[CML 031540] ウクライナ、クリミア情勢の見方(28)――浅井基文さんの「中国の国際情勢認識-ウクライナ問題における論点⑧-(最終回)」

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 5月 25日 (日) 23:42:47 JST


浅井基文さん(元外交官、政治学者)の「中国の国際情勢認識-ウクライナ問題における論点⑧-」です。浅井さんのウクラ
イナ問題における論点Δ鉢Г力静世両匆陲肋蔑しました。浅井さんの論を読んでいてわかったことですが、浅井さんがウ
クライナ問題を論じようとするときの論点の角度は「中国はウクライナ問題をどう見ているか」という角度からのもので、ウクラ
イナ問題を「主権国家に対する内政不干渉原則」と「民族自決原則」という国際法上の二大原則との関連から捉えようとする
世界の思想の潮流を知りたいという私の問題関心とはその問題関心のありようが異なることが明確になったということが大き
いということがあります。

が、浅井さんの「ウクライナ問題における論点」は今回が最終回のようです。ということもありますが、ウクライナ問題を浅井さ
んはどう見ているのか。あるいはどう見ようとしているのか。その浅井さんの国際情勢と国際政治構造を認識しようとする思想
(志向性・指向性)のありようが今回の論攷(前書き)を通じて総論として開陳されているように思います。そういう意味で今回も
浅井さんのウクライナ問題に関する論攷をご紹介させていただこうと思います。長文ですので、前書き部分と目次のみのご紹
介にとどめさせていただきます。本文は浅井さんのブログを開いてお読みください。

この「ウクライナ問題における論点」の最終回の文でも、やはり「他者感覚」と「丸山眞男」という浅井さんの論を読解するうえで
見落とすことができない、見落としてはいけない重要なキーワードが2つ出てきます。浅井さんのいう「他者感覚」とはなにか。
また、「丸山眞男」とはなにか。浅井さんの文章の中にその読解のヒントはあります。 




■中国の国際情勢認識-ウクライナ問題における論点⑧-(浅井基文のページ 2014.05.25) 

http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/606.html

ウクライナ情勢の混迷は、.Εライナを西側陣営に引き込もう(NATOの東方拡大)とするアメリカの戦略が原因であり、
ソ連解体後、米欧との関係改善を通じて復興・再建を図ってきたロシアはアメリカのこの戦略をロシア封じ込めと見なし、ウク
ライナを対西側緩衝帯として確保することを至上課題として反撃に出た結果である、というのが中国におけるコンセンサス的
見方だと思います。そして、ウクライナ情勢が今後どのように展開していくかは国際政治構造そのものを左右するマグニテュ
ードを持つものとして、また、それゆえに中国の改革開放戦略そのものにも影響を及ぼす重大な問題として認識されるのです。
それはある意味において、米ソ冷戦及びソ連解体に匹敵する、あるいは米ソ冷戦及びソ連解体後の最大級の国際的大事件
として中国では捉えられているということです。私は、中国メディアにおいて発表されてきた数多くの文章を読むことを通じて、
国際情勢認識を深めることができたとつくづく感じています。

翻って、日本国内における受けとめ方を見るに、大事だという受けとめ方はあるにせよ、しょせんは野次馬的関心でしかない
というのが正直なところではないでしょうか。せいぜい日本に引きつけてみることがあるとすれば、ロシアのクリミア併合の「暴
挙」に対してなすすべがないオバマ政権の対応を見て、中国が尖閣に対して軍事力行使を強める可能性が高まってきたとす
る「中国脅威論」増幅、したがって集団的自衛権行使の主張正当化に利用するという低次元な「お話し」でしかありません。日
本における国際情勢認識のレベルの低さを改めて痛感する次第です。  

これまで「ウクライナ問題における論点」として7回にわたって「コラム」で取り上げてきましたが、今回は第8回(最終回)として、
ウクライナ問題が国際情勢、国際政治構造に対して及ぼす影響について論じている中国専門家の文章をいくつか紹介したい
と思います(紹介するのはすべて要旨です)。私が皆さんに読みとっていただきたいと希望するポイントは2点あります。  

一つは、中国人の他者感覚の豊かさということです。ロシアを見るにせよ、アメリカを見るにせよ、相手(他者)の内側に入って、
その内側から物事を見ることを心掛ける姿勢です。中国人研究者のなかにも他者感覚をわきまえないものは散見されますが、
しかし自己中心主義、天動説が圧倒的に多い日本人と比べれば、中国人の物事に関する見方には学ぶべきものが多いこと
を分かっていただきたいのです。  

もう一つは、国際情勢認識、国際政治構造について考える際に、中国自身を国際情勢及び国際政治構造の一つの重要なファ
クターとして客観的に見るという視点が貫かれているということです。丸山眞男流に言えば自己内対話ということです。日本人
にとっての現実は往々にして所与のもの(丸山眞男のいう「可能性の束」ではない)であり、したがってその現実に対しては「ど
のように対応するか」という発想しか生まれがたいのです。しかし、中国人にとっての現実はあくまで「働きかけてよりよい方向
に向けて変えていくもの」なのです。そういう時に、中国自身をも可変的ファクターとして正確かつ客観的に位置づけることが不
可欠になります。

あまり長くなると、皆さんが読む気が起こらなくなるとは思ったのですが、以上の二つの点について理解と認識を深めていただ
くために敢えて紹介させていただきます。

1.米露関係ひいては国際政治構造の本質

(1) 紀明葵「ロシアのクリミア編入後の世界政治構造」(4月3日付中国網)
*紀明葵は国防大学教授。

(2) 呉正龍「米露は「新冷戦」ではなく「冷平和」である」(4月9日付環球網)
*呉正龍は元大使で、現在は中国国際問題研究基金シニア・リサーチャー。

(3) 李海東「米露「新冷戦」 中国は戦略的精神力を強化すべし」(5月2日付環球時報)
*李海東は外交学院国際関係研究所教授。

2.アメリカ・オバマ政権の対外戦略

(1) 鮑盛剛「リバランスが困難なアメリカのグローバル戦略」(4月22日付共識網) 

*鮑盛剛については詳細不明。「共識網」は香港の雑誌『領導者』のウェブサイト。

(2) 董春岭「米露対局 オバマは手を打ち返すだけの力をまだ持っているか」(5月13日付人民日報海外版網)
*董春岭は中国国際関係研究院中国现代国际关系研究院研究員補佐。

3.中国人の対プーチン感情と中国外交

(1) 王元豊「中国人の対プーチン感情」(5月24日付シンガポール聯合早報掲載。同日付環球網)
*王元豊は北京交通大学教授。

(2) 王義桅「中国外交はロシアのように「スカッ」とはいかない」(4月23日付環球時報)
*王義桅は中国人民大学EU研究センター主任兼国際関係学院教授。

4.中国外交のあり方

(1) 暁岸「「東西ともに緊張」という局面に沈着かつ積極的に対処しよう」(5月12日付中国網)
*暁岸は中国政府系の中国網常連の国際問題コメンテーター。

(2) 劉志勤「新冷戦の影響及び甲午敗戦の真原因」(5月3日付環球網)
*劉志勤は中国人民大学重陽金融研究所シニア・リサーチャー。



東本高志@大分
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