[CML 029996] 日本における奇妙な反ユダヤ主義の広がり

Yabuta Tohru ynntx at ybb.ne.jp
2014年 3月 3日 (月) 00:35:19 JST


藪田です。  (2014年3月3日)

杉並区の図書館や練馬区、他の図書館でアンネの日記が、損壊された。犯人はまだ分からないが、いずれ捕まると思うが、もともと日本には反ユダヤ人感情というものは、皆無といえる国であった。

反ユダヤ感情のある国は、もともとキリスト教国家であるヨーロッパ、ロシアであったり、20世紀の後半にかけては、イスラエル国家樹立によるパレスチナ難民ということで、イスラム国家からの反発がある。

恐らく、ユダヤ人にとって世界で最も反ユダヤ主義と無縁の国家であったし、ユダヤ人にとって最も住みやすい人種差別感情のない国であったと思う。

シェークスピアの「ベニスの商人」のような悪どいユダヤ商人が、あったとしても、それは物語の中の話で、現実的なユダヤ人に対しては、差別感情はなかった。ホロコーストの被害者、また「アンネの日記」によって、ユダヤ人を気の毒と思う感情は、先進国のなかでもトップクラスではなかったかと思う。

第2次世界大戦で3国同盟を、日独伊で交わし、ある意味でその結果先の大戦に引きずりこまれたともいえるが、同盟国のナチスドイツがホロコーストによってユダヤ人虐殺をおこなったとしても、終戦後はユダヤ人に対する人種差別感情というものは、日本に無かったといえる。

さて、いまから、約20年前の「マルコポーロ」事件というものをあったのを記憶しておられるだろうか。

文芸春秋のが出版していた月刊誌「マルコポーロ」に、精神科医西岡昌紀なる人物が「ナチ『ガス室』はなかった」というネオナチらによる歴史修正主義論を投稿し記事として掲載された。これに、米国サイモン・ヴィーゼンタールなどのユダヤ人集団による、強烈な反発があった。

このような非人道的な歴史修正主義をのせる出版社はけしからん、心ある企業は広告出稿をやめましょう主張した。その結果、文芸春秋は「マルコポーロ」を廃刊にし、編集長は実質くびになった。

これで、日本の反ユダヤ主義に流れは止まったかに思った。ところがである。表向きは、ユダヤ人への偏見を増長する動きは別の潮流で起きていたのである。

皆さんは、広瀬隆の「赤い盾」(講談社)という本を読んだことがあるだろうか。ユダヤ人金融業ロスチャイルドの家の系譜を延々と書いた奇妙な本である。この本には、ユダヤ人はけしからんとも、ホロコーストは無かったも書いてない。ただ、ユダヤ人金融資本は、近代社会に隠然たる力をもっており、様々な戦争や、社会不安国家破たんなどは、常にユダヤ人が裏で糸を引いているという印象をあたえる本であった。

広瀬隆の「赤い盾」(講談社)1991年は、全4巻も出て大ヒットとなった。その後、この手の「本」、すなわちユダヤ人陰謀論を語る本は、10冊を下らない数で、様々な三流作家の手によって世間に広まった。

いまや、ユダヤ人陰謀論、すなわちユダヤ人たちは、世界の裏の権力者であって、大悪事の裏にはユダヤ人ありという奇妙な「常識」はネット界、もしくは在特会に簡単に引っ掛かるレベルの知性の若者・中年たちに受けているのである。

であるから、「アンネの日記」などは、でっち上げで、ユダヤ人たちは裏で大悪事を働いている。ユダヤ人は憎い「アンネの日記」を置いている図書館はけしからんとなるのである。2001年の911同時多発テロも実は、裏でユダヤ人が糸を引いていたという「陰謀論」があるくらいユダヤ人陰謀論は応用範囲が広いのである。

広瀬隆による日本における奇妙な反ユダヤ主義の流布は、今や大成功している。下手な、ドイツや欧米にるネオナチの歴史修正主義者が成し遂げ得ない、ユダヤ人に対する差別意識、悪辣感情の醸成にこれほど成功した作家はいないのである。




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