[CML 031450] 「美味しんぼ」福島の真実編に寄せられたご批判とご意見

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2014年 5月 21日 (水) 06:46:49 JST


「美味しんぼ」福島の真実編に寄せられたご批判とご意見 (3) 16名の方々
2014年05月21日
カテゴリー: 放射線被ばく・放射能汚染
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天下泰平 より
 
「美味しんぼ騒動」で話題となっている『ビッグコミックスピリッツ』の最新号が、5月19日に発売されました。


 


早速コンビニで購入して、今回の「美味しんぼ」を確認しましたが、放射能による鼻血が話題となってテレビや新聞でも問題とされている「福島の真実編のクライマックス」ということで、かなり過激な表現があると思いきや、予想よりもおとなしい内容であり、あくまでも「偽善は言えない、真実を語るしかない」という作者・雁屋 哲さんのスタンスを強調した一話であったと思います。
 


その中のメッセージ性としては「福島を出たいという人々に対して全力をあげて協力をしていくこと」など、避難希望者への対応についての雁屋さんの強い想いなどが多く描写されているように思えました。

そして、本編が終わった後に10ページにわたって《『美味しんぼ』」福島の真実編に寄せられたご批判とご意見》という特集記事が組まれており、そこで自治体を含む16名(件)の専門家の意見が掲載されています。


その内容は、まさに「ご批判」と「ご意見」できっぱりとスタンスが分かれていました。


以下に、その16名(件)のメッセージの内容の一部を抜粋しますが、個人的には医師の“肥田 舜太郎さん”と琉球大学名誉教授の“矢ケ崎 克馬さん”の「ご意見」が、とても分かりやすく参考となった内容が多かったので少し多めの転載とさせて頂きました。
 
 
1.安斎 育郎氏(立命館大学名誉教授/放射線防護学)

「結論的に言えば、もちろん個人差もありますが、1シーベルトを超えなければ倦怠感は現れないと考えていいでしょう。毎時ではなく、一度に1シーベルトを浴びた場合です。目安としての、1シーベルトです。」
「率直に申しあげれば、『美味しんぼ』で取り上げられた内容は、的が外れていると思います。今回の事故を受けてやらねばならないのは、まずは原発事故で何が起きたかの解明、汚染水漏れ対策、50年かかると言われる廃炉の方法やそのための労働力の確保、そして10万年かかると言われる高レベル放射性廃棄物処理の問題」
 
 
2.遠藤 雄幸氏(川内村村長

「『鼻血』について、私個人の周りでは、前双葉町の井戸川克隆氏以外そうした症状を呈している方を見たり聞いたりしたことはありません」
 
 
3.大阪府・大阪市


「事実と異なる貴誌『美味しんぼ』記載の表現は、此花区民をはじめ大阪府民の無用な不安を煽るだけでなく、風評被害を招き、ひいては平穏で安寧な市民生活を脅かす恐れのある極めて不適切な表現であり、冒頭述べましたように、大阪府、大阪市として厳重に講義するとともに、作中表現の具体的な根拠について是非開示されるよう強く求め、場合によっては法的措置を講じる旨、申し添えます」
 
 
4.玄侑 宗久氏(作家/臨済宗福聚寺住職)
 

「私は今回の問題(原発事故)でいちばん困るのは、原発の是非と放射能の問題をイッショクタにして捉える人々だと感じています。原発には私も反対です。しかし、だからといって、微量の放射線量の増加も許せない、というのは、些か冷静さを欠いています。放射線の問題はまた別な問題として考えなくてはなりません」
 
 
5.小出 裕章氏(京都大学原子炉実験所助教/原子核工学)

