理に反することを指摘し,関連する諸課題を論じる。


第1章 ICRP体系と科学
1 ICRP体系の誤り
科学の荒廃,教条化は具体性の捨象に始まる。総論として,矢ヶ崎は,科学する
という行為は真理の発見とそこに至るプロセスとしての研究で あると考える。
放射線の人体影響は自然科学の一分野に属する。ICRPが累々と築き上げた放
射能の人体影響,被曝被害の体系は自然科学の 原則に反している。
(略)
真理(客観的認識)は,反論可能性を保証するものでなければならない。研究の
自由,研究に対するあらゆる弾圧の廃絶,秘密・機密の解除, データと研究方
法の解放などである。真理性が信仰や政治的・経済的権威・権力に支配されるも
のであってはならない。
(略)
ICRPが累々と築き上げた人間に対する放射線被害評価体系(ICRP体系)
は論ずればきりがない誤りがある。そのなかで本意見書の焦点 を誤りの集合の
なかで基本的誤りであると認められる点,即ち具体性の捨象,放射線の照射と吸
収の混同,諸概念にわたる物理量を同一単位で 取り扱う混乱、放射線物理作用
解明の回避に発する 反明晰判明性に絞って叙述する。

(略)
事実と実態を具体的に把握して科学することからの逸脱という点におい
て,ICRPの体系には,少なくとも3つの欠点がある。
 (照射線量概念の破棄:外力としての放射線量と生物の反応量との区別をなく
した誤り)
(略)
ICRPはこの区別を破棄し,混同,混乱の体系に作りかえた。電離放射線は,
外部から強制的にもたらされる 外力である。この外力の存在,従ってその認識
が第1の出発点である。しかるに,ICRPは,定義を立てるに当って,外力で
あることを示す「照 射線量」の概念を破棄し,外力の存在を不明確にした。こ
のやり方がいわゆる瞬時の外部被曝しか対象とせず,長時間かけて起こる内部被
曝は本格 的に取り扱わないことの「合理化」につながった。このことは
ICRP研究設計の本質と深くかかわる。すなわち照射線量と人体の反応量であ
る吸収線量などの諸量とを混同させたことによる,諸障害が生じる閾値線量の極
端な過大評価.相対的リスク発生量として計算された「実効線量」を放射線の強
さそのものを表す「線量」に適用する換骨奪胎による極端な放射能環境の過小評
価.それらの手法により、放射線防護学を混乱させ,著しく科学か ら逸脱させ
た。外からの「照射線量」と内の「吸収線 量」を明確に区別して,そして両者
の関係を求めるべきところを,物理法則把握の基本方法を踏襲せず,混同するこ
とによって「放射線場」を不明 晰にすることに加え,人体の反応をも不明にした。

(略)

 (放射線作用の定性的普遍的性質をブラックボックスに閉じ込める)
生物にとって電離放射線の物理的作用が所謂「場」となる。ICRPは電離放射
線の物理的作用を具体的に論じない。すなわち「場」としての放射 線の定性的
普遍的性質を論じない。電離放射線の対象に及ぼす作用の現場は,人体の内か外
か,臓器の内か外か,細胞の内か外かでそれぞれ大きく 異なる。にもかかわら
ずICRPはそれを区別する科学方法をあえて持とうとしない。それは放射線の
「場」としての定性的普遍的性質を明確にし ないがゆえに区別できる実力を持
たないことが根本にあり,それがICRPにとって都合がいいことなのだからで
ある。ICRPは電離放射線の本 質的な物理的作用に関する自己の理論を少な
くとも対外的に明晰にしない方途を選択することによって,被曝の実態をなす電
離作用の有無,電離の 分布状況など,具体的状態,状況を一切問題にしないで
素通りするブラックボックスを組み立てているのである。

(略)
被曝とその被害状況とそのリスクを知るには,被曝被害の根源である電離の密
度,臓器内等での分布状況,時間的な電離の展開状況等を把握すべき である。
なぜなら電離の密集度が健康上の被害に直結していることがわかっているからで
ある。しかしICRP体系は,電離の空間分布状況や時間 的継続状況などを不
問に付し,具体的な探究対象としない。((3)で詳述))

