[CML 029967] Re: 米国の2013年の「人権報告書」 日本でのヘイトスピーチ(憎悪表現)を取り上げ、懸念を示す

maeda at zokei.ac.jp maeda at zokei.ac.jp
2014年 3月 2日 (日) 01:31:56 JST


前田 朗です。
3月1日

東本さん

情報ありがとうございます。

東京新聞3月1日「こちら特報部」は、「日本のヘイトスピーチ 欧米高まる懸
念 政府無策『少数派に不寛容な国』『人種的に侮辱』『旅行者は離れろ』」と
いう記事を掲載しています。米国報告書と、英外務省が日本に渡航する旅行者に
注意を呼び掛けていることを紹介し、元アムネスティ日本事務局長の寺中誠氏、
私、天木直人氏のコメントを紹介しています。

私のコメントでは「表現の自由を守るためにも、マイノリティの人たちを沈黙さ
せるようなヘイトスピーチは規制すべきだ」を使ってくれました。新聞がここま
で踏み込んで掲載してくれたのは初めてです。TBSのニュース23に続く快挙
(苦笑)。

私はずっと「表現の自由を守るためにヘイトスピーチを処罰する」という国際常
識を語ってきました。これまでに10人以上の新聞記者に詳しく説明してきまし
たが、誰も記事にしてくれませんでした。

なぜなら、日本の憲法学者、弁護士、ジャーナリストは「表現の自由を守るため
に、ヘイトスピーチは処罰できない」という異様な主張を大合唱してきたからで
す。

今回、東京新聞の記者にもこのことを強調したところ、少し入れてくれました。
ありがたいです。


「表現の自由を守るためにヘイトスピーチを処罰する」という当たり前のことを、
論文では何度も書いているのですが、MLには詳しく書いたことがないので、少
し補足しておきます。

第1に、今起きているヘイトスピーチは単なる表現ではなく、実力行使や脅迫を
伴う表現であって、単なる表現の自由の問題ではない。

第2に、ヘイトスピーチはそもそもヘイトクライムの一部であって、人道に対す
る罪としての迫害やジェノサイドの煽動とつながる。

第3に、ヘイトスピーチの被害をきちんと認識するべき。差別、暴力、暴力の煽
動、脅迫、迫害は具体的な被害を生んでいる。

第4に、表現の自由は民主主義と人格権に基づくのでとても重要である。

第5に、真に守らなくてはならないのは、権力に抵抗する表現の自由であって、
権力者の表現の自由ではない。同様に、マイノリティの表現の自由であって、マ
ジョリティの表現の自由ではない。

第6に、ヘイトスピーチは、マジョリティがマイノリティの自由と権利を侵害し
ており、マイノリティの表現の自由を侵害している(沈黙効果)。

第7に、日本国憲法21条の表現の自由は絶対的自由ではなく、憲法12条は権
利の濫用を戒め、責任を定めている。表現の責任を考えるべきである。表現の自
由とともに表現の責任が重要である。

(もちろん、これに国際人権法の話が加わります。それが私の一番得意な分野で
すが、国際人権法をいくら話しても記事にはなりません。)

「表現の自由を守るために、ヘイトスピーチは処罰できない」などと主張してい
る日本の憲法学者、弁護士、ジャーナリストは、「日本人の表現の自由だけ守れ
ばいいのだ。朝鮮人に表現の自由を認める必要はない」と言っているのです。