 
「今も帰れない地域が存在している、危険が存在するという事実を伝える必要はもちろんあります。国や電力会社、大手マスコミがその責任を放棄する、むしろ意図的に伝えないようにしている現状では、そうした活動は大切です。」
「『鼻血』が出ることについては、現在までの科学的な知見では立証できないと思います。ただし、現在までの科学的な知見では立証できないことであっても、可能性がないとは言えません」
「行政は、事故を引き起こしたことについてなんの責任も取らないままですし、むしろ現在は福島原発事故を忘れさせようとしており、マスコミもそれに追随しています。このような状況で、行政の発表に対して不信感を持たないとすれば、そちらが不思議です。何より放射線管理区域にしなければならない場所から避難をさせず、住まわせ続けているというのは、そこに住む人々を小さな子どもを含めて棄てるに等しく、犯罪行為です」
 
 
6.崎山 比早子氏(医学博士/元・東電福島原発事故調委員/元・放射線医学総合研究所主任研究官)

「なぜ、低線量被曝のリスクを無視しようとしているのでしょう。年間20ミリシーベルトなら安全だと言うことで、賠償負担をなくそうとしているのではないかと思えてきます」
「政府や専門家らは、100ミリシーベルトまでは安心だと、誤った情報を流し、福島をはじめ汚染地に住む人たちを“安心”させようとしている。このままでは数十年後、多くの人たちの健康に影響が出る可能性があります」
 
 
7.津田 敏秀氏(岡山大学教授/疫学、環境医学)

「チェルノブイリでも福島でも鼻血の訴えは多いことが知られています。(雁屋さんが)実際に対面した人が『鼻血を出した』わけですから、それを描くのは問題ないと思います」
「『低線量放射線との因果関係をデータとして証明しないかぎり、そのような印象に導く表現をすべきではない』という批判が多いとのことですが、『因果関係がある』という証明はあっても、『因果関係がない』という証明はされていません」
「20ミリシーベルトが安全だという話は、100ミリシーベルト以下は被ばくによるがんが出ないといううその情報にしたがって、20ミリシーベルトは大丈夫と言っているのでしょうが、それは間違っています」
「『福島に住んではいけない』という表現がありますが、放射線管理区域というのは、厳重に管理されている場所で、普通そういうところに人は住んでいないし、住んではいけません。特にこどもや妊婦は放射線管理区域に相当するレベルの空間線量がある場所に住んではいけない。福島県内でそれに相当する地域に関して、『住んではいけない場所』という表現をつかって、場所をもっと特定しろと言う以外に、なにか問題があるのか、逆に私が聞きたい」



8.野口 邦和氏(日本大学歯学部准教授/放射線防護学)

「福島県内で被曝を原因とする鼻血が起こることは絶対にありません。ごく短期間に全身が500〜1000ミリシーベルトを超えるような高線量の被曝をした場合、被曝を原因とする出血の起こる可能性があります」



9.野呂 美加氏(NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」代表)

「今、日本で行われている被曝対策は広島・長崎のデータに基づいていますが、チェルノブイリの医師達は、広島の事例は使えないと言っています。特に、低線量内部被曝は、核実験などを頻繁に行っていた旧ソ連の科学者もそこまで被害が悪化すると思っていませんでした。適切で大規模な疫学調査をしなければ、鼻血の否定はできないと思います。低線量被曝で鼻血が出ること、それはチェルノブイリでは日常です」



10.蜂須賀 禮子氏(元・東電福島原発事故調委員/大熊町商工会会長)

「主人公の山岡さんは6回福島に入り、1回第一原発の中に入ったということですが、その程度の放射線量で鼻血が出るというのは、これはあり得ない話です」
「この作品を、放射線についての知識をもたない人が読むとどう思うか。とても腹が立ちました。」



11.肥田 舜太郎氏(医師)

