[CML 031472] 「頭から根拠のない噂」を流し、「ヒステリック」な対応と「排除の姿勢」をとっているのはいったい誰の方なのか!

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 5月 22日 (木) 00:26:45 JST


「レイバーネット日本」ブログの昨日の20付けに「美味しんぼ騒動:「ふくしま集団疎開裁判」が5/21に緊急記者会見と抗議行動」
という記事が掲載されています。

その記事には次のように書かれています。

      「「美味しんぼ」の表現に対し、福島県が表明した抗議文(略)に対し、本日(5月15日)、下記の4団体が抗議を福島県
      に申し入れました。/会津放射能情報センター/子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク/子どもたちの健康と
      未来を守るプロジェクト・郡山/ふくしま集団疎開裁判の会/しかし、その後も、「美味しんぼ」の表現に対する政府閣僚、
      政治家からの抗議、批判が相次ぎ、それを「王様の飼い犬」たちが「鼻血、聞いたことない」などとヒステリックに報道して
      います。/「福島の真実」の可能性を持つ少数意見を、このように頭から根拠のない噂=風評として葬り去ろうとする排
      除の姿勢は、表現の自由に対する由々しい侵害であり、民主主義の基盤である「自由な言論と討論の広場」を破壊する
      言論の最悪の抑圧です。」
      http://www.labornetjp.org/news/2014/1400544739387staff01

「ふくしま集団疎開裁判」ホームページの「「美味しんぼ」言論抑圧への抗議アクション~ご意見募集~」という記事にも同様の趣旨、
同様の表現があります。
http://www.fukushima-sokai.net/action/oishinbo.php

しかし、同記事が「『王様の飼い犬』」たち」と批判する「報道」はマスメディアの報道のことを指しているのでしょうが、たとえば下記
の朝日新聞記事は「美味しんぼ」の鼻血描写問題について識者の否定と肯定の双方の意見を掲載し、福島県内の反応について
も否定と肯定の双方の意見を掲載しています。他のマスメディアの報道もほぼ同様の報道姿勢で記事を書いているように見えま
す。

■(時時刻刻)美味しんぼ、苦い後味 編集部見解「表現のあり方見直す」(朝日新聞 2014年5月18日)
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11141650.html?_requesturl=articles%2FDA3S11141650.htmlamp

それがどうして「『王様の飼い犬』たちが『鼻血、聞いたことない』などとヒステリックに報道して」いるなどということになるのでしょう
か? メディアはもちろん「鼻血、聞いたことある」という人たちの見解も掲載しているのです。「ヒステリック」にウソを書き、騒ぎ立
てているのは明らかに「『王様の飼い犬』たち」批判者の方だといわなければならないでしょう。

また、この場合、「『王様の飼い犬』たち」というのは直接的には「報道」を指していますが、「美味しんぼ」のマンガ描写に批判的な
人たちを総べて「『王様の飼い犬』たち」と皮肉り、批判していることも明瞭です。

しかし、「『王様の飼い犬』たち」と批判されている「美味しんぼ」のマンガ描写に批判的な人たちも「鼻血、聞いたことない」などと全
否定しているわけではありません。

ビッグコミックスピリッツ25号(5月19日発売号)の「『美味しんぼ』福島の真実編に寄せられたご批判とご意見、編集部の見解」に
掲載されている13人の「有識者」のうち私が数えたところ7人の人がなんらからの形で「美味しんぼ」のマンガ描写に批判的な意
見を述べていますが、「福島県内で被曝を原因とする鼻血が起こることは絶対にありません」ともっとも直截的に福島原発事故と
鼻血の因果関係を否定している野口邦和・日本大学准教授さえ「『美味しんぼ』の作者が福島県に行って鼻血を出したことや疲労
感のあったことまで否定するつもりはない」と述べています。誰も「鼻血、聞いたことない」などと言っているわけではありません。こ
こでも「ヒステリック」にウソを書き、騒ぎ立てているのは明らかに「『王様の飼い犬』たち」批判者の方だといわなければならないで
しょう。

