[CML 031224] 放射線は老化を促進させる

檜原転石 hinokihara at mis.janis.or.jp
2014年 5月 9日 (金) 08:14:05 JST


檜原転石です。

東本さん、こんちは。

あなたは「放射線に、安全な量はない」という立場だが、同時に「放射能デマの 
危険性についても警鐘をならすのが重要だ」と考えている。

よって「少しの放射線は影響ゼロ」という藪田さんや「放射脳」などというトン 
デモ語を使う林田力とは違う。

しかし、「放射線に、安全な量はない」という立場で、加えて、放影研の疫学調 
査でもチェルノブイリ事故の疫学調査でも明らかなように、放射線は免 疫機構 
を容易に壊し、がん以外の病気も多発させることを知っていれば、「福島で鼻血 
を出す子が続出し、下痢、頭痛が止まらない子が大勢いる」ある いは「娘の友 
達が何人も白血病の初期症状と診断され、甲状腺の異常が見つかった」などは、 
ことばのすべての細部にわたってそれらが事実かどうかは さておき、そのよう 
な事態が部分的にはたとえあっても何ら不思議でもなんでもないと考えるのが科 
学的態度です。よってそれらをデマと言い切れるの は核・原発マフィア系の科 
学者だけです。彼ら彼女らには「100ミリシーベルト以下のヒバク量では健康 
被害はない」という立場にいるからです。

またデマについて観点を変えますと、科学ネタは社会ネタとは違って――まあ私の 
場合ですが――継続的に学習していないと知識がすぐあやふやになる ということ 
です。よって簡単な勘違いをはじめ数字の桁を間違えるあるいは単位の間違いを 
することなども当然起きます。この場合でも、主張はデマと なります。だから 
私は原発については継続的に書いている時以外はなかなか書きません。しかし脱 
原発・反原発の人の主張の間違いは大目に見ることを 基本としています。

国際放射線防護委員会(ICRP)が現在採用しているリスク推定は―― 
「1mSv(公衆の年間被ばく線量限度である)の被ばくで 10,000人中1人ががんに 
なり、そのがんの半分が致死的」ですが、このリスク値は放射線影響研所(放影 
研)の疫学調査を使っています。ただしこれは単 位時間あたりにヒバクする放 
射線の量を考慮して、“低線量率ヒバク”として広島・長崎のヒバクシャ(一瞬で 
全線量のヒバクで高線量率ヒバク)の発 がんリスクの半分にしています。フク 
シマでは低線量率ヒバクになりますし、原発労働者も、集団検診の胸部エックス 
線も低線量率ヒバクとして計算さ れます。ただしCTの全身検査は高線量率ヒ 
バクシャのようです。しかし低線量率ヒバクの方が高線量率ヒバクよりリスクが 
2倍高いという疫学調査も あります。
 また放射線影響研所(放影研)の調査が内部ヒバクを考慮していないというこ 
とを加味すれば、「1mSvの被ばくで 10,000人中1人ががんになり、そのがんの半 
分が致死的」をたとえば10倍ぐらいリスク値を高くして、「1mSvの被ばくで 
10,000人中10人ががんになり、そのがんの半分が致死的」としても間違いとは 
言い切れません。

ところで大久保利晃放影研理事長は放影研の疫学調査の数字が「1mSvの被ばくで 
10,000人中1人ががんになり、そのがんの半分が致死的」として使われているこ 
とを知らないのでしょうか。また内部ヒバクを無視したい衝動は放影研の 宿命 
から来ているのでしょう。

 最後に、放射線と免疫機構への攻撃について(ここでも放影研の研究を使います)

■原爆被爆者における T 細胞老化と炎症応答
http://www.rerf.or.jp/library/rr/rr0903.pdf
要 約
本稿では、原爆放射線のT 細胞系に及ぼす長期影響を総括し、原爆被爆者における疾
患発生にT 細胞免疫の減衰が関与している可能性について論議する。原爆被爆者 
では、
これまでT 細胞の細胞分裂促進物質による増殖性やIL-2 産生の低下、ナイーブT 
細胞の
減少、および機能的に不活性あるいは劣っているメモリーCD4 T 細胞の増加が観 
察され
てきた。最近では、被爆者のCD4 T 細胞集団におけるCD25/CD127 制御性T 細 
胞の割
合の放射線量依存性増加が認められている。T 細胞免疫に及ぼすこれらの放射線 
の影響
はすべて加齢の免疫系への影響と類似していることから、電離放射線被曝によっ 
てT 細
胞系の性質が免疫老化と関係した脆弱なものへ誘導された可能性が示唆される。 
更に、
血漿中の炎症性サイトカインレベルとナイーブCD4 T 細胞の比率との間に有意な 
逆の関
係が認められ、原爆被爆者に見られる炎症指標の亢進の一部はT 細胞老化による 
可能性
も示唆される。放射線で誘導されるT 細胞老化が炎症反応の活性化をもたらし、 
原爆被
爆者で高頻度に観察される加齢関連の炎症性疾患の発生にある程度関係している 
のかも
しれない。

