[CML 031260] 放射線による老化、あるいは「原爆ぶらぶら病」

檜原転石 hinokihara at mis.janis.or.jp
2014年 5月 11日 (日) 09:05:37 JST


檜原転石です。

東本さん、こんちは。

あなたは私が紹介した以下の記事を読みましたか?

■チェルノブイリ大惨事による 健康影響の実相:二つの報告書から
 ―― 無視され続けてきたがん以外の健康被害  崎山比早子
http://takasas.main.jp/down/Kagaku_201111_Sakiyama.pdf

で、読んでもあなたは放射線影響研所(放影研)研究の以下にこだわった――

  「(しかし)被爆後2カ月くらいすると、骨髄幹細胞は回復し、この頃まで 
には感染症による死亡も終息した。1980年代から行われている被爆 者について 
の調査では、単球、顆粒球およびナチュラルキラー細胞の異常は認められていな 
い。つまり先天免疫に対する放射線の障害は被爆後の早い時 期にのみ生じたよ 
うである。」

 よって上記の「先天免疫に対する放射線の障害は被爆後の早い時期にのみ生じ 
た」について考察します。次のいくつかの要点――内部被ばくを無視し ている放 
影研、広島原爆後の猛烈な台風で洗われた放射性降下物など、およびチェルノブ 
イリ事故による“継続する内部ヒバク”などを考慮すれば、 違ったとらえ方をで 
きませんか?

 さらに“1980年代から”に着目して、以下の記事も引用します。

■矢ヶ崎克馬『隠された被曝』(新日本出版社、2010年)

頁35――

生物学的半減期の無視

 ホールボディーカウンターによる測定は、1969年と1981年に行われま 
した。測定対象のCs137が体内に入った場合の生物学的半減期は 100日 
です。台風による大量降雨後は、原爆被爆による放射性物質を新たに体内に入れ 
る環境が無くなったと仮定すると、体内のCs137の量は生 物学的半減期は 
100日に従って減衰し、ホールボディーカウンター測定の時点では、完全に減 
衰しきって測定には掛かりません。このことを米原子力 委員会の「科学者」や 
ABCCの「科学者」は充分認識していて、逆に“被曝が無いこと”の立証に悪用 
しようとしました。

(引用終わり)


 また低線量被ばくに起因するでろう「原爆ぶらぶら病」についての記事を以下 
に引用します(肥田舜太郞『内部被曝』扶桑社新書、2012年、頁 124よ 
り)。

・ 被爆前はまったく健康で病気ひとつしたことがなかったのに、被爆後はいろ 
いろな病気が重なり、今でもいくつかの内臓系慢性疾患を合併した状態で、わず 
かな ストレスによっても症状の増悪を現す人びとがある(中・高年齢層に多い)。

・ 簡単な一般検診では異常が発見されないが、体力・抵抗力が弱くて「疲れや 
すい」「身体がだるい」「根気がない」などの訴えが続き、人なみに働けないた 
めに まともな職業につけず、家事も十分にやっていけない人びとがある(若年 
者・中年者が多い)。

・    平素、意識してストレスを避けている間は症状は固定しているが、何らか 
の原因で一度症状が増悪に転ずると、回復しない人びとがある。

・    病気にかかりやすく、かかると重症化する率が高い人びとがある。
(引用終わり)


