[CML 034484] 特定秘密保護法「運用基準」閣議決定問題 報道と日弁連の「異議」 (会長声明)

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 10月 15日 (水) 13:08:13 JST


以下、昨日の特定秘密保護法「運用基準」閣議決定問題に関する報道3本と日弁連の「異議」声明 (全文)です。日弁連の「異議」声明は改めて秘密保護法の問題点と同法 
運用基準の問題以前の問題(ざる法ぶり)を指摘して正鵠です。ご参照ください。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

・秘密法、運用基準閣議決定 監視機関も身内組織(東京新聞 2014年10月15日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014101502000134.html

政府は十四日、国民の「知る権利」を侵害する恐れのある特定秘密保護法の運用基準と、施行期日を十二月十日とする施行令を閣議決定した。政府が「秘密」を拡大解釈して恣意(しい)的に運用することに歯止めもないまま、施行手続きが終えられた。世論の反対を押し切って同法を成立させて十カ月。この間、主要な三つの懸念は何も変わっていない。最も懸念されるのは拡大解釈だ。法律では特定秘密の対象を「防衛」「外交」「特定有害活動(スパイ防止)」「テロの防止」の四分野とした。運用基準でこれを五十五の細目に分けたが、「領域の保全のために政府が講ずる措置またはその方針」など、政府が幅広く解釈できる項目が並ぶ。運用基準で「必要最小限の情報に限る」と留意事項も加えたが、指定判断は政府に委ねられたままだ。拡大解釈の歯止めになるべき監視機関も、身内の組織にすぎない。菅義偉官房長官は十四日の記者会見で「厳格にチェックできる二重、三重の仕組みを設けた」と強調したが、内閣府の「独立公文書管理監」は審議官級で、秘密指定する閣僚より立場が弱い。内閣官房に各府省庁の次官級による「内閣保全監視委員会」がつくられるが、官僚機構に変わりない。秘密指定の期間は原則三十年だが、一度指定されれば、政府の判断で永久に指定され続ける懸念もそのまま残った。秘密を漏らした側には罰則があるのに、不当な秘密指定への罰則がない問題も改善されていない。運用基準を了承した自民党総務会では「米国の秘密制度では『非効率性の助長』などに当たる秘密指定をした場合、行政側に罰則規定があるが、秘密保護法にないのはおかしい」との疑問が出たが反映されなかった。

・秘密保護法:運用基準決定「知る権利尊重」具体策示されず(毎日新聞 2014年10月14日)
http://mainichi.jp/select/news/20141014k0000e040103000c.html

特定秘密保護法に基づく秘密の指定や解除のあり方を定めた運用基準と、法の施行日や秘密指定できる行政機関を19機関とする政令が、14日午前の閣議で決定された。特定秘密保護法には「報道・取材の自由への配慮」が記され、運用基準には「国民の知る権利の尊重」の文言が盛り込まれた。しかし具体策は示されていない。運用基準を了承した自民党総務会でさえも「どうやって担保するのか」との声が上がったという。情報に関する法律の専門家は、秘密の漏えいが起きた時、入手した記者が刑事訴追されなくても、情報源の公務員を割り出すために捜査当局が記者のパソコンやICレコーダーを押収したり、記者が情報源を明らかにするよう求められたりする事態を懸念する。鈴木秀美・大阪大大学院高等司法研究科教授は「報道機関への情報提供の道を確保するため、ドイツの刑事訴訟法のように、報道関係者が取材源の証言を拒絶できる権利を明文化すべきだ」と話す。秘密指定が妥当かをチェックするために内閣府に置かれる「独立公文書管理監」や「情報保全監察室」の役割も運用基準に示されたが、政府の内部にあって手加減なく監視活動ができるかが焦点だ。そのために、官庁からの異動で配置される可能性のある管理監や監察室の職員が、古巣に戻らない制度を求める意見が与党の公明党からも出ている。だが実現は不透明だ。政府は秘密保護法の運用に対する懸念の声に「二重三重の(チェックの)仕組みで恣意(しい)的、不正な運用はできない」(安倍晋三首相)との説明に終始している。同法は施行まで2カ月を切った。国会論議を通じて課題を洗い出し、政府は具体的な措置でそれに応えるべきだ。

・<特定秘密保護法>政府の運用基準に日弁連が「異議あり!」 会長声明(全文)(弁護士ドットコム 2014年10月14日)
http://www.bengo4.com/topics/2164/

安倍内閣は10月14日、「特定秘密保護法」の運用基準と政令を閣議決定し、12月10日の施行を正式に決めた。これに対し、日本弁護士連合会は村越進会長の声明を発表した。

村越会長は声明で、閣議決定された運用基準をふまえたうえで、特定秘密保護法について「秘密指定できる情報は極めて広範であり、恣意的な特定秘密指定の危険性が解消されていない」「多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄されることとなる可能性がある」などと指摘している。

そして、特定秘密保護法には「依然として重大な問題がある」とし、同法を「まずは廃止」したうえで、「国民的議論を進めていくべき」と強調している。

声明の全文は以下の通り。

●秘密保護法施行令(案)等の閣議決定に対する会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/141014.html

