[CML 030143] 3・11から3年。私としていまもっとも重要と思う「脱原発」運動に関する2つの視点 ――「東日本大震災・東電原発事故から3年、安倍晋三打倒が急務」と「原子力規制委『帰還に向けた考え方』にある4つの重大な問題点:反核医師会より抗議声明」

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 3月 10日 (月) 19:11:48 JST


「もう3年になる。(略)にしても、この3年、予想どおり、いや予想以上に、ものごとすべてが悪くなった。(略)「花は咲く」オンパレードの
今日の景色を、どこまでも怪しむ」(「辺見庸『日録7』(2014/02/25)」より)。

3・11から3年目。辺見庸のいう「『花は咲く』オンパレードの今日の景色」には次のような「『脱原発運動』の劣化」の景色もあります。
「予想どおり、いや予想以上に、ものごとすべてが悪くなった」景色の中には次のような「『脱原発運動』内部の劣化」の景色も含まれる
でしょう。しかも、無惨なのは、その景色の「劣化」の色合いを「美しい景色」のように勘違いしている人たちが少なくないことです。

しかし、少数ながら以下のような「現象」を批判し、指摘する声もあります。

私はその声に「希望」をつなぎたいと思います。

1本目。「きまぐれな日々」の「東日本大震災・東電原発事故から3年、安倍晋三打倒が急務」(抜粋)。

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原発事故が そうそう簡単に収束するはずがないことなどわかり切った話だった(略)ただ、「脱原発運動」の劣化も(略) 現実のものに
なってしまった。(略) 大江健三郎や澤地久枝といった人たちまでもがその悪影響を受けるとまでは想像もつかなかった。(略)小熊英
二編著の『原発を止める人々―3・11から官邸前まで』(略)には「それぞれの証言」として、反原発・脱原発の運動家50人の寄稿を紹
介しているが、そのうちの1人である「おしどりマコ」は「自由報道協会」の「理事」 
 を務めていた芸能人だが、この人が「週刊文春取材
班」との連名で出した『週刊文春』のトンデモ記事を、私は『kojitakenの日記』で批判したことがある。このトンデモ記事にはあの政治ゴ
ロ・上杉隆が関与していた。 「おしどりマコ」や上杉隆のような 人士を厳しく批判せずして「脱原発」運動の未来はないというのが私の
立場である。」(「東日本大震災・東電原発事故から3年、安倍晋三打倒が急務」(抜粋)きまぐれな日々 2014.03.10)
http://caprice.blog63.fc2.com/blog-entry-1338.html
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2本目。「Peace Philosophy Centre」の「原子力規制委『帰還に向けた考え方』にある4つの重大な問題点:反核医師会より抗議声明」
(全文)。

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■原子力規制委「帰還に向けた考え方」にある4つの重大な問題点:反核医師会より抗議声明
(Peace Philosophy Centre March 07, 2014)
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/03/blog-post_7.html

昨年11月20日に発表された原子力規制委員会による「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考え方」*に対し、「反核医師の
会」*(1987年設立)が、12月18日に抗議声明を出した。プレス資料をマスコミ各社に送ったようだが一切報道されなかったそうであ
る。以下紹介する。
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/data/0032_01_1.pdf
http://no-nukes.doc-net.or.jp/

このブログで先日紹介した、日本科学者会議の汚染水・除染についての深刻な提言*も全国メディアにはおしなべて無視されたようだ。
科学者団体による提言は、汚染や被爆の度合いを少なく見せ、原発を引き続き推進したい人々にとっての大きな脅威であることがう
かがい知れる。科学者会議は環境の被曝、反核医師会は人体の被曝を扱った警告で二者の声明は補完的なものと言えるであろう。
http://peacephilosophy.blogspot.ca/2014/03/blog-post.html

この声明の英語版も2月28日に発表された。リンクはここ。
http://no-nukes.doc-net.or.jp/activity/seimei/140304kisei-i.pdf

拡散してください。@PeacePhilosophy

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原子力規制委員会への抗議声明
「帰還に向けた考え方」にある4つの重大な問題点

2013年12月18日
核戦争に反対する医師の会(反核医師の会・英文略称"PANW")
(東京都渋谷区代々木2-5-5 全国保険医団体連合会内)