「私は、原爆投下後の広島で被爆者の治療にあたり、内部被ばくを研究してきた医師として、震災後に日本各地から講演の依頼がありました。そして全国を訪ね歩いたのですが、行く先々でこんな相談を受けたんです。『あまり人には言えないけれど、実はうちの子は鼻血が出て困りました。大丈夫でしょうか』と。鼻血のほか、下痢の症状を訴える人もいました。事故を起こした福島第一原発の放射性物質はアメリカやイギリスにまで拡散したのですから、狭い日本のすみずみまで被害が及んでいてもおかしくありません」
「鼻血や下痢、疲労感には、放射線の影響が考えられます。作中では、放射線による人体への影響について松井英介さんが見解を述べていますが、この分野では、「ペトカウ理論」という学説があります。放射線で細胞膜が破壊できるのかを実験した、カナダのアブラム・ペトカウという学者の説です」
「ペトカウは、高線量の放射線を短時間放射するよりも、低線量で時間をかけてゆっくりと放射したほうが、細胞膜を破壊する率が確実に上がることを実験で証明しました。1972年のことです。しかし、低線量による内部被ばくを隠したいアメリカにとっては不利な学説だったため、アメリカはカナダ政府を巻き込んで、ペトカウの学説はインチキだという宣伝をしまくり弾圧してしまったのです。ですから、ペトカウのことは、ごく一部の専門家しか知らないでしょうし、一般には名前も知られていないでしょう」



12.福島県庁

「県のみならず、県民や関係団体の皆様が一丸となって復興に向かう最中、国内外に多数の読者を有し、社会的に影響力の大きい『週刊ビッグコミックスピリッツ』4月28日及び5月12日発売号の『美味しんぼ』において、放射線の影響により鼻血が出るといった表現、また、『除染をしても汚染は取れない』『福島はもう住めない、安全には暮らせない』など、作中に登場する特定の個人の見解があたかも福島の現状そのものであるような印象を読者に与えかねない表現があり大変危惧しております」



13.双葉町

「町役場に対して、県外の方から、福島県産の農産物は買えない、福島には住めない、福島方面への旅行は中止したいなどの電話が寄せられており、復興を進める福島県全体にとって許しがたい風評被害を生じさせているほか、双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになると強く危惧しております」



14.矢ケ崎 克馬氏(琉球大学名誉教授/物性物理学)

「放射能の健康への影響については、国際的に二つの潮流に分かれています。一つはICRP(国際放射線防護委員会)やIAEA(国際原子力機関)が主張する、放射能の影響は大したことがないという論調。100ミリシーベルトまで問題はなく、チェルノブイリ事故後の健康被害は甲状腺ガンだけというもの。もう一つは、事実をありのままに見つめ、率直に理解する考え方。こちらは、低線量の健康被害を重大視しています。日本政府は、前者のスタンスですが、事実を率直に見つめれば、それが誤りであることは分かります」
「現に、100ミリシーベルトどころか、その100分の1、1000分の1でも健康被害が出ています。欧州では年間0.1ミリ以下ですが、性比(男女の出生比)、血管系疾患、免疫力低下、死産、奇形、ダウン症、水晶体混濁、白血病などがチェルノブイリ事故が起きた1986年を境に急増。主として、食を通じての内部被曝によるものと考えられています。影響は数ミリシーベルトのレベルで増加しており、2056年までの癌の発生は全欧州で13万人余、死亡数は8万人余と膨大な被害が予想されています。100ミリシーベルトなどとんでもない数値なのです。こうした事実がチェルノブイリの調査報告で出ています」
「放射能と鼻血の関係ですが、放射線がモノにあたると、どういうことが起きるか。放射線は原子に当たります。すると『電離』が起きる。電離によって電子が吹き飛ばされる。放射線で電子が飛ばされると原子が離れ、『分子切断』が起きる。生命機能を果たしていた組織が、放射線の作用で切断されるのです。放射線が鼻粘膜に当たれば、粘膜で分子切断が起こる。放射線が沢山当たると、鼻血が出る。原発事故後、関東圏で多くの子供が鼻血を出したと伝わっています。私にもそうした情報は伝わりました」
「関東地方の常総生協は2012年11月、松戸、柏、つくば、取手など千葉、茨城の15市町に住む0歳から18歳までの子どもを対象に尿検査を実施。そうしたら70%の児童の尿からセシウムが検知されました。こうした調査結果があるにもかかわらず、国は内部被曝はないとしています。こういうことでは、行政の公表内容に不信感を持たれるのも当然でしょう」



