[CML 034259] 【放映は今晩でした!】映画「アバター」は“資源の呪い”を描く

uchitomi makoto muchitomi at hotmail.com
2014年 10月 4日 (土) 05:20:24 JST


放映は今晩でした!


関西テレビ
土曜プレミアム・アバター
2014年10月4日(土)  21時00分~23時55分
http://tv.yahoo.co.jp/program/94065667/


ブログ:インタグSOSキャンペーン(関西)
http://blog.goo.ne.jp/ykitahata

インタグSOSキャンペーン(エクアドル・インタグの鉱山開発を考える実行委員会)のHPが開設されました!ぜひご訪問ください!

インタグSOSキャンペーン
http://intagcampaign.web.fc2.com/index.intag.htm


映画「アバター」は“資源の呪い”を描く
生物多様性と資源開発は共存するのか?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100216/212799/?P=1

谷口 正次

2010年2月18日(木)
 
 ジェームズ・キャメロン監督・脚本の映画「アバター」を観た。同監督作品の「タイタニック」は、1912年に豪華客船タイタニック号が氷山に衝突して沈没したという歴史的事実に基づくフィクションだった。

 これに対して、「アバター」は、今でも現実に世界の発展途上国で起きている事実に基づく“フィクション”だと言える。

 その事実とは、強大な資金力と技術力を持った多国籍資源メジャーあるいはジュニアとよばれる探鉱会社そして新興国の鉱山会社が、資源豊富な途上国において、豊かな自然と共生して暮らしている先住民を強制的に移住させ、自然を破壊して資源採掘を行っているケースが多々あることである。

まずは懐柔、そして排除

 会社は最初、先住民の移住を求めて補償金、雇用、学校建設などを提供する懐柔策に出るが、先祖代々受け継いできた文化と伝統そして環境を破壊されたくないといって抵抗する先住民に対しては、会社のセキュリティ部門、傭兵会社(PMC=Public Military Company)、地域の警察が連携して排除に当たる。場合によっては、その国の軍隊も加わる。そのような現場は、通常人々の目に触れることはない世界だ。

 映画を観た人は、「アバター」のストーリーが、この地球上の現実世界で起きていることと酷似していることに気づかれただろうか。

 観ていない人のために一応、あらすじを簡単に紹介しておこう。

 時は22世紀、アメリカの資源開発公社RDA(Resources Development Administration)は、地球の熱帯雨林のスケールをさらに大きくしたような原生林に覆われた宇宙衛星パンドラに、超伝導物質のレアメタル、アンオブタニウムの鉱床を発見する。そのレアメタルの価値は1キログラムで約20億円だ(ちなみに金は現在1キログラムで約300万円)。しかし、その鉱床は、ナヴィとよばれる先住民が、ジャングルの中で狩猟採集の生活をしている地域の地下に眠っている。

 先住民といっても、緑色をした人間の体型そっくりの身体にしっぽがある。身長は約3メートル、今の地球人から見れば未開人ということになるだろうが、野蛮ではない。そして野生ではあるが、知性もある。聖なる山に棲む母神エイワを崇拝するアニミズム信仰の“ヒト”たちである。聖なる山には魂ノ樹と呼ばれる想像を絶する巨木が生えている。

 RDAは、鉱石採掘に先立って、ナヴィを移住させ、聖なる山を破壊し、魂ノ樹を切り倒さなければならない。RDAは地球上の場合と同じように、まず懐柔策に出る。学校を作り英語を教え、スカイ・ピープル(地球人)の文明を植えつけようとする。しかし、ナヴィは決してなびかない。業を煮やしたRDAは元海兵隊大佐をリーダーとするPMCの部隊を送り込み、パンドラ制圧を目指す。

 侵攻に先立ち、スパイとして元海兵隊員ジェイクを送り込む。ただし、地球人はパンドラでは大気を呼吸できないため、ナヴィと人間の遺伝子を組み合わせてナヴィと同じ肉体を持った、ジェイクの思い通りに行動する化身すなわちアバターを作り出した。

 アバターは、レアメタルが埋蔵されているナヴィの一部族オマティカヤの村に、情報収集のために送り込まれたわけだが、部族長の娘であり戦士のネイティリと恋に落ちる。そして、いつしか、森の中であらゆる生物とともに共生・進化してきたナヴィの多神教の世界に魅せられてしまい、ナヴィとともに侵略者と闘う決心をする。

 この辺のストーリーは「ケビン・コスナー監督・主演の『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(1990)の宇宙版だ」と、キャメロン監督自らタイムズの記者に語ったということだ。

