[CML 032094] ウクライナ、クリミア情勢の見方(31)――コーエン教授(プリンストン大学名誉教授、元ブッシュ大統領顧問)のウクライナ問題に関してのオバマ・アメリカ大統領批判
higashimoto takashi
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 6月 21日 (土) 12:47:26 JST
以下に引用するスティーヴン・コーエンというアメリカの歴史学者のことを私はよく知りません。彼の著作を読んだこともありません。
私が彼について知っていることは、スティーヴン・コーエンという少し有名な彼の名前。彼は1968年から1998年までプリンストン
大学で教鞭をとった現在は同大の名誉教授であること。また、現ニューヨーク大学教授であること。1980年代末期に先代のジョ
ージ・ブッシュ大統領の顧問をしていたこと。私が彼について知っていることはきわめて少なく、かつ、それも辞書的知識でしかあり
ません。
私はなにを言いたいのか。要するに、私は、スティーヴン・コーエンという人を適切に評価することはできない、ということです。彼が
言表していることがどれほどアメリカの知識層のウクライナ問題に関する認識を反映しているのか。また、彼の「討論をよしとしない
風潮」が蔓延っている、「体制順応主義(コンフォーミズム)」の国、という自国批判はどれほど正鵠を射ているものか。私には適切
な評価はできない、ということです。にもかかわらず、スティーヴン・コーエン教授の「ウクライナ、クリミア情勢の見方」を引用するの
は、左記の事情については適切な評価はできないものの、私の認識、見方とは一致していること。参考にすべきアメリカのひとりの
有力な知識人の見方ということだけはたしかなこととしていえるだろう、ということです。
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■コーエン教授、ウクライナ内戦について語る: ‘リンカーンは南部同盟諸州の人々をテロリストとは呼ばなかった’
(マスコミに載らない海外記事 2014年6月20日)
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-90a4.html
歴史的な例えは正確ではないかも知れないが、アメリカ人は自分達の内戦を振り返り、現在ウクライナで起きていることとを比較す
る必要があるかも知れない。現在、アメリカは、国家統一とほとんど無関係な、残虐で犯罪的な火遊びを支援している。
これはロシア研究で著名なアメリカ人学者・著者で、1980年代末期にジョージ・H・W・ブッシュ顧問をつとめたスティーヴン・コーエン
教授による評価だ。コーエン教授は、RTに、ひき続くアメリカ政権のロシア政策の過ち、その過ちがもたらしているここ数十年で最
悪の危機、そして、ワシントンで物事の変化を妨げている、アメリカにおける政治論議の劣化について語った。
コーエン教授は、アメリカにおけるウクライナの出来事に関する主流の主張に異義を唱え、たしかに対象の諸州は反抗的とはいえ、
それに対しキエフ政府が遂行している軍事弾圧を“浅はかで、無謀で、残忍で、非人間的な作戦だと言う。”
“リンカーンは決して南部同盟諸州の人々をテロリストとは呼びませんでした。”と碩学は指摘する。“彼は常に[南部同盟諸州の人
々を]、内戦がいかにひどくなっても、北部の合衆国に戻って欲しい、同胞と呼んでいました。一体なぜキエフは自国民をテロリスト
と呼ぶのでしょう? 彼等は反抗者です。彼等は抗議行動参加者です。彼等には政治的意図があります。一体なぜキエフは代表団
を派遣し彼等と交渉しようとしないのでしょう?
“彼等の要求は理不尽なものではありません。彼等は自ら州知事を選びたいのです -
我々アメリカでは、自らの知事を選挙しています。彼等は税金の使い道について発言権が欲しいのです。‘代表なくして課税なし’と
いうのが一体何かを我々アメリカ人は知っています”とコーエン教授は語る。“彼等の中には過激派もいますが、皆が暮せるウクラ
イナで暮らしたいと素直に考えている人々もいるのです。ところがキエフ軍は、アメリカ合州国による全面的支援を得て、この攻撃
を行っています。”
‘本質的に同盟国であるクレムリンを、ワシントンは突き放している’
アメリカが今、ウクライナで行っていることは、おそらく現在持ちうる最良の潜在的同盟国を遠ざけることだと、コーエン教授は語っ
ている。
“イランからシリア、アフガニスタンから、更にその先までの、こうした全ての地域におけるアメリカ国家安全保障にとって、最も重要
なパートナーは、現在その主がプーチンであるクレムリンだと確信しています。アメリカ合州国のプーチンに対する態度は、アメリカ
の国益に対する裏切りと呼びたいほどです。”
ロシアは、大統領が、化学兵器を巡って、シリア爆撃をするよう圧力をかけられていたオバマ政権がシリアで面目を保てるよう支援
したのです。イランの新指導部と、数十年間で初めての本格的な交渉を開始するための架け橋を作るのを支援したのです。
“オバマ大統領はとうとう理解したのです。オバマ政権にとって誤った外交政策でしたから、アメリカの国益となる二大実績です。とこ
ろが連中はこっそり逃げ去り、オバマはプーチンをとんでもない程突き放してしまったのです。プーチンを余りに突き放した結果、ウ
