[CML 034769] 今日の言葉(2)――私はメディアの「朝日」たたきの論理に反対する。しかし、私は現在の「朝日」に対して数々の批判をもっている。(阿部治平「『朝日』攻撃の先にあるもの」2014年11月1日)

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2014年 11月 1日 (土) 12:21:46 JST


阿部治平「『朝日』攻撃の先にあるもの」(リベラル21 2014年11月1日)から。

要旨:
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いま私はメディアの「朝日」たたきの論理に反対する。安倍晋三に代表される人々や、「朝日」たたきを目的とする「読売」や
「産経」の「河野談話」否定の先に、歴史の過去を美化し罪をごまかそうという意志が明かだからである。だが、歴史のごま
かしや悪行の無視は、どう逆立ちしても国際的には通用しないのだ。考えてもごらんなさい。現ドイツ政府が、ナチの戦争
犯罪の記録に間違いや誇張があったからといって、その訂正を求めるようなことがあれば、国際的にどのような反応 を呼
び起こすか。安倍政権とその太鼓持ちの思惑は国際的にはまったく通用しないのだ。さかのぼって、日清戦争中の旅順虐
殺事件、その後三浦公使らによる韓国皇后閔妃惨殺事件等々は、どう説明できるのか。さらに「南京事件」だ。日本軍によ
る殺人の規模が、中国主張のように30万人でなくて、ナチ党員だったラーベがヒトラーへの上申書で推測するように、「およ
そ5万から6万人」だったとしても、大虐殺の事実は消えない。日中戦争に続く「大東亜戦争」について、司馬遼太郎はこう
いった。「あの戦争は、多くの他民族に禍害を与えました。領地をとるつもりはなかったとはいえ、以上に述べた理由で、侵
略戦争でした。……真に植民地を解放するという聖者のような思想から出たものなら、まず朝鮮・台湾を解放していなけれ
ばならないのです」(『この国のかたち4』)。私もまたこの見解に追従する。

しかし、「朝日たたき」に賛成はしないが、私は現在の「朝日」に対して数々の批判をもっている。今回、「朝日」の社長は記
者会見で30年ぶりに慰安婦の吉田証言を虚偽だったとし、東電吉田調書報道は誤報だとし、池上彰の記事不掲載は間違
ったとした。これがなぜ生じたか。「朝日」は自らの手でそれを明らかにできるか。できないだろう。そして、これからも同じ間
違いを繰返す恐れがあると思う。慰安婦問題に限らないいくつかの誤り、不適切を過去の報道に見るからだ。

たとえば1966年にはじまる中国の文化大革命だ。毛沢東は自らのカリスマ性を用いて革命功労者から一般農牧民に至るま
で千万の国民を、人権無視のはちゃめちゃな論理で、暴行・拷問・殺害・長期投獄の憂き目にあわせた。日本でこれを批判
をしたのは産経新聞と日本共産党だけだった。1966年9月から日本のジャーナリストは「赤旗」も含めて軒並み北京から追放
されたが、「朝日」だけは残り、秋岡記者らの文革追随のちょうちん持ち記事を載せつづけた。

朝日新聞社にはかつて「朝日ジャーナル」という週刊誌があった。大学紛争のときは、この雑誌によってひとつの宗派ができ
た。同誌には大学教師をやめようともしないで大学解体を叫ぶノーテンキな主張が掲載された。「荒れる中学」問題では、メ
ディア総体の傾向は中学高校の教師をバカ扱いしながら責任を問い続けるものだった。なかでも徹底していたのは「朝日ジ
ャーナル」だった。我々バカ教師は「明日ドーナル」と思いながら、中学で校舎一階のガラス窓をことごとく壊して入学してきた
生徒たちと対峙していた。学校問題が教師を叩くだけでは何のくすりにもならないのに、それがわからないジャーナリストに
歯ぎしりした。大きなメディアは権力である。権力の前に我々は無力だった。

とはいえ、私は「朝日つぶし」に加担する気持ちは全くない。「朝日」が安倍首相の「戦後レジームからの脱却」だの、A級戦犯
合祀後の閣僚の靖国参拝だの、河野談話の見直しだのを批判してきたことは、それなりの見識だと思うからだ。だが、いま
の「朝日」はあまりにも心もとない。だいたい社長以下責任者は即座に辞任を表明すべきなのに、「立てなおし」をやってから
進退を判断するとか言っている。その腰抜けぶりからすれば、国会に呼び出されたら弁明に窮して右往左往するだろう。たた
かれたあげく「朝日」は思想転向するかもしれない。そうなると「護憲・軍縮・共生の社会」を目指すあれこれの勢力に与える
打撃は大きい。
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阿部治平さんの「『朝日』攻撃の先にあるもの」の記事の全文は下記をご参照ください。 

http://lib21.blog96.fc2.com/blog-entry-2969.html



東本高志@大分
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