[CML 031896] 安倍内閣は、自衛官たちに「再宣誓」を問う覚悟はあるのか?
MAKOTO KONISHI
shakai at mail3.alpha-net.ne.jp
2014年 6月 11日 (水) 15:18:00 JST
自衛官人権ホットラインの小西です。
以下の投稿をFacebook・ツィッターなどに投稿しました。どうぞよろしくお願いし
ます。
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安倍内閣は、自衛官たちに「再宣誓」を問う覚悟はあるのか?
安倍内閣は、今国会会期中にも集団的自衛権行使を求める閣議決定を行う、としている。この戦後日本の、国際的に評価された
平和主義=平和憲法体制を大転換する決定を、私たちは見過ごすことはできない。何よりも、その大転換によって命を賭けさせ
られる自衛官たちの立場から異議を申し立てたい。(自衛官人権ホットライン・事務局長 小西誠)
自衛官の「命を賭ける宣誓義務」
自衛官が、他の公務員などともっとも決定的に異なるのは、その任務に「命を賭ける義務」(賭命義務)が課せられていること
だ。すなわち、すべての自衛官は、入隊時に以下の「宣誓」を読み上げ、署名・捺印しなければならない(自衛隊法第52条・
53条「服務の宣誓」、自衛隊法施行規則第39条)。
宣 誓
私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法 及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に
徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、
事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。
これは、自衛隊法第3条に基づく「自衛隊の任務」ー「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略
及び間接侵略に対し我が国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする」から定めら
れている。
つまり、現在、自衛官は、「日本への直接・間接侵略からの防衛のため」にのみ、「賭命義務」のある宣誓をさせられている。言
い換えれば、今、安倍内閣が決定しようとしている集団的自衛権行使=「他の同盟国等の防衛」という「主要任務」(本来任
務)の追加は、自衛隊法が定める自衛隊の任務ではない。もちろん、これは自衛隊法第3条1項の1号・2号が掲げる「周辺事
態」でも「国際社会の平和」でもない。
したがって、もしも、安倍内閣が集団的自衛権行使を自衛隊の任務とするなら、安倍内閣は、自衛隊法第3条の自衛隊の任務規
定を改定するだけでなく、それに基づく自衛官の「宣誓」を改めて求めるべきである。
だが、安倍内閣には、その覚悟はあるのか?
保安隊から自衛隊への改変で「宣誓拒否」した約6300人以上の隊員たち
1954年7月1日、自衛隊はこれまでの「治安維持」が任務であった保安隊(←警察予備隊)から自衛隊に大幅に改変するに
あたって、「賭命義務」のある「宣誓」を全隊員に求めた。その結果、全国で約6300人の隊員たちが宣誓を拒否し退職し
た。その内訳は、おおよそ以下のとおりだ(1954年6月23日『毎日新聞』)。
ーー第1管区隊1200人、第3管区隊1400人、第4管区隊1100人、長官直轄部隊1200人、警備隊(現海自50人)、
保安大学6人。
同紙によると、宣誓拒否者の多くが「乱闘国会の代議士が決めた自衛隊はいやだ」とか「いまはまだ自衛隊に変わるべきではな
い」などと、拒否の理由に「軍隊」にひとしい改変に異議を唱えたという。
自衛官への「契約違反」としての集団的自衛権による「同盟国などの防衛義務」
現在、安倍内閣が強行しようとしている、「集団的自衛権行使」による「同盟国などの防衛」は、明らかに今の自衛隊法が規定
する「自衛隊の任務」ではない。
繰り返すが、自衛隊の任務は、あくまで「日本への直接・間接侵略からの防衛」であり、この主任務(本務)を変えて「他国の防
衛」を含む任務へ規定を大幅に変更するのなら、当然、それに基づく「国と自衛官との職業上の再契約」をも改めて行うべきで
ある。つまり、「再契約」=「再宣誓」が絶対的条件であるということだ。
安倍内閣は、集団的自衛権行使の閣議決定をした後、自衛隊法などの大幅改定を行うことを予定している。実際に報道の一部で
も、閣議決定後の今秋の臨時国会あたりで、およそ8〜10の法律の改定を予定するという。
自衛官たちに「再宣誓」で信を問え!
だが、この法律の大幅な改定と並行して、その集団的自衛権行使によって、大きな任務変更を迫られる自衛官たちに、何をどの
ようにするのか、という説明は一切ない。いわんや「再契約=再宣誓」の提起もなされていない。報道で漏れ伝えられているの
は、石破自民幹事長の「軍法会議が必要」だの、「自衛官に300年の懲役刑罰」が必要だのという、おぞましい考えだけだ。
この発言には、自衛官を国民の一員として(一市民として)扱おうという姿勢は、微塵にも見られない。
全国的に充満する「死にたい、辞めたい」という声
こういう事態の中で、自衛官人権ホットラインには、毎日のように、この増強態勢にある自衛隊内での人権侵害事件の多数の相
談(上官のパワハラ・いじめなど)が寄せられている。まさに「死にたい、辞めたい」という声が、今隊内には全国的に噴き出
しつつある。この凄まじい非道な実態を、自衛隊の高級幹部はおろか、阿倍政権はまったく承知・認識もせず、「集団的自衛権行
使」という「観念的論議」を唱えている。
再び、問う! 安倍内閣よ、自衛官たちに「再宣誓」を問う覚悟はあるか?
自衛官人権ホットライン http://gi-heisi.doorblog.jp/archives/27316757.html
ホットライン相談室 http://8701.teacup.com/hotlines/bbs
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