[CML 032117] 澤藤統一郎さん(弁護士)と山口二郎さん(法政大教授)の22日付けの安倍内閣の集団的自衛権論批判といま現在の私の情勢認識

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2014年 6月 22日 (日) 13:49:58 JST


澤藤統一郎さん(弁護士)と山口二郎さん(法政大教授)の22日付けの安倍内閣の集団的自衛権論批判。同じ事態の説明の
切り口の違い。共通しているのは安倍の論をそれぞれ「火事場泥棒」「詭弁」と論断していること。

なぜ安倍の論は「火事場泥棒」であり、「詭弁」なのか。澤藤さんは「自衛権」の話を「集団安全保障」の話にすり替える安倍の
姑息なやり方を「火事場泥棒」的だと言い、山口さんは、安倍は「機雷の掃海作業に自衛隊を派遣するため集団的自衛権が
必要だ」というが、「ペルシャ湾口のほとんどの海域では機雷除去作業は必ず他国の領海に入って行わざるを得ない。その意
味でも、他国の戦争に自衛隊を派遣しないという首相の従来の説明と矛盾する」、と具体論として安倍の「詭弁」の中身を指弾
しています。

この事態に対して、公明党の北側一雄副代表は「今まで自衛権の限界を議論していたのに、(略)集団的自衛権をやっている
時に集団安保が持ち出されると党内がまとまらない」(毎日新聞 2014年6月20日)と反発しています。が、この解釈改憲の核
心である自民党の高村副総裁が提案した自衛権行使の「新3要件案」は、「実はその原案は、公明党の北側一雄副代表が内
閣法制局に作らせ、高村氏に渡したもの」(西日本新聞 2014年6月20日)でした。その「解釈改憲」共謀犯といってよい公明党
の北側副代表すらこれでは「党内がまとまらない」と反発するという事態。これが集団的自衛権が閣議決定されるかどうかの
いまの自公間の瀬戸際の攻防の正味の中身と見てよいでしょう。安倍首相の暴走は自らの暴走が火種となって危機を招いて
いる。ここに自公決裂の目も伏在しているように見えます。

以上は集団的自衛権閣議決定問題に関する与党間の攻防を見てのいま現在の私の情勢認識です。

以下、澤藤統一郎さんと山口二郎さんの安倍内閣の集団的自衛権論批判。

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・安保法制懇報告を受けての5月15日首相記者会見は今や指弾の的。リアリティのない状況設定をむりやりに拵えあげて、
集団的自衛権行使容認のための世論つくりをねらった姑息なやり口と悪評この上ない。とはいうものの、同日の記者会見の
席上、首相は「自衛隊が武力行使を目的として湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してな
い」と確かに言った。これは集団安全保障への日本の参加はないことを明言したものである。(略)6月19日に突如として降っ
て湧いたように、自民党は「国連の集団安全保障での武力行使にも自衛隊が参加できるようにすべきだ」と言いだした。こうい
うのを、「どさくさ紛れ」「火事場泥棒」というのではないか。いや、悪徳商法のあの常套手法、「高い値段をふっかけて、半値に
まけて買わせる」ことを狙っているのだろうか。憲法がもてあそばれている。これまでの与党協議では、自衛権の話しをしてい
たはず。「集団的自衛権とは『他国防衛のための武力行使を認める』ということ自衛とは無関係ではないか」などと議論してい
たはずが、自衛とも他衛とも無関係の、集団安全保障という「特定国に対する武力制裁の話し」にまで進行してしまっている。
(略)同様の議論を20年前にたっぷりした経験がある。(略)しかしあの頃、「戦争終結以前に、多国籍軍の一員として、戦闘
海域に自衛隊の掃海艇を派遣して多国籍軍艦隊の航路を啓開せよ」などという乱暴な議論は聞かなかった。いま、臆面もな
くそのことが言い出されている。当時の「海部・小澤」と、今の「安倍・石破」との危険度の開きの大きさを痛感せざるを得ない。
(澤藤統一郎の憲法日記 2014年6月21日)
http://article9.jp/wordpress/?p=2852

・安倍首相が執念深く集団的自衛権行使を進めようとするので、私もしつこくこれに反対するコラムを書かなければならない。
今のところ、ペルシャ湾を念頭に置いて、機雷の掃海作業に自衛隊を派遣するため集団的自衛権が必要だという話になって
いる。これまた新たな詭弁(きべん)である。石油の輸送が止まったらわが国の存立に著しい影響が出るから、輸送路を確保
するために自衛隊が出動しなければならないというのが政府の言い分である。しかし、機雷除去は戦闘活動の一環であり、
名目は何であれ自衛隊は戦争に参加することになる。また、ペルシャ湾口のほとんどの海域では機雷除去作業は必ず他国
の領海に入って行わざるを得ない。その意味でも、他国の戦争に自衛隊を派遣しないという首相の従来の説明と矛盾する。
石油の輸入が止まったら一大事だが、機雷をどければ石油輸送が可能になるのか。これも政府はごまかしている。戦闘状態
が続いている限り、自衛隊が危険を冒して機雷を除去しても、安定的に石油を運ぶことはできない。機雷は小手先の話であり、
中東での戦争を回避すること以外に石油の安定供給の道はないのである。見え透いた詭弁を弄(ろう)するとは、自ら設定し
た期限が迫り、戦争好きのペテン師もあわてているのだろうか。(東京新聞 山口二郎 2014年6月22日)
http://www.tokyo-np.co.jp/
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■澤藤統一郎さん(弁護士)と山口二郎さん(法政大教授)の22日付けの安倍内閣の集団的自衛権論批判といま現在の私の
情勢認識(弊ブログ 2014.06.22)
http://mizukith.blog91.fc2.com/blog-entry-914.html


東本高志@大分
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http://mizukith.blog91.fc2.com/ 



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