[CML 033646] 「河野談話」と「国民基金」に欠けていたもの

小林久公 q-ko at sea.plala.or.jp
2014年 9月 5日 (金) 15:51:23 JST


小林です

「河野談話」と「国民基金」に欠けていたものと題する駄文を書きましたのでお送りします。

「河野談話」と「国民基金」に欠けていたもの
 
河野談話の発表に当って内閣官房内閣外政審議室は次のような事実認定をしている。
「今次調査の結果慰安婦の出身地として確認できた国又は地域は、日本、朝鮮半島、中国、台湾、フィリピン、インドネシア及びオランダである」。
情報公開請求で今年の7月、8月に開示された外務省の「慰安婦」関係資料を見るとこの事実認定は、この七つの地域の人々についてのみ「慰安婦」被害者として認定し、
それ以外の地域の被害者については、「慰安婦」被害者の存在そのものを否定するものであったことが判明した。外務省文書は、次のように記述している。

「今次調査では、『慰安所が存在していた地域』及び『慰安婦の出身地』について『確認』するためには、調査対象機関(筆者注:政府機関の官庁など)で発見された当時の文書に記載があることを基準にした。
マレイシアで元慰安婦の方が名乗り出ているとの報道があることは承知している。他方、これまでの調査で明らかになった当時の文書の中には、マラヤに慰安所が設置されていたこと、及び在留邦人(朝鮮人、
台湾人を含む)が慰安婦として働いていたことを示す記述はあったが、現地の女性が慰安婦として働いていたことを裏付ける資料は発見されなかったため、これまでのところ『慰安婦の出身地』としては『確認』
できなかった次第である」(『外務省関係想定問答』1993年8月4日)。 

これは、政府の官庁の文書にその地域出身の「慰安婦」の存在を証明する文書が無いので、その地域出身の「慰安婦」はいないとの論理である。「強制連行の証拠がない」と同じ論理のものである。

河野談話が発表されて5年後の1998年7月27日に、国民基金の実施を求めて外務省を訪れたマーシャル諸島共和国の「慰安婦」被害者トリナ・レイトさんに対する次の応答要領もある。
「政府は、平成5年8月にいわゆる従軍慰安婦に関する政府調査の結果を発表したが、
同調査の結果、同国(マーシャル諸島共和国、パプアニューギニア等大洋州地域)を含む同地域は慰安婦の出身地として確認できなかった」(『応答要領』(1998年7月24日)。 

そして、元「慰安婦」被害者を前に「太平洋地域が慰安婦の出身地であると確認される明確な証拠は認められなかった」と述べ、被害者の存在自体を否定し国民基金の実施は困難と回答している。
恥ずかしい限りである。これでどうして解決済みと言えようか。

国民基金のデジタル記念館は、「この他、ビルマには現地人の慰安婦がいましたし、マレイシアにも慰安所がありました。南のミクロネシアや東ティモールにも慰安婦とされた人々がいました」としているが、
ビルマ、マレイシア、ミクロネシア、東ティモールに国民基金は実施されていない。

これが、「河野談話」の事実認定の実態であり、「国民基金」の実態である。「河野談話」は、「その出身地のいかんを問わず」謝罪するしいるが、その存在自体を認めずにどうして謝罪の気持ちが相手に伝えられようか。
安倍政権が「慰安婦」問題について、日本はちゃんとやっていると世界に宣伝していることが成り立たない実態がここにある。

この時の様子を朝日新聞が1998年8月3日夕刊で「南太平洋の声届かず」の見出しで記事にしている。それによるとその時までに判明しているマーシャル諸島共和国の「慰安婦」被害者は31名とのことであり、
この新聞記事も外務省の収集文書の中にあった。
今日、社会に定着している「慰安婦」被害者として、日本人、朝鮮人、台湾人、中国人、華僑 (華人)、フィリピン人、インドネシア人、ベトナム人、マレー人、タイ人、ビルマ人、インド
人、ユーラシアン(欧亜混血)、太平洋諸島の人々、オランダ人などがあげられている。だが、この事実を日本政府はまだ認めていないのだ。

「慰安婦」問題の解決には、アジア連帯会議の「提言」にある「誰がどのような加害行為をおこなったのかを加害国が正しく認識し、その責任を認め、それを曖昧さのない明確な表現で国内的にも、
国際的にも表明」することが必要であり、その一つに被害者の出身地の認定を政府がしっかりと行うことが求められている。                    (2014年9月5日 小林久公)

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