それに「美味しんぼ」のマンガ描写に批判的な意見を持っている人たちの中には、たとえば安斎育郎・立命大学名誉教授や野口
邦和・日本大学准教授などこれまで政府の原発推進政策や再稼働政策に反対してきたいわゆる民主陣営に属する人たちも少な
くありません。それも長年にわたってです。その人たちまで十把一絡げに「『王様の飼い犬』たち」などと悪罵するのは失礼この上
ないことだし、批判者たちの思い上がりは甚だしいものがあると指摘しておく必要もあるでしょう。

他者に対する敬意の欠如と自身の反省心のく欠落した思い上がりで成り立つ他者批判とはなんでしょう? もちろん、そんなもの
は批判でもなんでもありません。「『王様の飼い犬』たち」批判者たちに共通する人間素養という意味での教養の欠落とやはり人間
素養という意味での精神の荒廃だけを私はそこに強く見る思いがします。

以下に13人の「有識者」たちの「鼻血と放射能の因果関係」に関する意見のポイントを抜粋しておきます。そして、最後に安斎育
郎・立命大学名誉教授の意見の全文を掲載しておきます。非常に目配りの利いた、また、配慮の行き届いた識見というべきだろ
うというのが私の評価です。

■福島原発事故と鼻血の因果関係に否定的な立場
●安斎育郎・立命大学名誉教授
「今、こんなに疲れているのは、きっと福島に行ったせいだろう、などと考えることはよくあることです。そういうふうに思う方が多く現れることはあり得ると思います。が、これは原発事故によるものだと断じるようなものではないでしょう」
●遠藤雄幸・川内村村長
「「鼻血」について、私個人の周りでは前双葉町長の井戸川正隆氏以外そうした症状を呈している方の見たり聞いたりしたことはありません」「情報に対しさまざまな受け止め方があることは承知していますが、信頼できる、信用できる情報の発信に努めています」
●玄侑宗久・作家福聚寺住職
「これ(引用者注:放射線量の全国比較)をどう捉えるかは様々でしょうが、原発の近隣地区はともかく、福島県全体に人が住めない、などという話は、冷静さを欠いた感情論としか思えません」「作中の井戸川発言は、県内全域について一括りにしています。作中に採り上げた以上、それは井戸川氏の責任では済みません」
●野口邦和・日本大学准教授
「福島県内で被曝を原因とする鼻血が起こることは絶対にありません」「『美味しんぼ』の作者が福島県に行って鼻血を出したことや疲労感のあったことまで否定するつもりはないですが、同じ症状の人びとが『大勢いる』とは到底信じられません」
●蜂須賀禮子・大熊町商工会会長、事故調委員
「主人公の山岡さんは6回福島に入り、1回第一原発の中に入ったということですが、その程度の放射線量で鼻血が出るというのは、これはあり得ない話です」
●山田真・医師
「『美味しんぼ』の中で鼻血が出るメカニズムを説明していますが、無理があるように思います。活性酸素が出来て細胞を傷つけるという放射線の作用はあり得ますが、それで鼻の粘膜細胞がやられて鼻血が出るというのは、科学的に疑問放射線が体内のDNAを傷つけることはありますが、粘膜や毛細血管を直接傷つけるという説明は無理がある。低線量被曝では、身体の表面の症状は出てこないでしょう」
●青木理・ジャーナリスト
「鼻血のシーンはショッキングだったし、作者もある程度の反響は想定していたのではないでしょうか。ただ、ここまで批判的に取り上げるのはずいぶんと牴畩雖瓩婆簑蠅多いように思います」

■福島原発事故と鼻血の因果関係に肯定的、あるいは必ずしも否定しないという立場
●小出裕章・京都大学原子炉実験所
「『鼻血』が出ることについては、現在までの科学的な知見では立証できないと思います。ただし、現在までの科学的な知見では立証できないことであっても、可能性がないとは言えません」
●崎山比早子・事故調委員。元放射性医学総合研究所
「私は臨床医ではないので経験がなく、低線量被曝が鼻血の原因になるのか否かということについてはわかりません」
●津田敏秀・岡山大学教授
「チェルノブイリでも福島でも鼻血の訴えは多いことが知られています。(雁屋さんが)実際に対面した人が『鼻血を出した』わけですから、それを描くのは問題ないと思います」「『低線量放射線との因果関係をデータとして証明しないかぎり、そのような印象に導く表現をすべきではない』という批判が多いとのことですが、『因果関係がある』という証明はあっても、『因果関係がない』という証明はされていません」
●野呂美加・チェルノブイリへのかけはし代表
適切で大規模な疫学調査をしなければ、鼻血の否定はできないと思います。低線量被曝で鼻血が出ること、それはチェルノブイリでは日常です」
●肥田舜太郎・医師
「鼻血や下痢、疲労感には、放射線の影響が考えられます」「外部被ばくでも内部被ばくでも、何ベクレルまでなら大丈夫、というような基準は絶対にない」
●矢ケ崎克馬・琉球大学名誉教授
「放射線が鼻粘膜に当たれば、粘膜で分子切断が起こる。放射線が沢山当たると、鼻血が出る。原発事故後、関東圏で多くの子供が鼻血を出したと伝わっています」