本日、特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」という。)の施行令(案)及び運用基準(案)等が閣議決定された。

情報保全諮問会議が本年7月に作成した同施行令(素案)及び運用基準(素案)等については、7月24日からパブリックコメントが実施され、難解な内容にもかかわらず、2万3820件の意見が提出された。情報保全諮問会議ではこれを検討し、施行令(案)及び運用基準(案)等を作成し、9月10日に内閣総理大臣に提出した。その内容は、前記の各素案とほとんど変わらないものであった。

他方、国連人権(自由権)規約委員会は7月31日、日本政府に対して、秘密指定には厳格な定義が必要であること、ジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰の対象から除外されるべきことなどを勧告した。

当連合会は、9月19日付けで「特定秘密保護法の廃止を求める意見書」を公表し、この法律の廃止を改めて求めたところであるが、市民の強い反対の声を押し切って成立した秘密保護法には、依然として、以下のとおり、重大な問題がある。

(1)秘密保護法の別表及び運用基準を総合しても、秘密指定できる情報は極めて広範であり、恣意的な特定秘密指定の危険性が解消されていない。

(2)秘密保護法には、違法・不当な秘密指定や政府の腐敗行為、大規模な環境汚染の事実等を秘密指定してはならないことを明記すべきであるのに、このような規定がない。

(3)特定秘密を最終的に公開するための確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄されることとなる可能性がある。

(4)政府の恣意的な秘密指定を防ぐためには、すべての特定秘密にアクセスすることができ、人事、権限、財政の面で秘密指定行政機関から完全に独立した公正な第三者機関が必要であることは国際的な常識であるが、同法が規定している独立公文書管理監等の制度にはこのような権限と独立性が欠けている。

(5)運用基準において通報制度が設けられたが、行政組織内での通報を最優先にしており、通報しようとする者を萎縮させる。通報の方法も要約によることを義務づけることによって特定秘密の漏えいを防ぐ構造にしてあるため、要約に失敗した場合、過失漏えい罪で処罰される危険に晒されている。その上、違法行為の秘密指定の禁止は、運用基準に記されているのみであり、法律上は規定されていないので、実効性のある公益通報制度とは到底、評価できない。

(6)適性評価制度は、情報保全のために必要やむを得ないものとしての検討が十分になされておらず、評価対象者やその家族等のプライバシーを侵害する可能性があり、また、評価対象者の事前同意が一般的抽象的であるために、実際の制度運用では、医療従事者等に守秘義務を侵させ、評価対象者との信頼関係を著しく損なうおそれがある。

(7)刑事裁判において、証拠開示命令がなされれば秘密指定は解除されることが、内閣官房特定秘密保護法施行準備室が作成した逐条解説によって明らかにされたものの、証拠開示が命じられるかどうかは、裁判所の判断に委ねられており、特定秘密を被告人、弁護人に確実に提供する仕組みとなっていない。そもそも秘密保護法違反事件は必要的に公判前整理手続に付されるわけではなく、付されなかった場合には、被告人、弁護人が秘密を知ることなく公判手続が強行される可能性が大きく、適正手続の保障は危殆に瀕する。

(8)ジャーナリストや市民を刑事罰の対象としてはならないことは、国家安全保障と情報への権利に関する国際原則であるツワネ原則にも明記されており、アメリカやヨーロッパの実務においても、このような保障は実現されているが、国際人権(自由権)規約委員会からも同様の指摘を受けたことは前述したとおりである。

当連合会は、本年8月22日付けで運用基準(案)に対するパブリックコメントを提出し、法令違反の隠蔽を目的として秘密指定してはならないとしている点について、「目的」を要件にすることは不当であり、違法行為そのものの秘密指定を禁じるべきと主張した。これに対して、政府は、運用基準(素案)を修正し、行政機関による違法行為は特定秘密に指定してはならないことを明記した。これは、今後ジャーナリストや市民が違法秘密を暴いて摘発されたときには、無罪を主張する法的根拠となりうるものとして評価できるが、本来、法や政令において定めるべきことである。

また、独立公文書管理監職は一名しかおらず、特定秘密の閲覧や秘密指定解除の是正勧告等の権限を有する者であるから、その独立性及び権限行使の的確さが強く求められるところ、どのような者が担当となるかについて政府は全く明らかにしていない。加えて、(1)独立公文書管理監を補佐する情報保全監察室のスタッフの秘密指定機関へのリターンを認めないこと、(2)すべての秘密開示のための権限を認めること、(3)内部通報を直接受けられるようにすることなど、運用基準(素案)の修正により容易に対応できたが、これらの意見は修正案に採用されなかった。政府は恣意的な秘密指定がなされないような仕組みを真剣に構築しようとしているのか、極めて疑問である。

市民の不安に応え、市民の知る権利と民主主義を危機に陥れかねない特定秘密保護法をまずは廃止し、国際的な水準に沿った情報公開と秘密保全のためのバランスの取れた制度構築のための国民的議論を進めるべきである。

2014年(平成26年)10月14日
日本弁護士連合会
会長 村越 進 



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