2013年11月20日、原子力規制委員会から、福島第一原発事故による汚染地域への「帰還に向けた安全・安心対策に関する基本的考
え方*(線量水準に応じた防護措置の具体化のために)」(以下、『考え方』と略)が発表された。
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/data/0032_01_1.pdf

我々「核戦争に反対する医師の会」は、核兵器の廃絶を望み被ばく者を支援してきた医師・医学者の団体として、原発事故後の地域住
民の生活や健康維持について、これまでも重大な関心を持ってきた。我々は、今回の『考え方』には放射線防護の点から、また住民主
権という人権の観点からも大きな問題点があり、断じて認めるわけにはいかないとの結論に至ったので、ここに抗議声明を発表するも
のである。

1,100ミリシーベルト以下の被ばくでも健康被害の可能性を認めるのが、現在の国際的動向である

今回の規制委員会の『考え方』の基本にある医学的認識は、低線量被ばくの評価に関する最近の国際的理解からは、明らかな誤謬を
犯しており、医師・医学者としてとうてい容認できるものではない。100ミリシーベルト以下の被ばくでは「疫学的に健康リスクの増加を証
明するのは困難とするのが国際的合意」と、事故以来繰り返されてきた見解は、最近発表された複数の大規模疫学調査により大きく
修正を迫られている1),2)。10万人以上を対象とした大規模な疫学調査では、100ミリシーベルト以下でも「明らかな線量依存性の健康リ
スクの増加」が認められ、過剰な放射線被ばくは「少なければ少ない程よい」という原則を再確認することとなった。

今年3月に福島事故と関連してWHOが発表した報告でも、「福島県外も含む広い範囲の住民で、生涯の発がんリスク増加の可能性を
否定できない」とされたのは、低線量被ばくと健康リスクに関する国際的動向に配慮したものと思われる3)。しかし、今回、原子力規制
委員会が出した「考え方」は、このような国際的動向に全く注意を払っておらず、繰り返し表明してきた「100ミリシーベルト以下は安全」
とする恣意的な認識に拘泥し続けている。

我々は、『考え方』が基本にする“100ミリシーベルト以下安全”論に、強く抗議する。 



2,ICRPの勧告でも、積極的な住民参加による意思決定や健康管理の充実を強調している

今回の原発事故に伴う住民避難の基準は、ICRPによる2007年と2009年の一般勧告、及び2011年に福島事故後に出された文書による
ところが大きい4)-6)。その中で事故収束後に汚染が残る地域での居住を選択した場合「1~20ミリシーベルトに抑えるべき」とされてお
り、長期間にわたる可能性があるならば、「その幅の中でも可能な限り低い基準を設定し、線量低減のための最大限の努力の継続が
前提」と明記されている。このように年間20ミリシーベルトは「緊急対応時の一時的指標」でしかなく、「帰還可能な汚染水準として示さ
れてきたものではない」。

さらに、比較的線量が高い地域での居住では、「地域住民の健康管理体制の充実が不可欠」で、方針決定への住民参加とともに最終
的には各個人の決断が重要であることも強調されている。福島事故後に政府や関係諸機関がとった実際の対応は、人権保護の観点
からも厳しい国際的批判にさらされている。2012年10月に日本で行った調査にもとづく「国連人権理事会からの特別報告」(以下「グロ
ーバー報告」)は、原発に関する情報が国民に共有されない制度の不備と、事故後の政策決定への住民参加の不足について警鐘を
鳴らし、社会的弱者も積極的に参加できるシステムの整備を求めている7)。

今後、地域住民の間で低線量被ばくに関する情報を共有し、帰還の条件についても住民が議論に積極的に参加できる場が形成され、
的確に政策決定に反映されるシステムが確保されねばならない。今回の『考え方』では、住民参加の保障が全く不十分である。

我々は、ICRP勧告よりも大きく後退した“年間20ミリシーベルト迄を帰還可能水準”と緩和する『考え方』に強く抗議する。

3,個人線量計による計測結果を重視することで、被ばくに対する個人責任や新たな社会的問題を生み出す危険がある

今回の『考え方』では、空間線量から予測される被ばく線量ではなく、個人線量計を用いた各々の計測結果を、個人の生活設計や管
理にも用いるという考え方が示された。線量計による被ばく管理は、仕事上やむをえない被ばくで利得を得る労働者や放射線取扱者
にとっては、必須の要件である。しかしながら、個人線量計の測定が被ばくの実態を調査する一手段ではあっても、過剰な被ばくが利
得どころかリスク増加にしかならない地域住民にとって、被ばくの多寡が個人責任に転嫁される恐れもある。

