[CML 030566] 東京都知事選挙出馬フライング論再批判

林田力 info at hayariki.net
2014年 3月 30日 (日) 10:21:21 JST


2014年東京都知事選挙の出馬フライング論について改めて論じる。「希望のまち東京をつくる会」内部で出馬表明をしないと決めたことを理由とするフライング論が成り立たないことは既に述べた。新たな論点として、2013年12月28日の出馬表明が反安倍政権・反自民・反ファシズムで結束しようとしている人々の闘いを分裂させたとの主張がある。

この主張も以下の三つの理由から成り立たない。第一に反安倍政権を掲げた候補者は宇都宮健児氏しかいなかった。希望のまち東京をつくる会の都知事選ふりかえり集会において中山武敏・選対本部長は挨拶で「宇都宮候補だけが安倍政権の暴走ストップを掲げた」と述べた。この認識は私も同じである。

 私も参加した1.13東京連絡会総括でも「宇都宮候補は安倍政権と石原・猪瀬都政の転換を図る位置にあった。細川候補は反原発で宇都宮候補と政策を一致させられる可能性があったかもしれないが、安倍政権と対峙し石原・猪瀬都政を転換する政策を示し得たかは、不確かである。」と述べた(7頁)。「不確かである」は控えめな表現である。私個人は細川護煕候補の福祉政策は舛添要一候補以下と主張したこともある。

それ故に宇都宮氏の出馬は反安倍政権で結束しようとしている人々を分裂させることにはならない。脱原発の細川支持者は主観的には反安倍政権の思いが強い人々が多かったことは否定しない。私よりも遥かに「このまま安倍政権が続けば真っ暗になる」という危機意識が強かった。その種のカルト的な終末論自体が忌避の対象になる。

より重要な点は実際の政策を見る限り、反安倍政権を根拠に細川氏を支持することは誤りということである。それで分裂するならば望むところとなる。
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 第二に反安倍政権・反自民・反ファシズムの結束自体が究極目標ではない。安倍政権・自民党の政策でも良いものは評価し、時には協力して多数派を形成する。これは特に地方自治に求められる。人民戦線や統一戦線という言葉に魅力を感じる人々もいるが、その表現自体がイデオロギー色濃厚かつ前時代的で、既得権にしがみつく古い時代の政治運動とのイメージを与える。

 第三に分裂自体が悪いことかという問題がある。運動は拡大しなければならない。現在の支持層を基礎にして一回り二回りと拡大していくことが理想である。しかし、往々にして、そのようにはなりにくい。発展している運動もプラス・マイナスがあり、差し引きすればプラスが多いという形になりやすい。これは正に2014年宇都宮票の伸びの説明になる。2014年宇都宮支持者の伸びから説明するならば、意味ある分裂であったと総括することもできる。

 今回の分裂を深刻に受け止める向きがある要因は、日本の市民派の伝統的主流派とも言うべき旧社会党・民主党系の流れが宇都宮支持と細川支持で分裂したことにある。この点で過去の浅野・吉田選挙とは似て非なるものである。これは旧社会党・民主党の流れと、共産党系という異なる層が別々の候補者に分かれただけである。それ故に分裂の痛みはなかった。今回は苦しんだものと想像できるが、それは内部の問題である。その結束を優先して明確な政策を持つ候補者を辞退させることは市民にとって損失である。そのようなものに振り回されるよりは、分裂の方が歓迎できる。
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林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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