 この映画は、アメリカでも大変な反響であったようだが、保守派の人たちには我慢ならなかったらしい。米海兵隊を侮辱する反米映画だというわけだ。

 また、日本の観客に多かった感想として、「ストーリーが単純すぎて途中で眠くなった」という。

 これらの反応の単純さにこそ、筆者は驚く。

ナヴィのように翻弄される先住民

 冒頭に述べたように、今現実に地球上の自然生態系豊かでかつ資源豊富な発展途上国で、先進国と新興国の鉱山会社が、膨大になったメタル資源需要を満たすために大規模資源開発を行っており、それに伴ってナヴィと同じ運命に翻弄されている先住民がいかに多いことか。

 キャメロン監督は、そのことを知っているからこそ、映画は地球上で行われていることを宇宙版にしただけなのである。ダンス・ウイズ・ウルブズは、南北戦争時代という歴史上のことゆえ保守派も何も言わないわけだが、アバターは、宇宙版にしてもあまりに刺激的だから、恥部を突かれた思いで反発しているのであろう。

 しかし、映画と同じようなことをやっているのはアメリカだけではないのだ。カナダ、イギリス、オーストラリア、ロシア、スイス、中国、ブラジル、インドといった国々の鉱山会社も多かれ少なかれ同様のことに手を染めているのである。

 それを裏付けることとして、資源開発に伴う問題発生を防止するために、次のようないくつかの国際的な動きがある。

 2007年9月13日、国際連合総会で「先住民族の権利宣言」が圧倒的多数で採択された。その時、4カ国だけ反対投票した。アメリカ、カナダ、オーストラリアそしてニュージーランドだ。いずれもアングロサクソンで、ニュージーランド以外は世界で資源開発に励み、寡占支配を進めている国であるとともに、4カ国とも先住民族が住んでいる。

 世界に先住民族と言われる人たちは約3億7000万人いる。その人たちの資源の所有権まで認める宣言には到底賛成できなかったということは容易に想像できる。宣言に法的拘束力はない。

 2002年のヨハネスブルグサミットで、イギリスのトニー・ブレア前首相は、発展途上国における資源開発に伴って起きる腐敗(賄賂による資源開発権益の取得と不平等契約、その結果生じる人権侵害・環境破壊)を防止する国際的枠組みを提唱した。これは、資源産業透明性イニシアチブ(EITI=Extracting Industries Transparency Initiative)として今、ようやく活動が少しずつ広がり始めている。

 1999年2月、ダボス会議で、コヒー・アナン前国連事務総長の提唱で始まった、グローバル・コンパクト(Global Compact)というものがある。これは、世界の大企業の最高経営責任者(CEO)と事務総長とコンパクト(契約)を結ぼうというわけだ。契約といっても法的拘束力のない約束、誓いあるいは協定みたいなものだ。その内容は、人権、労働、環境そして腐敗に関する10項目の原則を契約企業が守りますというものだ。まさに多国籍鉱山会社にフォーカスしたように思える。

 現実に地球上で行われている行為を、パンドラという星に舞台を設定して映像にしたキャメロン監督の意図は明解だ。構想に14年、制作に4年かけたという。

豊かな生態系と資源採掘の対立

 さて、10月に生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)が名古屋市で開かれる。一方、ナヴィが住むパンドラには、生物多様性と生態系が極めて豊かで、生物種はこの星にしかないものばかり。そのため、RDAは、植物学者、生物学者など自然科学者も派遣している。

 彼らの役割は、人類に役立つ生物資源の調査だ。薬効成分を持った植物が見つかれば新薬の開発で膨大な利益が得られるわけだ。聖なる山を破壊し、ジャングルを焼き尽くして地下資源を掘ろうとする傭兵部隊とは当然ながら対立する。

 地球上に話を戻そう。 豊かな生態系と90%以上という植物の固有種が生息するニューカレドニアのニッケル鉱山開発に反対する植物学者の苦悩について、筆者は、日経ECOJAPANのコラムに「握りつぶされた科学者の良心」と題して書いた。こちらを一読いただければ、資源開発によって生態系と生物多様性が消滅していくことに関する危機感がお分かりいただけるはずだ。

 劇中のネイティリ(族長の娘)のセリフを注意深く聞いていると随所に現在の地球上に生きる我々にとって大切なことが語られている。

 「森から得たエネルギーは借り物だから、いずれ返さなければいけない」「動物にも魂がある」「生き物との絆を大切に」「スカイ・ピープル(地球人)は頭が空っぽだ」・・・。

 		 	   		  


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