[CML 030388] Re: 新刊: 加藤朗・木村朗・前田朗 『闘う平和学』

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2014年 3月 22日 (土) 04:16:41 JST


前田 朗です。
3月21日

岡本さん

コメントありがとうございます。

もちろん「闘う」んです、理論的かつ実践的に(苦笑)。「闘う」の意味合いも、
私としてはいくつかあるのですが、本には書かなかったこともあります。

第1は、岡本三夫先生にしても内海愛子先生にしても、平和学がもともと「理論
と実践」の学問だったのに、学問として成立すると、どうしても理論研究中心に
なります。若手の院生が平和学をやるには、やはり文献中心の理論研究をしっか
りやらないといけません。平和運動の現場で走り回っていては論文を書けなくな
ります。論文を書かないと就職できません。このため平和学の実践的性格が薄れ
ているように思います。そのことへの警鐘という意味があります。

(余談:都の西北の大学ではコピペ・写真使い回しの博士論文が流行っているよ
うですが、大きな大学ではいろんなことが起きます(笑)。そして誰も責任を取
りません、たぶん。本人のものだけでなく、全博士論文をチェックするのが当然
ですが、それもやりません。コピペばかりに決まってます。まじめにやったら都
の西北つぶれますから、絶対チェックしません。以上:余談)

第2は、それでは私たちはどのような理論と実践かということになりますが、特
に加藤朗さんの問題提起が重要です。

加藤朗さんは防衛庁防衛研究所、フーバー研究所を経て桜美林大学教授です。
『現代戦争論』『テロ』『入門リアリズム平和学』の著者で、改憲論者で、憲法
9条部隊の提唱者です。ここが大事です。「自衛隊は憲法違反だから、9条を変
えるべきだ。しかし、改憲できていないのだから、9条をちゃんと使うべきだ。
だから、憲法9条部隊だ」というのです。非暴力平和隊の提唱です。加藤さんは
アフガンの地雷処理の実践にも関与しています。理論を自分で実践しないで何が
研究者だ、という凄味があります。私もアフガンには4回行きましたが、平和学
と称してアフガンに行ったのは、私以外では加藤さんだけ。

9条に関するゴリゴリの護憲論者(憲法第1章削除論者)である私が、加藤さん
にお願いして講師になっていただき、一緒に本を出すのは、この発想と活動が大
切だからです。

加藤さんは「世界の紛争地における紛争解決や平和構築を日本人がどんどんやる
べきだ。その覚悟もなしに、9条を守れなどと言うな。世界の平和運動家は体を
張っている。日本人が民間の憲法9条部隊で世界平和の現場の担い手になれば、
世界中の人々が、日本人が国際社会で名誉ある地位を占めたいと本気で思ってい
ると理解する」というのです。

口先だけの護憲論者は無用だということで、私もお叱りを受けています。何しろ、
私は「みんなで9条の歌を歌おう。9条ネクタイや9条凧揚げや9条マグカップ、
そして9条酒が素晴らしい」などと言っているものですから、加藤さんは、テロ
と紛争の現代においてそんな脳天気なことは許されない、本気で平和づくりをす
るべきだ、とおっしゃる。

木村朗さんは平和学会で長年活躍されているのと、9.11問題や、日本の刑事
司法・冤罪問題(鹿児島大学教授で、鹿児島の志布志事件などの冤罪救援にかか
わっていた)、そして原爆についても重要な研究をし、今は九州の脱原発運動に
加わっています。『九州から脱原発を』という本も出しています。

木村さんとは以前からおつきあいがあり、昨年暮れには2人で編集した『21世
紀のグローバル・ファシズム』(耕作社)も出しました。斎藤貴男さん、石原昌
家さん、木戸衛一さん、上原公子さん、辛淑玉さん、西野瑠美子さん、清水雅彦
さん、徐勝さん、浅井基文さんなど多彩な方に執筆していただきました。

現代平和学において理論研究と実践の両面で活躍されている加藤朗さんと木村朗
さんのおかげで『闘う平和学』を出すことができました。小さな本ですが、「9
条を守る」というのなら「9条に書いてある通りにしよう」「9条を守るために
実践しよう」という意味で言うべきだ、ということは明確にできたかな、と思い
ます(私は「9条の歌」も実践だと思っていますし)。

大事なのは、インチキ護憲を自覚することです。「9条を守れ。改憲を許すな」
と言いながら、同時に「自衛隊反対とか安保反対と言ってはいけない。いまは国
民の多数が一致できる運動をするべきだから、明文改憲に反対するべきだ。9条
改悪だけをいうべきだ。自衛隊反対などというのは、運動の足並みを乱すものだ」
というメチャクチャなニセ護憲派が幅を利かせていることを、です。彼らは体を
張って平和を守ることの意味も絶対に理解しないし。

護憲と称しながら9条破壊を堂々とやっている現実を踏まえながら、9条を守る
とはどういうことなのかを考えなくてはなりません。

ではまた。

----- Original Message -----
> 前田朗さま、
> 
> 私の暮らし向きからは値段が少し高いし、私のメールアドレスで
> ご理解いただけると存じますが「闘う平和学」の用語にもいささか
> 違和感がございますが、「三人の朗」が何ともきれいなので、
> 読ませていただきます。
> 
> 茅ケ崎・岡本棟守
> 
> 




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