■福島原発事故と鼻血の因果関係に関する安斎育郎・立命大学名誉教授(放射線防護学)の意見(全文)

鼻血や倦怠感については、福島のほうでそうした症状を心配している方がいるという話は伝わってきています。そして、それが放射線によるものかの議論がある。ただ、原発事故前の鼻血や倦怠感に関する統計データと今を比べなければ、増えているのかどうかはなんとも言えません。具体的な、そういう比較データは承知していない。

こうした症状は『後付けバイアス』によって出ることが知られています。これは心理学用語で、鼻血が出た、疲れたという症状が出た場合、福島で放射線を浴びたからではないかと考える。今、こんなに疲れているのは、きっと福島に行ったせいだろう、などと考えることはよくあることです。そういうふうに思う方が多く現れることはあり得ると思います。が、これは原発事故によるものだと断じるようなものではないでしょう。

放射線の影響が、人々にどういう影響を与えるのか。それは、4つのカテゴリーに分けて考えるべきでしょう。/搬療影響、遺伝的影響、心理的影響、ぜ匆馘影響です。

このうち、社会的影響というのは、福島に対する差別や偏見、風評被害もそうですし、避難していた人が、これまでかかっていたお医者さんに通えなくなったり、衛生面の変化や集団生活など環境の変化によっておこるストレスや不眠、食欲不振に陥ったりして死期を早めたりするのもそう。最近では、福島県では原発関連死が震災による直接の死者を超えていますが、これもこの社会的影響によるものです。

心理的影響については、多くの方々は放射線は浴びないに越したことはないということを知っているので、何かあると福島のせいではないかと考えてしまう。放射線量が通常より高いと知った際に、そういう感じ方をする。さきほど触れた、後付けバイアスもそうです。鼻血が出ると放射線のせいではないかと考えてしまう。何かが起きたら、放射線と関連付ける。さらに進むと、福島県で採れた食材は、汚染の実態と関係なく「『食べないほうがいい」と感じる。

が、今回の『美味しんぼ』の件を検証する場合には、´△乏催するか否かということになります。これは放射線医学とか放射線影響学といった科学のジャンルによるものです。

結論的に言えば、もちろん個人差もありますが、1シーベルトを超えなければ倦怠感は現れないと考えていいでしょう。毎時ではなく、一度に1シーベルトを浴びた場合です。目安としての、1シーベルトです。1シーベルトは、1000ミリシーベルトであり、100万マイクロシーベルトです。この線量を浴びた人が倦怠感を感じた場合は、放射線との因果関係を疑って構いません。もちろん、倦怠感は従事した労働の強度にも依存しますし、人によって放射線の感受性は違います。もっと低いレベルで倦怠感や吐き気が出る人もいれば、もっと高くないと症状が現れない人もいる。数百ミリシーベルトから1シーベルトの範囲で起こると考えればいいでしょう。目安としての1シーベルトと言えます。

今回の『美味しんぼ』では福島第一原発を見学した際に、「1時間当たり1680マイクロシーベルト」とありますが、1時間そこにいたわけでもないし、1シーベルトよりもはるかに低い被ばくでしょう。

私自身、毎月福島に行って放射能調査をしています。保育園児や幼稚園児の通園路や散歩道の線量を測り、ホットスポットを見立てて、どうすればいいか提案する活動をしています。南相馬や飯館、川俣、福島市、二本松、本宮、いわき、郡山などに行っています。その地域にべらぼうに高い被ばくをしている人はいません。もちろん、倦怠感、鼻血の症状が被ばくとの因果関係を示唆するような仕方で出ているとは承知していません。

