[CML 033582] 「ブラック企業」考

森中 定治 delias at kjd.biglobe.ne.jp
2014年 9月 2日 (火) 11:20:22 JST


まっぺんさん,
 
森中定治と申します.先般来,「ブラック企業」を中心にして、言葉について多くの方からいろいろな主張,投稿があり、大変興味深く拝見してきました.まっぺんさんから”考える材料”が示されましたので,私も意見を申し上げたいと思います.言葉は,自然科学の対象物のように固定したものではなく,人間が自分の意志で,その時の状況で,あるいは恣意で用いるものであり,その意味は変化します.ですので,例えばブラックという言葉の意味を“善”とか“悪”とかどちらかに固定的に考えるのはちょっとおかしいのではないかと思います.
例えば「ブラック企業」という言葉はそれ自体が固定的な“善”とか“悪”ではなく,使って問題ない場合も,今後一切使うことを止めた方がよい場合もあるということです.人間によると思います.使うことを止めた方がよい場合とは,例えば著名な黒人の方が「不快だ!」と明言するとか,黒人主体の企業が「我々のことを指しているように聞こえ,不快」と公言されるような場合です.自然科学のような明確な理由はなく,ある特定の人間,この場合の対象は黒人の方ですがどう感じるか,そこに考慮すべき論点があると思います.
ですから,日本人同士で,正しい,正しくないと議論することはものを考えるひとつの材料としては意味がありますが,空疎な議論になり易いと思います.


On 2014/09/02, at 0:04, まっぺん wrote:

> まっぺんです。えーと、これはどちらが正しいかという「結論」ではなく、考えるた
> めの材料です。
> 
> ■「ブラック=悪」の概念の起源
> 
> 「ブラック企業」ということばは黒人差別につながるので使わない方がいいのでしょ
> うか? たしかに、そのような差別につながる「危険」は否定しません。しかし、
> 「ブラック=悪」「ホワイト=善」という概念は、非常に一般的に広く流布している
> ように思われますが、いかがでしょうか? たとえば刑事ドラマでも「あいつはシロ
> だ(無実だ)」「あいつはクロだ(犯人だ)」などという言葉が使われていますが、
> これも「黒人差別」につながるから禁止すべきでしょうか。
> そもそも「ブラック=悪」「ホワイト=善」という概念は、どこから来たのかを考え
> てみると、黒人とは何の関係も無く、その起源は実は非常に古いものだという事に思
> い当たります。それは「白=光、黒=闇」に置き換えてみると納得できると思いま
> す。
> 
> ●旧約聖書の創世記に、神が最初に「光あれ」と言ったと記されています。こうして
> 昼と夜とができて、第一日目が終わります。
> ●ギリシャ神話には、人間に火を与えたプロメテウスの話があります。それまでは人
> 間は夜の闇の中でいつ猛獣に襲われるかわからない恐怖と共に生活していましたが、
> 火を使うことができることで、夜の闇から解放され、安心して眠ることができるよう
> になりました。
> ●浄土宗などでは「光明遍照十方世界」という言葉があります。仏の真理が世界中を
> あまねく照らし出す」という意味です。これなども闇(無知)の世界を光明(仏の教
> え)が照らし出すわけです。
> 
>  以上の考察からは、「黒」とは「闇」を意味するものであり、光があたらないため
> に真っ暗な状態を「黒」ということになるのだと考えられます。真っ暗な闇の中に何
> がいるか判断できなければそれは恐怖の対象となります。お化けや幽霊も夜に出るの
> であって、「明るいお化け屋敷」なんてきいたことがありません。
> 
> ■黒人差別の起源
> 
>  黒人が差別されるようになったのは奴隷制と深く関係すると言っていいではないで
> しょう。植民地経営の拡大によって、専らアフリカ大陸から拉致してきた黒人の奴隷
> が大量に使役されるようになった時、人種差別が生まれました。言い換えれば黒人差
> 別の歴史は、16~17世紀に始まる奴隷制度から始まっています。しかし「奴隷全
> 般の歴史」ならば、古代エジプト時代から何千年もありました。古代ローマが衰退
> し、イスラム教が生まれてからはむしろイタリアなどの白人が北アフリカのベルベル
> 人たちの奴隷となっていきました。こういう時代が数百年続きます。つまり「白人が
> 黒人の奴隷だった」時代が長く続いたのです。
> 
> ■キリスト教の白人優位主義
> 
> キリスト教は中東に生まれ、古代ローマを温床として主要にヨーロッパを中心に広
> がっていきました。この「キリスト教徒」を中心とするヨーロッパでの植民地主義の
> 発展の中で、黒人奴隷の時代とあいまって、キリスト教の中にも白人優位主義があっ
> たこともみとめなければなりません。
>  しかし例えば黒人差別のもっとも顕著だったアメリカにおいて、多くの黒人奴隷た
> ちが心のよりどころをキリスト教に求めたことも否定できません。彼らによって独特
> の賛美歌=ゴスペルが発達していきました。
> 
> ■「ブラック」の言葉を消滅できるか?
> 
>  最初に述べたように「ホワイト=善」「ブラック=悪」の概念は黒人差別よりもは
> るかに昔から始まっており、それは様々な場面で使われてきました。歴史を否定する
> ことはできません。「ブラック」という言葉に込められた「黒人差別が起源ではな
> い」意味を消滅させることはできるのか、また消滅させてしまっていいのか。
>  また人権問題として考えた場合、黒人差別を無くすために「ブラック」の言葉を使
> わないというのは、はたしてどこまで可能なのでしょうか? 「ブラック企業」とい
> う言葉にだけ限定するのでしょうか? あるいは、その「起源」と見られる「闇」と
> いう言葉も考えるべきでしょうか? 例えば「ヤミ金融」などという言葉はどうする
> べきでしょうか?
>  いずれにしても、国際社会の発展とともにわれわれもアフリカ系の人々と接する機
> 会が多くなってきました。人種差別は現在でも「白人→アジア人→アフリカ人」とい
> う差別の体系の中では我々は中間に位置して「上から差別され下を差別する」位置に
> あります。これは単に「ことばをどうするか」の問題以上に拡げて考えてゆく必要が
> あると思います。
> 



CML メーリングリストの案内