[CML 029992] 放射能のリスクについて冷静な判断

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 3月 2日 (日) 23:00:08 JST


下記の報告によれば、大久保利晃放射線影響研究所理事長は「放射能による健康リスクとフクシマ・せたがや」と題された講演で
以下のように語ったと言います。

      「福島第一原発事故の放射能汚染が一部の論者の指摘するような深刻なものではなく、リスクの正当な評価が必要(略)
      人間は自然放射線を年間2.4ミリシーベルトも浴びている。これは世界平均で、イランのラムサールでは最高で年間26
      0ミリシーベルトも被曝する。このような地域に居住する人々の健康被害を調査したが、特に問題は出ていなかった。」

      「福島第一原発事故発生以来、風向きを注意していたが、放出された放射性物質の8割以上が太平洋に流れた(略)福
      島県郡山市では個人別の線量計を付けている。稀に線量が高い人がいるが、調べてみると海外旅行に行っていた。郡
      山市で生活するよりも飛行機で海外旅行に行った方が多く被曝する。福島の放射線量は、その程度である。」

大久保利晃氏の上記のような低線量被ばくを軽視する認識は危険ですね。これまで放射能研究者や医学者たちが低線量被ばく
の危険性について警鐘を鳴らしてきたことがまったくといってよいほど無視されています。

どのようにこれまで放射能研究者や医学者たちが警鐘を鳴らしてきたか。その1例(記事と論文)を下記にあげておきます。

      ■線量限度の被ばくで発がん 国際調査で結論(共同通信 2005/06/30 
12:03)
      http://www.47news.jp/CN/200506/CN2005063001003768.html

      【ワシントン30日共同】放射線被ばくは低線量でも発がんリスクがあり、職業上の被ばく線量限度である5年間で100
      ミリシーベルトの被ばくでも約1%の人が放射線に起因するがんになるとの報告書を、米科学アカデミーが世界の最新
      データを基に30日までにまとめた。報告書は「被ばくには、これ以下なら安全」と言える量はないと指摘。国際がん研
      究機関などが日本を含む15カ国の原発作業員を対象にした調査でも、線量限度以内の低線量被ばくで、がん死の危
      険が高まることが判明した。低線量被ばくの人体への影響をめぐっては「一定量までなら害はない」との主張や「ごく低
      線量の被ばくは免疫を強め、健康のためになる」との説もあった。報告書はこれらの説を否定、低線量でも発がんリス
      クはあると結論づけた。

上記の記事にいう100mSv/年以下の低線量被曝の「生物学的影響」について警鐘を鳴らしている米科学アカデミーの報告書
(BEIR-VII報告)は以下です。

      ■電離放射線の生物学的影響に関する第7報告(「一般向けの概要」日本語訳)
      http://archives.shiminkagaku.org/archives/radi-beir%20public%20new.pdf

私の見るところ、このようにこれまで放射能研究者や医学者たちが低線量被ばくの危険性について警鐘を鳴らしてきたことがま
ったくといってよいほど無視されている大きな原因になっているのが放射能デマの拡散、あるいは流布です。

報告者は、「福島で鼻血を出す子が続出し、下痢、頭痛が止まらない子が大勢いる」「娘の友達が何人も白血病の初期症状と
診断され、甲状腺の異常が見つかった」などのデマの流布をあげていますが、この点の指摘については私も同感です。

放射能デマの拡散、流布がいかにこうした低線量被ばくの危険性を無視、あるいは否定する論者たちに無惨のさまで都合よく
利用されているか。その悪影響がこのシンポジウムの講演でも見てとれます。まさに無残なさまです。


東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
http://mizukith.blog91.fc2.com/

From: 林田力
Sent: Sunday, March 02, 2014 3:37 PM
To: cml at list.jca.apc.org
Subject: [CML 029980] 放射能のリスクについて冷静な判断
「世田谷住民のリスクを考える9.1 緊急シンポ実行委員会」が区民の手によるシンポジウム「せまりくる危険から身を守る~防災の日にみんなで考えよう~」を2012年9月1日、玉川区民センター大ホールで開催した。

防災の日に因み、世田谷区の防災をテーマとしたシンポジウムである。具体的な内容は放射線の健康リスクと大規模地震の建物の危険性であるが、重層長屋の問題に取り組んでいたグループが主催者であり、重層長屋の問題に関心が集中した。

