[CML 031215] オバマ:「中東を改造する」:アメリカのグーラグ(収容所列島)(2)

Yasuaki Matsumoto y_matsu29 at ybb.ne.jp
2014年 5月 8日 (木) 21:06:15 JST


*(2)
*

*イラク:アラブ的性格のアブ・グ レイブ*

2003年のイラクに対する米国の侵略と占領 で始まり、その代理である家臣の
ヌーリー・アル=マーリキー首相の下で継続されている ことなのだが、何万人も
のイラク市民が拷問され投獄され殺害されてきた。イラクの軍事政権支配は、米
軍とその特殊部隊に頼り続け、そしていかなる民主的な主張をも骨抜きにしてし
まう同種の軍事的・警察的「掃討」に携わり続けている。アル=マーリキーは、
反体制派の居住地域や反対派の拠点を襲撃するた めに彼の秘密警察の特殊部門
すなわち悪名高い56旅団に頼っている。シーア派政権とス ンニー派の反対派双
方が、テロの武力衝突を続行することに没頭している。両者は異なる時点でワシ
ントンの緊密な協力者として仕えてきた。

毎週の死者数が百人単位で続いてい る。アル=マーリキー政権は、拷問センター
(ア ブ・グレイブを含む)、その技術、また以前米国に率いられ運用されてい
た多くの刑務所を引き継ぎ、米「特殊部隊」のアドバイザーはそのま ま留め
て、彼らが、人権批評家、労働組合活動家および民主的反体制派の一斉検挙を監
督している。

*イエメン:米**-**サウジ共同の衛星国家***

イエメンは、米-サ ウジ配下の独裁者たちに何十年も支配されてきた。アリ・ア
ブドッラー・サーレハの独裁的支配は、その所謂「引き渡し」計画の下でCIA
に 誘拐され送致され てきた反体制派のための秘密拷問センターとして機能して
いるだけでなく、何千人という世俗的、宗教的なデモクラシー推進活動家の投
獄・拷 問が伴っていた。2011年 には、米国がサーレハ政権を後押ししたことに
よる長期の激しい弾圧にもかかわらず、国家の存亡および米国とサウジ政権の関
係を脅かす大規 模な反政府デモが 爆発した。その支配的立場と軍事提携を維持
するため、ワシントンとサウジは、政権の「改造」を周到に準備した。不正選挙
が行われ、サーレ ハの忠実な取り巻 きでワシントンの召使いアブドッラッボ・
マンスール・ハーディーという人物が権力を掌握した。ハーディーは、サーレハ
がやり残したことを 継続した。つま り、民主主義推進のプロテスターたちの誘
拐、拷問、殺害……ワシントンはハーディーの支配を「民主主義への移行」と呼ぶ
ことを選んだ。イ エメン・タイムズ(2014年4月5日)によれば、3000人を超える
政治犯がイエメ ンの刑務所をいっぱいにしている。 「監獄民主主義」は、アラ
ビア半島における米国の軍事プレゼンスを強化することに仕えている。

*ヨルダン:長期にわたる警察国家 依存*

半 世紀以上もの間、三世代に及ぶ絶対専制の世襲君主たちは、CIAの資金供
給のもとで中東における米国の利益に仕えてきた。米国の家来であ るヨルダン
の支配 者たちは、アラブ民族主義者とパレスチナ人の抵抗運動を残酷に弾圧し
ている。つまり、パレスチナに対するいかなる国境を越える支援も押さ えつけ
るためイス ラエルとの所謂「和平協定」を承認した。また、米国、サウジ、
EUの支持を表明して、シリアに侵入する傭兵たちを訓練し武装させ資金供与
し軍事基地を提供 している。

腐敗した専制君主となじみの少数独裁 組織は、破綻しないため果てしなく外国
援助金に依存する経済を取り仕切っている。失業率は25%を超えており、人口の
半数は貧窮の 中で暮らしている。政権は、何千人という平和的なプロテスター
たちを投獄した。近ごろのアムネスティ・インターナショナル・リポート
(Jordan 2013)によれば、アブドゥッラー国王の独裁政権は「告訴なしで何千人
も拘留している」。監獄君主制は、中東における米国の帝国建設を支えること
で、またパレスチナにおけるイスラエルの土地の横領を手助けす ることで中心
的な役割を果たしている。