おおむねこうした話をしてきました。


----- Original Message -----
> 以下、標題に関して3本の報道記事をご紹介します。
> 
> ■日本でのヘイトスピーチにも言及 米の人権報告書(朝日新聞 2014年3月1日)
> http://www.asahi.com/articles/ASG2X32W8G2XUHBI01Y.html
> 
>  米国務省は2月27日、世界の約200カ国・地域を対象にした2013年
の「人権報告書」を公表した。日本について、在日韓国・
> 朝鮮人へのあからさまな差別表現を繰り返すヘイトスピーチ(憎悪表現)を取
り上げ、懸念を示した。
> 
>  報告書はヘイトスピーチについて「極右グループが東京でデモを行い、人種
的な差別表現を用いた」と指摘。「在日特権を許さな
> い市民の会」(在特会)の会長らが、ヘイトスピーチに抗議する人たちとの衝
突で逮捕されたことに触れた。民族的な少数派や同
> 性愛者らに対する差別にも懸念を示した。
> 
>  北朝鮮について、処刑や拷問、強制労働などの人権侵害が「極めて悲惨」と
非難した。金正恩(キムジョンウン)第1書記の独裁
> 政治により、超法規的な殺害、逮捕、拷問が横行しているとも指摘。5カ所の
収容所に8万〜12万人の政治犯が収容されている
> との見方を示した。ケリー国務長官は27日の会見で「大規模な拷問や人間の
尊厳に反する犯罪に関する明確な証拠がある」と
> 述べた。
> 
>  中国に対しても、当局によるチベット族やウイグル族への抑圧により「状況
が悪化している」と批判した。「市民や政治の権利を
> 主張する個人らに対する弾圧や抑圧はありふれている」などと強調した。チベ
ット族やウイグル族など少数民族の状況について
> 「当局が表現や宗教、集会の自由を抑え込んでいる」とし、新疆ウイグル自治
区では武装した当局との衝突で多数の死者が出て
> いると指摘した。
> 
>  報告書作成を担当したゼヤ国務次官補代行は会見で、「中国の人権状況を改
善することは、米中関係の中心であり、不可欠だ」
> とも述べ、中国政府に人権侵害の改善を求めた。
> 
>  一方、米議会図書館の議会調査局は、最近の日米関係の情勢を分析した2月
20日付の報告書を公表した。安倍晋三首相の
> 靖国神社参拝が日米両政府の信頼関係を損ねた可能性があると指摘、日本と韓
国の関係悪化は米国の国益も損ねかねない
> と懸念を示した。(ワシントン=奥寺淳)
> 
> ■米報告書、ヘイトスピーチに懸念 北朝鮮や中国の人権状況も非難(共同通
信 2014/02/28) 
> 
> http://www.47news.jp/CN/201402/CN2014022801001209.html
> 
>  【ワシントン共同】米国務省は27日、2013年版の人権報告書を公表、
在日韓国・朝鮮人の排斥を掲げる「在日特権を許さな
> い市民の会(在特会)」のヘイトスピーチ(憎悪表現)を取り上げ、懸念を表
明した。北朝鮮や中国の人権状況も批判した。
> 
>  報告書は同時に、日本政府高官らが公式にヘイトスピーチを差別だとして退
け、人権保護を約束しているとも指摘した。
> 
>  北朝鮮については、約10万人を無期限に政治犯収容所に入れていると推計。
ケリー国務長官は記者会見で、先週公表され
> た国連報告書も踏まえ「ありとあらゆる拷問と人道に対する罪の証拠がある」
と非難した。
> 
> ■米人権報告書 沖縄への構造的暴力なくせ(琉球新報 社説 2014年3月1日)
> http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-220388-storytopic-11.html
> 
>  米国務省が2013年版の人権報告書を公表した。在日韓国・朝鮮人の排斥
を掲げる「在日特権を許さない市民の会(在特
> 会)」のヘイトスピーチ(憎悪表現)を取り上げ、懸念を表明した。
> 
>  日本政府や国会は指摘を重く受け止めるべきだ。憎悪表現については法規制
も視野に、国会論議や国民的議論を深める
> 必要がある。
> 
>   この問題に関しては、昨年10月、朝鮮学校周辺の街頭宣伝で憎悪表現を繰
り返した在特会側に街頭宣伝の禁止と損害賠
> 償を命じる判決が京都地裁で出ている。判決は憎悪表現が日本も批准する人種
差別撤廃条約で禁止される人種差別に当た
> り、違法だと指摘。日本は国連人種差別撤廃委員会からも「憎悪的、レイシズ
ム的表明に対する追加的措置」を求められてい
> た。
> 
>   憎悪表現の規制について、国内では「表現の自由が脅かされる」として慎重
論も根強いが、「殺せ」などの暴力的な表現によ
> る威圧行為は言論に値しまい。表現の自由へ十分配慮しつつも、人種差別を含
む憎悪表現の法規制はもはや避けて通れな
> いだろう。
> 
>   報告書は北朝鮮の人権状況にも言及し、約10万人を無期限に政治犯として
収容していると推計。ケリー国務長官は「あり
> とあらゆる拷問と人道に対する罪の証拠がある」と厳しく非難した。
> 
>   国連がまとめた最近の報告書も、日本人ら外国人拉致や公開処刑などの残虐
行為を例示し、北朝鮮が国家最高レベルで
> 「人道に対する罪」を犯していると非難する。北朝鮮の人権侵害を抑止するた
め、国際的圧力を強める必要がある。
> 
>   一方、米報告書には大切なことが欠落している。米軍普天間飛行場の県内移
設計画や普天間へのオスプレイ配備強行な
> ど、在沖米軍がもたらす人権侵害のことだ。
> 
>   沖縄側からすれば、県民の命や平穏な暮らしを脅かす米軍の存在、訓練実態
こそ人権侵害の極みだ。他国の状況を問題
> 視し、自国の人権侵害を顧みないのは二重基準だ。米国が民主国家だというの
なら、沖縄に対する構造的暴力の象徴である
> 辺野古移設計画を断念すべきだ。
> 
>   報告書から浮かび上がるのは、先進国、発展途上国を問わず世界各地で市民
の人権が非民主的な政府や偏狭なナショナ
> リズムなどによって脅かされている現実だ。国際社会は人権状況の改善に、最
優先課題として取り組むべきだ。
> 
> 
> 
> 
> 
> 
> 
> 
> 
> 
> 
> 
> 
> 東本高志@大分
> higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
> http://mizukith.blog91.fc2.com/ 
> 
> 




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