また、ガラスバッジ等の個人線量計による計測では、α線やβ線による内部被ばくは計測されず、γ線についても、計測は線量計の前方
からの線量が中心で、その使われ方によっては被ばく量が過小評価されかねない結果に陥る恐れが多分にある。

さらに個人に被ばく管理を押し付ける線量計の利用は「被ばくした個人」を特定することにもなり、人権を守る上で新たな社会的影響を
もたらしかねない。特に屋外活動による被ばくを避けたい小児や妊婦にとってその行動を必要以上に制約することにつながりかねず、
新たな風評被害や社会的差別を防ぐ面からも、住民全体に適用するにはあまりにも問題点が多い方法と考える。個人線量計による計
測結果は、その人個人のデーターであり、決して帰還基準などに使用すべきでない。住み続ける地域環境の規定である規準汚染度は、
その地域の汚染度を客観的に表す「空間線量」(ICRP基準)や「土壌汚染」(ウクライナ基準)を使用した基準値でなければならない。

我々は、『考え方』の“個人線量計による計測結果を重視する”基準値設定に強く抗議する。

4,健康相談員による相談だけでは、住民に安全・安心の健康管理は不可能である

さらに、帰還の前提条件としては、住民の健康管理体制の整備が不可欠だが、今回の『考え方』では、健康相談員の活動と支援する
拠点の整備があげられているだけで、公的な健診体制の整備や拡充、及び診療体制の充実についての具体的な記述が欠落してい
る。前段3にあげた「グローバー報告」では、1ミリシーベルト以上の年間過剰被ばくが推定される地域全体で、「無料の健康診断や医
療サービスの提供」が勧告されている7)にも拘わらず、それを全く無視したものとなっている。ちなみに、今年3月6日の原子力規制委
員会からの提言では、1999年の茨城県那珂郡東海村のJCO臨界事故後に行われている健康管理(事故により1ミリシーベルト以上
の過剰被ばくが疑われる住民に対する無料の健診)について記載されていたにもかかわらず、今回の『考え方』ではそれが削除され
ており、意図的な変更を疑わざるを得ない内容となっている8),9)。

我々は、住民の健康管理を、JCO事故後の健康管理体制から大きく後退させ、“健康相談員による相談だけに限定”する『考え方』
に、強く抗議する。

以上のように、今回の『考え方』は、低線量被ばくに関する最近の医学的知見や国際的動向を無視するばかりか、一部では、同委員
会より3月6日に出された「東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連する健康管理のあり方について(提言)」より後退した内容
となっており、加害企業や公的機関の責任を曖昧にしたものになってしまっている。また、事故の規模の違いと、費用負担の増大を
心配してJCO事故後の対応等の健康管理体制からの後退を、福島に押し付けようとしているとすれは、けっして許されるものではな
い。この意図的な二重基準を許してしまえば、JCO事故後の健康管理体制をも後退させる危険性をも指摘せざるを得ないだろう。

我々は、国民の健康管理に携わる医師・医学者の団体として、今回出された『考え方』の内容と方向性について強く抗議するもので
ある。そして、医学的知見や国際的動向が、理解されやすく整理して呈示され、各家庭や個人が自律した意思決定を行えることは、
住民主体に政策決定する民主主義の根幹であることを再度強調して、以下の項目を提案し、必ずや実行に移されるべきであると要
求する。

1 “100ミリシーベルト以下安全”論を撤回し、低線量被ばくの健康影響についての最新の知見、国際的動向を重視し、その情報に
ついても住民に隠さず伝えること。
2 “年間20ミリシーベルト迄を帰還可能水準”と許容する提示は撤回し、帰還できる条件について住民との間で十分な情報提供によ
る協議の場を設け、政策決定に反映させること。
3 “個人線量計による計測結果を重視する”基準値設定と被ばく管理の住民押し付けをやめること。
4 1ミリシーベルト以上の過剰被ばくが疑われる地域の住民に、無料の健康診断サービスを、国と東電の責任で提供し、医療体制
の充実を図ること。

   以上、要求するものである。

参考(略)
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東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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