シンポジウムは二部構成である。第一部は基調講演、第二部はパネルディスカッションである。基調講演では最初に大久保利晃・財団法人放射線影響研究所理事長が「放射能による健康リスクとフクシマ・せたがや」と題して講演した。大久保氏は世田谷区奥沢の重層長屋近くにに住居を持ち、重層長屋問題で独自条例制定を求める陳情の筆頭署名人となった。その縁で講演を引き受けた。

放射線影響研究所は、日米両国の政府が設立・運営する研究機関で、広島・長崎の被爆者に対する放射線の健康影響調査を戦後直後から現在に至るまで実施している。蓄積された放射線のあらゆるリスク情報(放射線防護基準など) は、世界屈 
指の情報量とされている。福島第一原発事故直後に福島の小学校等の校庭の除染(表土の入替) をいち早く提言したことで注目された。

大久保氏は福島第一原発事故の放射能汚染が一部の論者の指摘するような深刻なものではなく、リスクの正当な評価が必要と訴えた。まず人間は自然放射線を年間2.4ミリシーベルトも浴びている。これは世界平均で、イランのラムサールでは最高で年間260ミリシーベルトも被曝する。このような地域に居住する人々の健康被害を調査したが、特に問題は出ていなかった。

続いて福島第一原発事故の放射能による健康リスクを説明した。福島第一原発事故発生以来、風向きを注意していたが、放出された放射性物質の8割以上が太平洋に流れたとする。大久保氏がアドバイザーを務める福島県郡山市では個人別の線量計を付けている。稀に線量が高い人がいるが、調べてみると海外旅行に行っていた。郡山市で生活するよりも飛行機で海外旅行に行った方が多く被曝する。福島の放射線量は、その程度である。

国際放射線防護委員会(ICRP; International System of Radiological 
 Protection)は年間1ミリシーベルトとの基準を定めている。これは行政目標に過ぎないと説明した。平時の遵守を定め、事故時はできるだけ早く1ミリシーベルト以下に戻すように求めているだけである。1ミリシーベルトを越えたならば何か起こるという話でない。「1ミリシーベルトを越えたから避難しろ」という主張があるが、暴言である。リスクを正しく理解しなければならない。他のリスクと比較して優先順位をつけなければならない。避難することにもリスクがある。避難先で亡くなった避難者もいる。以上にように述べて大久保氏は軽率な自主避難を戒めた。http://hayariki.net/home/120901setagaya.html今回のシンポジウムは路地状敷地での重層長屋の規制を求めるグループが中心となって主催したものである。参加者も重層長屋に関心のある人々で占められた。シンポジウムでは「せまりくる危険から身を守る」と抽象的なタイトルにしたためにテーマが不明確になった感がある。実際、「放射能の話が中心と思っていた」と述べた議員もいた。一方で放射能のリスクについて冷静な判断を求める基調講演は、危険を煽る無責任なデマが拡散している中で健全な住民運動を志向するものとして有益である。「福島で鼻血を出す子が続出し、下痢、頭痛が止まらない子が大勢いる」「娘の友達が何人も白血病の初期症状と診断され、甲状腺の異常が見つかった」などデマが流布されている。中には皇族の病気まで放射能の原因とするデマもある。貧困ビジネスのゼロゼロ物件業者が福島県の放射能汚染の不安を煽り、自主避難を勧めて劣悪なゼロゼロ物件に住まわせる例もある。また、自主避難者を劣悪な労働条件で働かる悪徳業者も存在する。まるで現代の奴隷ビジネスが自主避難という善意を装って存在する。また、自主避難者の中には惨めな生活から逃げる口実として「自主避難」を持ち出した輩もいる。自主避難者というよりも夜逃げ者である。言わば人生をリセットする感覚での自主避難である。当然のことながら、自主避難したところで生活レベルが上昇する訳ではない。むしろ一層転落する可能性が高い。それでも彼らは福島や関東地方が放射能で人が住めない土地であると盲信することで自主避難という転落人生に至る決断を自己正当化する。そのために放射能の危険性デマを撒き散らしている。これが不安を煽るデマの背景である。避難するリスクと比較すべきとの大久保氏の講演は危険デマを盲信して自主避難することの軽率さを嘲笑うものであり、地に足着いた住民運動の健全性を示すものである。--林田力Hayashida Rikihttp://www.hayariki.net/http://hayariki.zero-yen.com/


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