[CML 030249] 沖縄県竹富町教科書「是正要求」問題とガバン・マコーマック氏の東アジアの危機を辺境の琉球弧(琉球諸島)から捉える視点

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 3月 16日 (日) 16:39:08 JST


安倍内閣の下村博文文科相が沖縄県竹富町教育委員会に発出した教科書「是正要求」のそのあまりの強権性が問題になって
います。

■沖縄の教科書 話し合いより力ずくか(東京新聞社説 2014年3月15日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014031502000156.html

この下村文科相の教科書「是正要求」について、東京新聞は、上記の社説で「文部科学省の強硬な振る舞いは目に余る。沖縄
県竹富町に中学の公民教科書を変更するよう迫った。問題解決は力ずくで、と子どもに教えるようなものだ。国の教育現場への
過剰介入は禍根を残す」と強く批判しています。当然な批判だと思います。そして、常識的かつ良識的な批判だとも思います。東
京新聞は“ウォッチドッグ”(権力に対する監視者)としてのメディア本来の役割をこの社説で示しました。

ところでこの1月8日にNHK出版から邦訳版の出たジョン・ダワー氏とガバン・マコーマック氏共著の『転換期の日本へ』という新
書の中に今回の安倍内閣、文科省の竹富町への強権的横やりに関してマコーマック教授の興味深い指摘があります。

ジョン・ダワー氏(マサチュ-セッツ工科大名誉教授)とガバン・マコーマック氏(オーストラリア国立大名誉教授)はともに日本・東
アジア近代史の大家で、『転換期の日本へ』における両氏の対談は、いまの東アジアの危機のなかで、日本の選択はどうあるべ
きかという視点から語られていますが、その中でマコーマック教授は、その東アジアの危機を「アジアの中心になる辺境の沖縄、
馬毛島(鹿児島県)、八重山諸島、与那国島、尖閣諸島を矛盾の最先端」という視点から捉え、「教科書問題は、国境の島々に
段階的に強化されつつある日本の軍事力配備と切り離せない」と指摘しています。

以下、「ダワーとマコーマック『転換期の日本へ』」(西島建男の読書日記)の記述です。ご参照ください。

■ダワーとマコーマック『転換期の日本へ』(西島建男の読書日記 2014-01-10)
http://d.hatena.ne.jp/nisijimadokusyo/20140110/1389324869

ダワー氏はマサチュ-セッツ工科大名誉教授であり、マコーマック氏はオーストラリア国立大名誉教授であり、二人とも日本を
愛している日本・東アジア近代史の大家である。両人がいまの東アジアの危機のなかで、日本の選択を考えた良書である。日
本はアメリカの従属を続け「パックス・アメリカーナ」を強めるのか、それとも東アジア諸国と平和と友好のなかで、経済共同体を
作る「パックス・アジア」を選択するのかを、深い歴史的造詣で語り合っている。

二人に共通しているのは、第二次世界大戦後、日本が独立した1951年のサンフランシスコ講和条約=日米安保条約体制が、
いまの領土問題などの歪みを生んでいるという認識である。ダワー氏は、「恩恵」と「拘束衣」があるとして、_縄と「二つの日
本」¬げ魴茲領療斂簑雖J瞳慨霖廊ず瞳拡ァ嵶鮖北簑蝓廰Α岾砲了院廰中国と日本の脱亜─崕沼暗独立」の8点か
ら分析していて、説得力がある。その分析の上で、いま進められているアメリカの「国家安全保障国家」によるハイテク軍事力と、
韓国・日本を同盟国にした第一列島線の中国沖合水域への中国封じ込めの「エアー・シー・バトル」の危険性を指摘し、日本自
衛隊の「動的防衛力」構想がナショナリズムを伴い、軍事的膨張競争を強めているという。

マコーマック氏は、サンフランシスコ体制を「対米追随」の「属国」とまで日本を規定し、「自主独立」派との70年の相克を指摘し
ている。マコーマック氏の論文が面白いのは、東アジアの中心になる辺境の沖縄、馬毛島(鹿児島県)、八重山諸島、与那国島、
尖閣諸島を矛盾の最先端として捉えていることだ。私はこの本により過疎で苦しむ馬毛島や与那国島が、軍事基地化や自衛
隊誘致で島民が二分に割れて、尖閣問題でさらに矛盾が深まっていることを知った。また政府と文科省が武富島の教科書に、
愛国心を強調する「新しい教科書」を採択する圧力をかけたことも。マコーマック氏は「教科書問題は、国境の島々に段階的に
強化されつつある日本の軍事力配備と切り離せない」という。

アメリカが近年「帝国大統領制」に傾斜し、対内的には秘密活動を、対外的には隠密作戦をおこない、サイバー作戦、宇宙作戦
までハイテク戦争を目指すため、人権や市民的自由が危険にさらされているというダワー氏の指摘は、日本安倍政権の特定秘
密保護法成立と連動していると思った。二人とも沖縄まどの東アジア友愛と連帯の市民活動に希望をもって見ているのも共通し
ている。(NHK出版新書、明田川融、吉永ふさ子訳)


東本高志@大分
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