*トルコ:NATOの防波堤と監獄 民主主義*

タイイップ・エルドアンに率いられた 自称「公正発展党」の治世下で、トルコ
はNATOが援護したシリア侵略のための主要な軍事作戦基地へと発展した。エ
ルドアンには米国との 意見の違いがあった。とくに、ここ最近の公海上におけ
るトルコ船の急襲と9人 の非武装のトルコ人人権活動家たちの殺害をめぐるトル
コとイスラエルには冷めた関係がある。だが、トルコが国際資本供給の大幅依存
に向か いNATOの国際 戦略への統合に転換したとき、エルドアンはさらに権
威主義的になった。公共施設の彼の独断的な民営化と労働者階級地域の家族の立
ち退きに 対する大規模な民 衆の異議申し立てに直面して、エルドアンは市民社
会や諸階層を基盤とした運動と国家組織への粛清を開始した。2013年夏における
大規模な民主化デモをも のともせず、エルドアンは反対派に対して凶暴な襲撃
を開始した。人権グループによれば、ゲジ公園の抗議期間中5000人を超える人々
が逮捕され8000人が負傷した。

早 い時期にエルドアンは、偽造された証拠に基づく政治的な見せかけ裁判で編
成された「特別権限裁判所」を設立した。それは、軍将校、政党活 動家、労働
組合活 動家、人権弁護士、さらにジャーナリスト、とりわけ彼の対シリア戦争
支援を批判する者たちの何百人もの逮捕、投獄を容易にした。懐柔をね らった
美辞麗句に もかかわらず、エルドアンの刑務所は、選挙活動家と国会議員を含
む数千人のクルド人反政府派を収容している(Global Views 10/17/12)。

エルドアンが中東での民衆による民主主義的・民族主義的な運動に対抗する有能
で忠実なイスラム主義の支えとして機能してきた一方で、彼が同地域におけるト
ルコの影響力の増大を追求するので、米国は、(トルコの)国 家機関や実業界
や教育界に浸透するより従順で親ワシントン、親イスラエルであるギュレン・
ムーブメント(訳注1) との政治的つながりを深める方向に向かっていった。後
者(ギュレン運動)は浸透主義の戦術を採用してきているが、それは、権力に向
かう静かな 前進の中で国 家の内部から敵を排除するものである。トルコの反帝
国主義運動を弾圧するため、対シリア戦争への軍事的な頼みの綱として機能する
ため、イラン に対する制裁 を後押しするため、そしてイラクにおける親
NATOマーリキー政権を支援するため、米国は依然エルドアンの「監獄民主主
義」を頼りにしてい る。

【訳注1:ギュレン・ムーブメント:1941年にトルコ東部のエルズルムで生ま れ
たフェトフッラー・ギュレンからはじまったイスラームの思想に基 づく対話と
教育を中心とした文化社会運動である。1960年代末から、イマームであるギュレ
ンの教えに啓発された人々 が、公式の組織もな く各個人を基礎とした無数の
ネットワークを通じて、対話と寛容をかかげ、宗教間・文明間対話と協力、平和
的共存、教育活動を目的に展開し ている世界的な文 化社会運動である。とく
に、多様な民族的・宗教的・社会経済的背景をもつ若者のために文化を越えた対
話と相互理解を深めることを目的とし たギュレン系の学 校が、トルコ国内で
500校以上、世界約100か国に1000校(日本にも11校)以上あるという。ギュレン
は、1999年に病気治療の名目で米国に亡命している。以上がその外貌であ る
が、筆者がここ で「親ワシントン、親イスラエル」と特徴づけている根拠につ
いては、残念ながら訳者は不詳である。後段のトルコに関する論評にも触れられ
ているように ジェームズ・ペトラス教授は当然何らかの確証を得て論述してい
るものと思われる。

なお、下記の日本語情報でも指摘され ているように、エルドアン率いる
AKP(公正発展党)とギュレン・ムーブメントとの確執が世俗派の軍部および
エルドアン一族の汚職問題を めぐって顕在化し、2013年の私立学校閉鎖やゲジ
公園抗議運動をとおして、その敵対関係 が現実政治に影響を及ぼしつつあると
いう。

●公正発展党(AKP)とギュレン・ ムーブメントの亀裂の経緯(Oct/9/2010)
http://memri.jp/bin/articles.cgi?ID=SP324210

●イスラム穏健派内部での確執 エル ドアン体制にほころび(2013年12月)
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/d/20131224

●エルドアン首相とギュレン師の闘争 続く(2014年3月)
http://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/290b135f8d9d780ca2d15363101c8307

*(3につづく)*



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