[CML 034734] ピッキング・コットン 二人が出会うまでの話

大山千恵子 chieko.oyama at gmail.com
2014年 10月 30日 (木) 07:27:52 JST


*ピッキング・コットン 二人が出会うまでの話*

前号の大山千恵子
<http://blog.goo.ne.jp/chieko_oyama/c/9d1d89d455e4c2e0c5e10dc4342e8ef9>氏が書いた*『とらわれた二人
無実の囚人と誤った目撃証人の物語』
<http://blog.goo.ne.jp/chieko_oyama/e/79e69a42cffe896a38e86091310811f8>*
の続き、ないし補足を述べたい。

実は何の予備知識もなく読み始め、出来の悪い強姦小説なのかと思い込んでいた。ところが冤罪だということが分かって俄然熱を入れて読み進め、これは実話だと気付く。

本書は強姦被害者のジェニファーと、彼女の証言で冤罪を被せられたロナルド、それにノンフィクションライターの三人の共著である。

この作品の終盤の四分の一は、ロナルドの冤罪が判明した後の話。やってもいない犯罪に懊悩し、苦悶したロナルドは、いきなり釈放を言い渡され
る。ところが遠方の刑務所から地元に移送される間は手錠を嵌められたまま。また、いわゆる「再審」の裁判所でも手錠は外されない。裁判長の指示「彼の手錠
を外すよう、直接命令を下します」で、ようやく外される。規則がそうなっているからだという。肝心の「再審」はあっという間に終わり、ロナルドは釈放され る。

ジェニファーはロナルド釈放に強い衝撃を受ける。自分がロナルドを真犯人だと証言してしまったのだから。報復されるのではないかと不安になり子どもたちの通う学校にまで配慮するよう要請したほどだったが、一方ロナルドはマスコミが押しかけ、インタビュー攻勢に合っていた。

本書の読みどころとなるのが、ロナルドとジェニファーの出会いである。ジェニファーは緊張の極で「私を許していただけますか」。それに対しロナルドは穏やかに「許します」と。このとき二人は互いの、これまでの苦痛を感じ取る。

ノースカロライナ州には刑事補償金の制度がない。だがこの事件がその制度を作らせ11万ドルを受け取り、また再発防止のため、さまざまな改良も加えられた。

ちなみに、ジェニファーとロナルドはマスコミに語るとともに講演も行ない、今日でもユーチューブなどインターネットで語っている様子を見ることができる。そして二人は親友となったのである。

原題は*『ピッキング・コットン』 <http://www.pickingcottonbook.com/home.html>*。
英語では綿摘みの意味。ロナルドの苗字がコットンのため、「コットンを選んで」と二重の意味が込められている。一般に綿摘みは黒人奴隷の労働だった。ロナ
ルド・コットンの冤罪の原因の一つに黒人差別もあったということだ。こういった重層的な内容も込められた本書。是非とも本書を読み、性犯罪の被害者と冤罪
で処罰される重さを吟味するためにも、必読の書だ。

「とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語 <http://news.livedoor.com/article/detail/8611678/>」
ジェニファー・トンプソン-カニーノ,ロナルド・コットン,エリン・トーニオ 指宿信
<http://www.seijo-law.jp/faculty/law/teacher/teacher.php?user_num=0148>,岩川直子
訳 岩波書店 <https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/02/8/0259450.html>



*クリエイティブ・コモンズ
<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%BA>にて、転載。救援連絡センター
<http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2007_6/p14_15.pdf>発行「救援」紙の、2面の連載コラムより*
--------------------------- 関連リンク
---------------------------------------------

YouTube: Picking Cotton: Wrongly Accused
<https://www.youtube.com/watch?v=b-cbkYJNcMU>
YouTube: Distinguished Lecturer Jennifer Thompson Discusses Recovery and
Forgiveness <https://www.youtube.com/watch?v=pZhzR2_Lwgg>

週刊ポスト2014年3月14日号: 【書評】誤証言をしたレイプ被害者と無実の囚人を綴った物語
<http://www.excite.co.jp/News/column_g/20140308/Postseven_244116.html>

再審・えん罪事件全国連絡会「誤判に苦しむ人々を救う各国の取り組み」
<http://enzai.9ch.cx/index.php?%E3%80%8C%E8%AA%A4%E5%88%A4%E3%81%AB%E8%8B%A6%E3%81%97%E3%82%80%E4%BA%BA%E3%80%85%E3%82%92%E6%95%91%E3%81%86%E5%90%84%E5%9B%BD%E3%81%AE%E5%8F%96%E3%82%8A%E7%B5%84%E3%81%BF%E3%80%8D>

 NHK: 指宿教授 「視点・論点 『取り調べ可視化はどこへ向かうのか』
<http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/188519.html>」
 取り調べの録音録画や検察官の手持ち証拠の全面開示、目撃証言の採取手続きの制定など画期的な改革

法と人間科学:平成23年度科学研究費補助金(新学術領域研究)採択研究領域: 指宿教授 著書『とらわれた二人 無実の囚人と誤った目撃証人の物語』出版
<http://law-human.let.hokudai.ac.jp/group/a03/ibusuki/archive/439/>

 桜井昌司『獄外記』: 「とらわれた二人」を読んで
<http://blog.goo.ne.jp/syouji0124/e/48136f64b288318d17e5003e54a3eae7>

弁護士会の読書(福岡県弁護士会): とらわれた二人
<http://www.fben.jp/bookcolumn/2014/04/post_3924.html>





-- 
大山千恵子
ブログ 「千恵子@詠む...」 毎日更新http://blog.goo.ne.jp/chieko_oyama


CML メーリングリストの案内