[CML 034904] 「科学」的な議論を「政治」的に議論するおかしな作法について ――高世仁さん(ジャーナリスト)の「諸悪莫作」の記事を読んで改めて「脱原発」とはなにかを考えさせられている

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 11月 11日 (火) 14:31:55 JST


     「『ぼくが勉強会で話したりすると、『あなたは、原発に反対なのか、賛成なのか。まずそれを明らかにしてくれないと話は聞
     けない』という方がいらっしゃる。』

     放射線被ばくの影響を科学的に分析することと、原発そのものの是非、原発事故の責任論などの問題がごっちゃにされ、
     政治的な「立場」の議論にすり替えられるのだ」。

上記の早野龍五さん(原子物理学者)の発言を紹介した上での高世仁さん(ジャーナリスト)の感想は重要な指摘だと私は思います。

「放射線被ばくの影響を科学的に分析することと、原発そのものの是非、原発事故の責任論などの問題がごっちゃにされ、政治的
な『立場』の議論にすり替えられる」。その議論の不毛さについては、もちろん3・11以後のことになりますが、この数年来、私も辟易
させられてきました。しかし、その「不毛」な議論は、依然として「科学」の議論と「政治」的な議論の違いに気づかない人たち、あるい
は「科学」的な議論よりも自分の得た「情報」(すなわち、「主観」や「思いこみ」)のみを「正しい」とする文字どおり「主観」的な一部の
人たちからメーリングリストやツイッターなどのツールを通じて「脱原発」の主張とともに主張され続けています。

しかし、私は、以下のような指摘をきちんと受け止めた上で「脱原発」を論じることの重要性を痛感します。さらに自己の真摯な探求、
営為の結果や結論として「科学」的な見解を発表しようとする人をいたずらに(自己の見解に反するというだけで根拠もなく)「御用学
者」や「東電の回し者」などのレッテル貼りをして非難する人たちの愚かしさ(批判者は「根拠」のようなものをあげているつもりのよう
ですがその「根拠」も主観的なものでしかありません)、こうした一部の「脱原発」界隈の風潮の愚かしさの限りを思います。

以下、高世仁さんのブログの11月10日付けの記事、遡って8日付け、9日付けの記事をご紹介します。「脱原発」を主張する人た
ちに考えていただきたいことです。

     ■3万人以上の内部被ばく検査が語るもの(高世仁の「諸悪莫作」日記 
2014-11-10)
     http://d.hatena.ne.jp/takase22/20141110

     『知ろうとすること。』の早野龍五氏は、福島原発事故のあと、内部被ばくについてきちんとまとめられた論文がなかったとき、
     初めての査読(専門家による検証・評価)つきの論文を書き、それは、2013年に国連の科学委員会が福島原発事故に関す
     るレポートをまとめるさいに使われた。

     早野教授には二人の盟友がいる。

     坪倉正治医師(南相馬市立総合病院の非常勤医師)と宮崎真医師(福島県立大病院の放射線医)だ。

     坪倉医師については、例の「美味しんぼ」の鼻血騒動のとき、このブログで紹介した。

     「東電の回し者」などと非難されながらも、具体的な検査結果をもとに、「流通している県内産のものを摂取して高い内部被
     曝をする状況では全くない」「現状の相馬市、南相馬市で日常生活を送る上での放射線被曝リスクは十分低い」と説明して
     福島県の人々を力づけてきた人である。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140518

     彼らの主張がなかなか伝わらない要因は、前回触れたメディアの発信の問題(危ないという情報以外は報道されにくい)以
     外にもあった。

     早野 「ぼくが勉強会で話したりすると、『あなたは、原発に反対なのか、賛成なのか。まずそれを明らかにしてくれないと話
     は聞けない』という方がいらっしゃる。」

     放射線被ばくの影響を科学的に分析することと、原発そのものの是非、原発事故の責任論などの問題がごっちゃにされ、
     政治的な「立場」の議論にすり替えられるのだ。

     坪倉医師が、「大丈夫」というと「東電の回し者」と非難されたように。

     おそらく、反原発をかかげる一部の活動家は、被ばく量は低かったとする早野氏らの調査結果を喜ばないだろうし、そもそ
     も信じようとしないだろう。被ばく実態が危険であるということを扇動の入口にするには、安全であっては困るのだろう。

     メディアのなかにも、「放射能に関しては分からないことが多い」という一般論を持ち出し、「ゼロが理想」という誰でも賛成す
     るフレーズを使うことによって、いつまでも「こわい、あぶない」を唱える向きがある。

     放射能はあるかないかではなく、あくまで「量」の問題であり、それは今や、具体的なデータで科学的に議論できる段階に来
     ていると早野氏はいう。

     そのデータの一つが、早野、坪倉、宮崎三氏による「福島県内における大規模な内部被ばく調査の結果」を参照してほしい。
     ホールボディカウンターで3万人以上を調べた結果である。

     http://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01-09/ref01.pdf

     《福島第一原発事故は、福島県内の土壌を放射性セシウムで汚染した。チェルノブイリ事故で得られた知見をそのままあて
     はめると、福島県県内の人口密集地で、年に数 mSv を超える内部被ばくが頻出することが懸念された。

     しかし、ひらた中央病院で 2011 年 10 月から 2012 年 11 月に行った 
32,811 人のホールボディーカウンター検査結果は、住
     民の内部被ばくが、この予想よりも遙かに低いことを明らかにした。》

     私もこれを知って、ほっとした。

     ところで、なぜ、「予想よりも遙かに低い」と言うのか。

     チェルノブイリでの経験から、土地がこのくらい汚染されると、その住民はこのくらい被ばくするという一定の関連性を示す「係
     数」が知られていた。

     だから、はじめは、福島県民の被ばく量はそれなりに高いだろうと予想されていた。

     ところが、計ってみたら、「チェルノブイリ事故で得られた知見」が当てはまらないほど、低かったので、早野氏らも驚いたのだ。

     なぜ、そんなことになったのか。(つづく)

以下、省略。全文は下記をご参照ください。
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-1059.html


東本高志@大分
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http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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