[CML 031421] <テント日誌5月16日(金)経産省前テントひろば979日目、商業用原発停止244日目>

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2014年 5月 19日 (月) 04:15:09 JST


(転送します)

テント日誌 5月16日(金)
経産省前テントひろば979日目 商業用原発停止244日

「美しんぼう」をめぐる騒動について

テントの中には「美味しんぼ」(5月26日号)の冒頭の部分のコピーがぶら下がっている。話題になっている井戸川さんの話の部分である。来週あたりに総集編のようなものが出るらしいから、それを読んでから感想をと思っていたのだが、テントの中や、周辺でも話題になっているので、やはり書いて置きたい。どんな形にせよ、原発問題が人々の関心になるのはいいことである。

 井戸川さん(前双葉町長)の「鼻血や疲労感で苦しむ人が大勢いるのは被ばくしたから」「今の福島に住んではいけない」という発言の描写部分が批判の対象となっていることはこの間の報道された記事をみればよく分かる。福島県や自民党県連、あるいは民主党の会派、さらに政府の菅義偉官房長官などが批判しているが、それは菅官房長官の「住民の放射線被曝と鼻血に因果関係はない、と専門家の評価で明らかになっている」と断じていることがそれを集約しているといえる。
要するに放射線被ばくと鼻血とは関係ないという専門家がいて、その観点から批判しているにすぎない。これは放射線被ばくの結果とされる子供の甲状腺がんの発生(これについて、東京新聞は37万人の8割検査の結果として「50人が確定で39人が疑い」と報じている。国立がんセンターによると10代の甲状腺がんは100万人に19)人程度と言われるから異常に高いことになる)についてのことでもいえる。これについて環境省は放射線被ばくとの関係を否定している。

『アサヒ芸能』(「美味しんぼ」福島差別)はこの批判に沿った記事である。ここでは丁寧にも日本大学の野口那和准教授が出てきて専門家として鼻血と放射線被曝は関係ないと述べている、彼はあちらこちらに出てくる人である。そしてさらに、福島に住むという山本一典氏を登場させ、因果関係だけではなく、「福島事故後に『鼻血』を出したという県民は、私の知る限り一人もいません。
『子供が鼻血を出した』という噂も聞いたこともありません」(山本氏の発言)と語られている。ここからは因果関係の否定から事実の否定まで展開している。これは鼻血そのものも存在していないかのような見解であるが、こういう事実までの否定は論外というべきである。

福島第一原発の事故に端を発するとされる放射線被ばくの結果として鼻血や甲状腺がんが発性しているということが否定されている。そういう見解が風評被害を助長し、福島差別であると批判されているのである。因果関係の否定ということと、それが風評被害や差別を助長するというのは別とであるが、原発の被害(放射線被ばくを小さいものか、ないものにしたい)というところで共通している。これに便乗しての政府の閣僚たちの批判は原発再稼動を前にしての「原発安心」神話をふりまこうとするものであり、その権力的なありように不快感がある。

それらを前提にしてもう少し先に進むといくつかの問題も見えてくる。その一つは福島第一原発の事故後に見られるようになったによって鼻血や甲状腺がんの発生だが、その因果関係を確定することが非常に難しいということがある。これは現在でも進行している放射線被ばくを解明して行くことの困難さがある。
鼻血や甲状腺がんは放射線被ばくの象徴的現象であり、実際はもっと多くの事柄、例えば疲労感や心臓疾患の進展なども報告されている。そして、放射線被ばくと鼻血や甲状腺がんの因果関係については現段階では誰もが認めるという段階には達していない状態にあるということだ。

放射線被ばくには未知なところが多くあり、そうした中での放射線被曝ばくやその結果とされる現象との関係の認識をどう深めていけるかの課題がある。放射線被ばくが広がっており、その病状などは今後に出てくるだろうという予測はチエリノブイリなどの事例などからあるが、現状では視えないところが多いのである。僕らはこうした中で、さしあたって判断や理解をしている。
当然ながら、放射線被ばくとその結果と言われる現象の因果関係には解明できないことがあり、それを解明していくことを課題としながら、さしあたっての認識としてそれをしているのである。この漫画でいえば、井戸川さんの発言を肯定する立場であり、子供の甲状腺がんについても因果関係を認めている。これに因果関係を明瞭なものにして行くという課題があることを自覚し、含めているのである。