大気圏核実験による被ばくした米軍兵士にも同様な症状を示す事例が多々あり、 
「慢性疲労症候群」と名付けられているようです。


 まあ要するに内部ヒバクで放射線を継続的に受けたらどうなるのだろうか?と 
考えてみるのです。細胞分裂の回数には限度があり、それにはテロメア が関係 
している。テロメアは放射線に弱い。放射線によってテロメアが傷つき短くなり 
細胞は分裂能を失い、いわゆる細胞の老化。「放射線による老 化」について 
は、老化の原因の一つのテロメアに関する崎山比早子の記事をまた引用します 
が、このテロメアについては放射線影響研所(放影研)も ――「また、同じ600の 
試料から得られたDNAを用いてテロメア長を調べる。胸腺の老化指標に対する放 
射線被曝の影響を病理学的検討および分子 解析によって評価する。これらの結 
果を用いて、免疫に関連する健康とその免疫状態が異なる年齢群と放射線群でど 
う変化するのかを効果的に評価する ための総合的スコアリング・システムを構 
築する。」(※注1)としています。私は、体内原発のタバコを持ち出して(加 
えてポロニウムを含有し、フ クシマ以後ではセシウム137も取り込みま 
す)、私見を披露しましたが、タバコをやめるとなぜ劇的に寿命を延ばすのかは 
実に興味深いことなので す。もちろんタバコには発がん物質やニコチン、ビタ 
ミンCを容易に壊すとか、色々な「犯人」捜しはできます。

また内部ヒバクについては矢ヶ崎克馬の記事を――

■矢ヶ崎克馬『隠された被曝』(新日本出版社、2010年)

頁40――

 例えば、劣化ウラン弾のエアロゾールによる被曝はアルファ線による集中的電 
離作用と微粒子形成による継続的被曝を考察せずに、平均化、単純化、 具体性 
無視のICRPにしたがえば、半減期が長いことから単位時間当たりの被曝量は 
無視できるほど少なくなり、数十グラムの劣化ウランを飲み込ん でもがんなど 
の疾病はあり得ないと結論付けられるのです。ここに具体性を見ないで単純化平 
均化をすることの恐ろしさがあります。・・・

頁104――

 原爆投下後13日目から救護活動のために入市した三次高等女学校の生徒たち 
の、76歳時点での生存率は、全国平均が83.7%であるのに対し、 たった 
43%です。これらの人々は、現状の被爆者(健康手帳保持者)の規定(特に 
2kmと2週間)が間違っていることを示している典型で、内部被 曝の怖さを 
示す被曝例です。

※引用者注:2号被爆者(入市者) 原爆投下から2週間以内(広島・1945.8.20 
まで、長崎・1945.8.23まで)に爆心地から2km 以内に入った者。


次に東本さんの言う――「放射能デマの拡散、流布がいかにこうした低線量被ばく 
の危険性を無視、あるいは否定する論者たちに無惨のさまで都合よく 利用され 
ているか。その悪影響がこのシンポジウムの講演でも見てとれます。まさに無残 
なさまです」というのが私の認 識です。

核・原発マフィアの関係者は利用できるものは何でも利用するのです。よって 
反・脱原発の些細な間違いでも当然利用されます。だから「間違いをする 
な!」とか「誇大にモノを言うな!」と言ってみてもほとんど何にも得るものは 
ありません。人とは大概そういうものだからです。しかし人がたとえそ うで 
あっても、こと原発問題関しては意見表明しないよりした方が遙かにいいことは 
確かです。

広河隆一も、「健康アンケートでは個人の恣意が入るため客観的データはなりに 
くいが・・・しかし――」と書いています。でも小児科の医者の症状を 訴えない 
患者を相手にしている困難を思えば、恣意がはいろうがはいらまいが、意見表明 
によって放射線と鼻血が関係あるという知見が私たちに確認さ れたということ 
です。たとえば肥田舜太郞は以下のように書いています――「もしこれから子ども 
に鼻血が出たとか、普段と変わったことが起きた場 合、大事なことは「必ず記 
録をしておく」ということです。(『内部被ばく』扶桑社新書、2012年、頁 
24)。よって鼻血の話題でいえば、チェル ノブイリをもし知っていれば、規 
模の多寡はともかく、フクシマであっても不思議ではないと考えるのが普通で 
す。だからその種の人ならあなたのよう に、デマだとは言い立てはしないで 
しょう。

これから得られる結論は、あなたはチェルノブイリ事故における鼻血と放射線の 
関係を知らなかったから、この頃ニューズを賑わした話題でデマだと主 張し 
た、となりますが、これであっていますか?

※注1:
■加齢と放射線に関連した免疫能の総合的評価システムの構築
http://www.rerf.or.jp/programs/rparchiv/rp03-09.htm




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