15.山田 真氏(医師/子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク代表)

「『美味しんぼ』の中で鼻血が出るメカニズムを説明していますが、無理があるように思います。活性酸素が出来て細胞を傷つけるという放射線の作用はあり得ますが、それで鼻の粘膜細胞がやられて鼻血が出るというのは、科学的に疑問放射線が体内のDNAを傷つけることはありますが、粘膜や毛細血管を直接傷つけるという説明は無理がある。低線量被曝では、身体の表面の症状は出てこないでしょう」



16.青木 理氏(ジャーナリスト/ノンフィクション作家)

 
「すでに単行本化(110集)されている部分も含めて作品全体をじっくり読めば、きちんと検査された食品は安全だと幾度も言及していて、『風評被害』や『不当な偏見』に苦言を呈するシーンがたびたび登場します。にもかかわらず印象の強い鼻血のシーンだけことさらに取り上げ、言葉尻をあげつらうかのように批判されている。これでは批判者を煽るようなものだし、作品への正当な批評がなされているとは言い難い。この問題は大手全国紙も軒並み取り上げていますが、大半が騒動仕立ての報道で、コミックの内容全体に触れている記事はほとんどありません。これも短絡的な批判の声をエスカレートさせている要因だと思います」
 
 
ということで、肩書きやメッセージ(ご批判)内容を見ても明らかのように、当然ながら「美味しんぼ否定派」は、自治体や御用学者の皆様方であり、独断と偏見で自分が感じた見解では、9名が完全に「ご批判」としての立場をとって全面的に美味しんぼの内容を批判しているように思えました。


『美味しんぼ』福島の真実編に寄せられたご批判とご意見

 
<否定派>
1.安斎 育郎氏(立命館大学名誉教授/放射線防護学)
2.遠藤 雄幸氏(川内村村長)
3.大阪府・大阪市
4.玄侑 宗久氏(作家/臨済宗福聚寺住職)
8.野口 邦和氏(日本大学歯学部准教授/放射線防護学)
10.蜂須賀 禮子氏(元・東電福島原発事故調委員/大熊町商工会会長)
12.福島県庁
13.双葉町
15.山田 真氏
この方々に共通するのは「鼻血と放射線の因果関係はない」の一点ばりの意見であり、100ミリシーベルト以内であれば健康に害はないという理論が前提で、その上で現在の福島の放射線量は極めて安全圏内であるということです。



<擁護派>
5.小出 裕章氏(京都大学原子炉実験所助教/原子核工学)
6.崎山 比早子氏(医学博士/元・東電福島原発事故調委員/元・放射線医学総合研究所主任研究官)
7.津田 敏秀氏(岡山大学教授/疫学、環境医学)
9.野呂 美加氏(NPO法人「チェルノブイリへのかけはし」代表)
11.肥田 舜太郎氏(医師)
14.矢ケ崎 克馬氏(琉球大学名誉教授/物性物理学)
16.青木 理氏(ジャーナリスト/ノンフィクション作家)
一方で「ご意見」として述べられているのは、どちらかといえば「美味しんぼ擁護派」の方々であり、こちらも医師や教授の専門家などが7名ほどいますが、この方々は「放射能は微量でも健康を害する危険性がある」という理論が前提であり、特に「内部被ばく」というキーワードも使って放射能の危険性を訴えかけています。
 
 


ちなみに「ご批判」の意見を述べている方々からは、一言も「内部被ばく」という単語は出てきませんでしたが…。


それにしても、これだけ叩かれていながらも、単純に「ご批判」をする専門家の意見だけを出さずに「ご意見」と言葉を濁して相反する専門家の意見を世に出しているのは、さすがはスピリッツさんです。あとは、どちらの意見を受け入れるかは、読者それぞれに委ねられることだと思います。


ということで、ご興味のある方は是非とも『ビッグコミックスピリッツ』をお買い求めの上でご自身でも内容をご確認下さいませ。
 

  		 	   		  


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