また、私は事故の5週間後の2011年4月16日、浜通り沿いに北上し8時間ほど、汚染土の採取や空間線量率分布の測定調査を行いました。それでも被ばく線量は22マイクロシーベルトでした。事故直後でもこのくらいでした。

原発を見学した方も、短時間でしょうから、僕よりも浴びている線量は低いはずでしょう。10~20マイクロシーベルトというレベルかなと思います。その数値なら、これまで言われてきた放射線影響学から言えば、倦怠感が残ったり、それが原因で鼻粘膜がやられて鼻血が出るようなことは考えにくい。漫画によれば、鼻をかむと小さな血痕があったと書いているから、そんな大げさではないかもしれないけれど。

相対的に汚染が高かったという原発から60km圏の福島市渡利地区の調査も行いました。渡利地区の保育園の園児90人、保育者20人、そして希望される保護者の方の外部被ばく線量を継続実施調査した。積算線量計というのを配った。行政はガラスバッジというのを使いましたが、僕はクイクセルバッジという似た原理のものを使った。寝る時も近くに置いてもらって毎月ごとに測定し1年間測ってもらったんですが、今の状況だと渡利地区で保育園生活をしている人の被ばくは、1年間で0.2ミリシーベルトいかないぐらいなんですよ。よって、1000ミリシーベルト(1シーベルト)には程遠い。渡利地区にも、鼻血や疲れが抜けないという話は確かにあったが、放射線防護学的に見れば、放射線が直接身体に影響したのではなく、心理的な影響が大きかったのだと思います。

率直に申し上げれば、『美味しんぼ』で取り上げられた内容は、的が外れていると思います。今回の事故を受けてやらねばならないのは、まずは原発事故で何が起きたかの解明、汚染水漏れ対策、50年かかると言われる廃炉の方法やそのための労働力の確保、そして10万年かかると言われる高レベル放射性廃棄物処理の問題。なのに原発再稼働や輸出という話が出ている。そうした問題はぜひ、取り組まねばならないと思います。

そして、これはお願いになりますが、200万人の福島県民の将来への生きる力を削ぐようなことはしてほしくない。僕自身、わが故郷でもある福島の人々をサポートしていくつもりです。被ばくをできるだけ少なくするにはどうしたらいいかと。そういうことからすると、鼻血や倦怠感といった後付けバイアスの可能性が強い部分を強調されるのは状況錯誤だと思います。放射線医学の実態も反映していない。心理的な影響としてはあり得ますが、果たしてその問題が今のメインなのか。それよりも、18歳以下の甲状腺がんの可能性の問題など、取り組まねばならない問題はたくさんある。そういうことを明らかにすることのほうが必要だと思います。

結局、日本人の放射線リテラシーが低すぎるという問題があるでしょう。放射線に関する知識、情報を読み解いて、その危険度がどのくらいかを理解する基本的素養をまったく学校教育その他でつけてこなかった。そのため「放射線を大量に出した原発事故がある福島」と聞いただけでいろんな影響が起きてくることはある。巨大なストレスが生じるような状態になっている。家を放棄して他県に移る人もいるぐらいだから。

もちろん心理的バイアスだとしても、それに対してはきちっと対応しなければいけないことです。が、これがメインの問題かと言われると、それどころじゃない、もっと重大な問題がある、というのが私の意見です。また、福島の200万人の方が希望を紡ぐような内容を次は書いてほしいと希望します。

なお、放射線と鼻血に関しては、具体的なデータは承知していません。倦怠感に関しては研究はあるが、鼻血については知らない。ただ、放射線を浴びると皮膚がやられるのは事実ですから、粘膜が破れれば鼻血が出るわけで、それは皮膚に影響が出るのと同じですから、一定以上の放射線量を浴びると鼻血が出ることはあるでしょう。

あくまで目安ですが、1シーベルトで倦怠感が出て、3シーベルトで脱毛現象が起こる。5シーベルトで皮膚に赤い斑点。7シーベルトでやけどをします。8シーベルトでは火ぶくれ、ただれが出る。全身に浴びたら、1か月で亡くなる。10シーベルトで潰瘍ができる。イリジウム192という放射性物質を拾ってポケットに入れた人が、尻に潰瘍ができたということもあった。潰瘍が出るのはそのくらい極端なケースでないと起きません。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/





CML メーリングリストの案内