(略)
(放射線作用のアウトプット,即ち被曝被害の事実解明,線量評価,被害評価
をブラックボックスに閉じ込める)
ICRPは電離の具体性を構成する本質的要素から重要な要素までの一切を考察
の対象から切り捨て(捨象し),電離の密集態様,密集度を不問に 付し,電離
に消費した=電子に付与したエネルギーだけを具体性がない抽象量で取り扱うこ
とにし,そのやり方として,臓器内等での総吸収エネル ギーを質量で標(基)
準化している。それが「吸収線量」である。科学たらんとするならば,被曝概念
を電離,分子切断等の物理的素現象を具体的 に解明することを基本的出発点に
おける工程作業とすべきところをそうしない。その具体的状況を抜きにして電離
に消費したエネルギーを抽象的に 量計算するやり方にした。即ち,電離の微視
的構造である空間的分布状況や時間的分布状況を無視して臓器ごとの平均値とし
て単純化するやり方に した。電離の具体性を切り捨て抽象的な「線量」概念に
すりかえた。具体的被曝における実情の質的差異面を切り捨てて,量問題に単純
化し,平均 化したのである。被曝の実態とそこにおける質的差異を具体的に明
確にすることを出発点とせず,初めからそれを行うことをせず質的差異を無視し
て単純に量化し,かつ平均化計算し,算術問題化したのである。このように単純
化・平均化し,臓器などで吸収されるエネルギー総量にすりかえる ことによっ
て実態を抜きに算術上の問題にして,科学上の第一義的探究責任を放棄する体系
を仕立て上げたのである。


ICRPは具体的で正確な事実,即ち確実な認識を回避し,それを飛び越えるの
に数々の手段を使っている。これによって,リスク(危険)の根源 が何であ
り,何処にあるのか,リスクの現れ方を不明晰にしている。具体的事実の全体
像,即ち具体性を解明しないで済ますという方法に都合が良 いように,被曝の
実態をブラックボックスに閉じ込めた。それによって出力としての被害の事実を
恣意的に選択し,都合よい数式計算で科学的,数 学的に粉飾できるようにした
のである。そのために放射線の影響を癌と白血病とごく少数の疾病に限定した。
チェルノブイリその他で,被曝被害の 事実をICRP理論に当てはまるかどう
かの都合に合わせて切り捨てた。それには,なにより邪魔になる照射線概念の排
除を必要とした。刺激と反 応の混同,曖昧化,放射線被害の具体性の捨象に
よって,その上部構造として公認の教理体系と権威体制を築いた。そもそもが電
離放射線の作用を ブラックボックスに閉じ込めたのは核兵器国,原発国,核企
業,それにICRPが加わった一体機構の反人道的路線を支えるために必要な手
段で あった。ICRPは発電企業に都合の良い基準を,本来命を守ることを意
味する防護基準のなかに,それも核心部にすべりこませた。これを人道上 の反
倫理体制と呼ばずになんと表現しようか。核分裂利用による発電を社会的に受容
させる目的の下に,不可避な犠牲の甘受・受忍を市民に体制的 に強制する反人
道的な「科学」=偽科学を構築推進しているのである。


正当化の論理は,放射線被曝を伴う行為はそれによって総体でプラスの利益を生
むものであればよしに依拠し,『最適化』は被曝を経済的および社 会的な要因
を考慮に入れながら合理的に達成できるかぎり低く保てばよい:as low as
reasonably achievable ALARA思想としたのである。ALARA思想は日本国憲
法第25条「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」
や 13条「すべての国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に
対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その 他の国政
の上で,最大の尊重を必要とする。」と根本的に明白に相容れない。


ICRPは自然科学上の基本法則,外力と反応との区別を消滅させるのに,混然
化,具体性捨象を行った。そのことによって核利用の危険を隠ぺい し,核先進
国家及び核依存企業の核利益を最優先し,反人道,反科学に徹して,学術研究団
体の良識を捨ててなりふりかまわない奉仕機関に堕し た。被告の法廷での活動
はこのICRPの疑似科学体系に全面依存することによって,成り立たせようと
している。
以下にそれらを詳しく論じる。


(抜粋紹介終わり:なお、論考はこのあと本格的な科学的検証に入る。)




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