クライナを巡り、我々[アメリカ]はロシアとの戦争の瀬戸際にあるも同然です。”
世界をこの欧米とロシア間の現在の対決への道をとらせるようにしたことで、コーエン教授は、アメリカ、特にクリントン政権を非難し
ている。
“理由は何であれ、これは、NATOをロシア国境まで拡張するというアメリカ政策の推進です。これはクリントンで始まり、息子ジョージ
・ブッシュの下で継続され、オバマが推進しています。そして、この因果応報です。”
“1990年代に一部の人々が… こういうことがおきかねないと警告していました。今やそうなりましたが、連中は責任をとろうとはしませ
ん”と彼は言う。“連中は‘わかった、我々が間違っていた、政策を考え直さなければいけないとは決して言いません。’それどころか、
連中は私の様な意見の人々にこう言うのです。‘あなたはプーチン擁護者だ。あなたはクレムリンのために働いている。あなたは愛
国的ではない。’”
‘オバマ大統領は、外交政策から自らを隔離している’
現政権において、政策を変更する能力の欠如は明白だと、この碩学は考えている。
“多くの大統領の為に働き、個人的に大統領達を知っている、私よりずっと年長の二人の男性と昼食を一緒にとりました。二人とも、
彼等の人生で、この大統領ほど外交政策から隔絶している大統領はいないと同意しました。”
コーエン教授が挙げた逸話的な例は、元国務長官ヘンリー・キッシンジャーとの対話をオバマ大統領が拒否したというものだ
“本当かウソかは知りませんが、年に二回、プーチンと会っているヘンリー・キッシンジャーと非公式に会うのをオバマ大統領が拒否
したと聞いています。キッシンジャーはおそらく、現在生存しているどのアメリカ政治家よりもプーチンを良く知っており、実に多くの大
統領の顧問をしてきた人物です。キッシンジャーの過去については、色々ありますが、彼は既にアメリカの対ロシア政策批判を公表
しています。それなのに、オバマ大統領は、彼と一時間会談して‘我々のやりかたに何かまずいところはありますか? 我々は状況を
誤認しているのでしょうか?’と質問しようとないのです”
ある問題に対する様々な視点を考慮しない指導者が、それに対処するための合理的決断ができなくとも驚くべきことではありません、
とコーエン教授は語った。
“大統領に要求したいのは、現状の危機に関する最良かつ最も多様な造詣の深い見解を求める人物であるべきだということです。
それだけです… 大統領は、知識、学識の上で正当性がある様々な対
立する意見の人々の意見を聞くべきです。そうしようとしない大統領は、オバマやクリントンが我々を危機に追いやった様に我々を
危機に追いやります。”
‘通説を打破する唯一の方法は異説だ’
アメリカにとって不幸なことに、現在、討論をよしとしない風潮はホワイト・ハウスだけではなく、アメリカ社会全般においてもそうなの
です、と教授は言う。
“我々が本当に討論したり、大衆が論争したりしていた20-25年前の状況とは違って、アメリカではこれに関する議論や大衆の反対が
皆無です”と彼は言う。“連中が[主流マスコミ - RT注]真実を知っていて、だか
ら真実を語らないのか、それとも連中が、ソ連崩壊以来、ロシアについて言われている神話に捕らわれているのか私にはわかりま
せん。”
“アメリカにおけるロシアに関する通説は、20年にわたって形成されました。”彼は言い足した。“しかもそれは単に誤っているだけで
はなく、無謀です。この通説が我々をこのウクライナ危機に至らしめたのです… 通説を打ち破る
唯一の方法は異説です。私の意見の一部は異説、反逆的、非愛国的と見なされています。しかし必要な場合には、異説は望ましい
ことなのです”
この状況は、外交政策問題に関する国民的論議や既成政治勢力に好まれない意見を‘弱小メディア’に追いやろうとはしない他の
民主主義諸国でおきている事とは雲泥の差だ。
“ロシア同様、酷い過去を持つ、比較的新しい民主主義国ドイツでは、出世の妨げになったり、論説欄に載ったりという心配なしに、
人々がオープンかつ自由に議論できる民主主義を築きあげられている。三人の元ドイツ首相のうち二人が、ウクライナ危機は、ロ
シアではなく、ヨーロッパのせいだと主張している。”
“元大統領達はどこにいるのだろう? この政策を自分が始めたのだから、クリントン大統領が率直に話そうとなぞするわけがない
のはわかる。だがカーター大統領はどこにいるのだろう? 異なる政策を遂行していた元国務長官達はどこにいるのだろう? この
沈黙は一体何だろう? 他の多くの国々とは違って、アメリカでは、異義を唱えることにたいする対価はさほど大きくないとは言え、
体制順応主義という政治文化を、既成権力集団中に築いてしまったのではないかと私は懸念する。”
記事原文のurl:http://rt.com/op-edge/165932-lincoln-confederates-terrorists-ukraine/
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東本高志@大分
higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
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