*****

 放射線は免疫機構を容易に壊すことは、「放射線は老化を促進させる」とも言 
えますが、たとえばタバコをやめただけで、なぜ劇的に寿命を延ばす効 果があ 
るのかについても、それで説明できるかもしれません。タバコによる発がんの機 
序の仮説が数年前に発表されて、それによるとタバコのがんも放 射性物質が原 
因である。タバコに含まれる鉄分が体内でフェリチンと結合し、それが放射性物 
質をかき集め濃縮し、例えばラジウムでは、その濃度は海 の濃度の100万 
倍~1000万倍だともいう。“タバコは体内原発”だったわけです。

 次に、放射線影響研所(放影研)による疫学調査によると、タバコは寿命を 
10年縮めるという報告があり、さらに30代でタバコを止めれば、タバ コの 
害をチャラにできるという報告もなされた。タバコは何歳でやめても寿命を延ば 
す効果があるという疫学調査が出ていて、タバコががん増殖のアク セルの役を 
果たしているのは分かっているが、その機序は分かっていない。ただし、放射性 
物質は容易にがん抑制遺伝子を無効にできるようで、タバコ がかき集める放射 
性物質がそこでも重要な働きをしている可能性がある。以上は私の私見ですが、 
だってタバコをやめるとラジウムなどの放射性物質の 体内への高濃度取り込み 
は止まりますから、免疫機構が壊されずに元に戻り活性化する。


(以上参考 『レントゲン、CT検査 医療被ばくのリスク』高木学校・編著、 
ちくま文庫、2014年)

追記:鼻血については、広河隆一の『暴走する原発』にあるアンケート結果によ 
れば、プリピチャ市・チェルノブイリ市では事故直後も10年後も、約 20% 
が鼻血が出た、出ると回答、モスクワ市では10年後の回答で約3%。

■チェルノブイリ大惨事による
健康影響の実相:二つの報告書から
 ―― 無視され続けてきたがん以外の健康被害
崎山比早子
http://takasas.main.jp/down/Kagaku_201111_Sakiyama.pdf

■チェルノブイリ事故による放射性物質で汚染されたベラルーシの諸地域におけ 
る非ガン性疾患 Y・バンダシェフスキー教授
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2011/09/non-cancer-illnesses-and-conditions-in.html

■がん以外の疾患による死亡
http://www.rerf.or.jp/radefx/late/noncance.html


■脳卒中と心臓病で高死亡率 被ばく量多い被爆者で
http://www.47news.jp/CN/201001/CN2010012301000342.html

 広島、長崎の被爆者のうち、原爆による放射線の被ばく線量が多い人ほど脳卒 
中や心臓病による死亡率が高いことが、放射線影響研究所(放影研、広 島市・ 
長崎市)の調査で分かり、23日付の英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ 
ジャーナルに発表した。

 がん治療で数十グレイの高線量を浴びると、脳卒中や心臓病などの循環器疾患 
の発症リスクが高くなることは知られている。今回の調査で、被爆者が 浴びた 
数グレイ以下のレベルでもリスクが高くなる可能性が示された。

 放影研は被ばく線量が推定可能な被爆者約8万6600人のうち、 
1950~2003年に脳卒中で死亡した約9600人分と、心臓病で死亡した 
約 8400人分のデータを統計学的に分析。

 被ばく線量が0・5~2グレイの中程度でも、線量が増えるほど両疾病による 
死亡率が高くなり、1グレイでは、0グレイのときより脳卒中で9%、 心臓病 
で14%上回っていた。

 1グレイは、広島の爆心地から1・1キロ、長崎の爆心地から1・25キロ地 
点での推定線量。

2010/01/23 16:35 【共同通信】


■放射線被曝と循環器疾患リスク:広島・長崎の原爆被爆者データ、1950-2003
http://www.rerf.or.jp/library/rr/rr0904.htm

■加齢と放射線に関連した免疫能の総合的評価システムの構築
http://www.rerf.or.jp/programs/rparchiv/rp03-09.htm

■喫煙と体内原発~ 放影研報告書 日本人喫煙者の死亡率と余命への喫煙の影 
響:前向きコホート
http://blogs.yahoo.co.jp/henatyokokakumei/37978831.html



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