こうした現状の中で、因果関係がないという見解が出てくることも分かっている。そしてそういう批判が出てくることも当然のこととしてみている。つまり、この漫画には批判的な立場の人がいるのはいい。こうした批判がなくなるのは因果関係を明確にしていくことにおいてであり、その進展の中で批判もきえていくだろうと思う。放射線被ばくをめぐる現在の対立は、その因果関係が明瞭になることによって解決していくのであり、そこでしか可能ではないのであり、僕らがこの課題を解いていくことが、批判に応えて行くことになるのだと思う。

ただ、僕らがこうした批判に批判的な理由はある。放射線被ばくと鼻血や甲状腺がんとの関係について否定的な放射線防護学の専門家は因果関係がないというなら、同時に分からない領域に足を進めての批判をやれということである。それは鼻血や甲状腺がんと放射線被ばくが関係ないのなら、それが何故、起きているか、それらがどういう原因で起きているかを解明すべきである。

現在、放射線被ばくとその結果とされるものについては、否定的な見解と肯定的な見解と、また分からないという部分がある。現実には分からないという部分を多く含んだ形の上でのさあたっての否定か肯定が出されているのが実際のところである。そして大事なことは分からない部分の究明であり、そこに普遍的課題がある。因果関係を否定するなら、分からないと思っている部分にも答えなければそれは一方的なものになってしまう。それは科学的立場というよりは、別の目的のための立場と言われるのである。

放射線被ばくとその結果とされる現象との因果関係には科学的に解明されることが難しい。これは公害や薬害の問題が生じる度に見てきたことであり、経験してきたことだ。水俣病についての例をあげるまでもない。そして、多くの場合には因果関係を否定する専門家と称する面々が多く登場し、果たしてきた役割もみてきた。彼らの因果関係の否定は科学的な知見から導かれたものというよりは、因果関係の解明が難しく困難であるということを否定の基盤にしてきたのである。科学的な解明が困難な段階で、科学の専門家を装って因果関係を否定してきた。僕らは福島第一原発の事故の当初からこういう存在を予測はしていた。

例えば鼻血と放射線被ばくの関係、あるいは甲状腺がんと放射線被曝の関係の証明が困難であることを理由にして、因果関係の否定する専門家がでてくることを予測していたのである。こうして歴史を見る時に僕らが専門家の見解なるものをあまり信用してこなかった理由があるし、彼らが何を持ってその主張をするかは大体の予測はつくのである。放射線被ばくとその現象とされることの因果関係には現在では分からない領域にどう対応するかが、専門家と称するものの分岐をなすのであるが、ここは重要なところのだ。

今回の「美味しんぼ」批判で特徴的なことの一つは政府や閣僚たちが便乗してのそこに加わってきたことである。閣僚たちの発言は原発推進派の代弁であるが、要するに一部、専門家と称する面々の鼻血や甲状腺がんと放射線被ばくの因果関係の否定に乗っかって政治的に利用しているだけである。自分の見識での発言はほとんどみられない。自分なりに考えを突き詰めてきての結果ではなく、原発再稼働の立場からの政治的発言である。
彼らには原発再稼動→原発保持ということがあって、そのために放射線被ばくや放射能汚染を実態を小さくみせようということがある。この究明が難しいことを利用して、放射線の「安心神話」をつくり出して行くという政治的意図がある。この漫画批判は政治権力の「表現の自由」への露骨な抑圧であることをすら気がつかない品性のなさが目につく。彼らの原発問題に対する神経過敏状態を露呈させたともいえる。安倍内閣のあらゆる領域での過剰介入をあらわしている。 
(三上治)



テントからのお知らせ  

1)「川内原発動かすな!東日本決起集会」
   時; 5月29日(木) 19時〜 場所明大リバティホール

2) 6月13日(金)、鹿児島・川内現地行動参加者募集
 6月12日(木)〜14日(土)行動。6月12日12時、羽田集合、6月

 13日現地行動。6月14日帰り、参加費(宿泊代込み1万円)

3) 6月1日(日) 川内原発再稼動やめろ 官邸・国会前★大抗議
   6月1日(日) 14時〜17時 首相官邸前・国会議事堂周辺

4) 5月22日(木) 18時30分テント全体会議 (たんぽぽ4F)




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