[CML 031903] エッセイ ◆「尖閣」戦争を準備する琉球弧への自衛隊侵出を阻止しよう!! 井上澄夫
井上澄夫
s-inoue at js4.so-net.ne.jp
2014年 6月 12日 (木) 01:04:31 JST
みなさんへ
これは「人民新聞」という民衆のメディアに最近寄せたものです。拡散にご協力いただければありがたく思います。井上澄夫
◆「尖閣」戦争を準備する琉球弧への自衛隊侵出を阻止しよう!!
井上澄夫
「内地・外地」という言葉はもうほとんど使われないが、私が子どもの頃、九州の田舎では親戚が集まるとよく聞いたものである。「シナ」や台湾などの「外地」から引き揚げた家族が多かったからである。
旅行代理店に置いてあるチラシを眺めると、グアム・サイパンや香港のチラシに沖縄が混じっている。そこでいつも思うのは、「本土」の大多数の人びとにとって沖縄は〈海外〉なのではないかということだ。
その〈海外〉認識には実は戦前の「内地・外地」という区分け意識が投影されていて、漠然とではあれ、沖縄は「外地」と感じられているのではあるまいか。戦前、沖縄は大日本帝国の版図に含まれていたものの、小学唱歌「蛍の光」の歌詞4番はこうだった。
〈千島のおくも、沖縄も、八洲(やしま)のうちの、守りなり。
至らんくにに、いさおしく。つとめよ わがせ、つつがなく。〉
つまり、沖縄は「内地」を守る防人(さきもり)役をつとめるべき国内植民地だったのだ。そして実際沖縄は、アジア・太平洋戦争の末期、「本土決戦」を準備する時間稼ぎのため、日米の凄絶な地上戦に巻き込まれた。
沖縄を「海外」「外地」と感じるこの植民地本国人意識は戦後の始まりの時期に完全に拭い去られるべきだったが、今も地をはう霧のように漂い、安倍政権による構造的沖縄差別政策を支えている。
安倍首相は現在、「尖閣」有事(戦争)に備えるため、南西諸島の奄美大島・宮古島・石垣島・与那国島への派兵を急いでいる。与那国への陸自・沿岸監視部隊配備(固定式レーダー設置)はすでに駐屯地の建設に着手している。さらに最近、奄美大島に防衛副大臣がおもむき地元2自治体の長に陸自・警備部隊の常駐を打診した。6月11日には同副大臣が宮古島を訪問し、宮古島市長に同部隊配備の計画を説明する。そして同種の工作が石垣市長に対してもおこなわれることは確実である。
だが、沖縄の現状に関心をもつ人でも、その関心はどちらかといえば、辺野古新基地建設や東村高江区でのオスプレイ・パッド建設に向けられていて、目下強行されている琉球弧(奄美・沖縄)への自衛隊派兵に対する関心はまだ低い。それは在日米軍基地の74%(専用面積比)が集中する沖縄の〈米軍〉に関心が集まっているということだ。
日米両政府はオバマ政権のアジア重視リバランス(再均衡)戦略に沿って両軍の軍事一体化を急速に進めているが、「本土」の反戦運動では自衛隊の存在を根本から問わず、現に眼前で展開されている自衛隊の動きに目をそむける人が少なくない。それは「憲法9条を守れ」と主張しながら同条第2項に明記されている〈戦力不保持〉、すなわち〈非武装〉に触れない人が多いことと連動する事態であるにちがいない。
過日、「自衛隊に触れるならまず『自衛隊さん、ありがとう!』と言いましょう」という声がある反戦・反基地グループから上がったという話を聞いて一瞬耳を疑った。東日本大震災時の自衛隊の災害派遣を評価してのことらしいが、こういう親軍論調が反戦運動内から浮上することは戦後反戦運動の著しい後退を象徴していると私は思う。
しかし、反米軍には熱心でも自衛隊となると腰が引けるようでは、安倍政権・防衛省による〈琉球弧の要塞化〉を阻止し「尖閣」戦争を防止することはできない。5月15日、安倍〈好戦宰相〉が解釈改憲の強行を宣言したが、そのとき沖縄戦の体験者たちが「また捨て石か」とうめきつつ反応したことに「本土」の私たちはもっと敏感であるべきである。
(いのうえすみお、北限のジュゴンを見守る会)
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