Re: [CML 031800] Re1: 美味しんぼ「鼻血問題」 福島出身の弁護士はどう見たか? ――石森雄一郎弁護士の問題提起は美味しんぼ「鼻血問題」議論の結論になりうるものではないか

T.kazu hamasa7491 at hotmail.com
2014年 6月 7日 (土) 00:51:16 JST


東本さん
森中さん
こんばんわ

お二人の議論に横レスですが、公開掲示板であるのでお許しください。

まず、石森弁護士の引用について
1、石森弁護士の意見が、多様な意見を聞く機会を保証せよということならば、私は大賛成です。
2、多様な意見を認めない、というのはむしろ「専門家」や美味しんぼに抗議した「役人」のほうです。
3、弁護士さんが「現在の医学的通説と大きくかけ離れたもので あっても、これを『真実と異な 
る』と簡単に断じることはすべきではないでしょう。」というときは、言論の自由のことを言うためのレトリックで、「たとえ・・・であっても」という論理を使っている可能性が高いのです。立憲の精神です。石森弁護士が美味しんぼ表現を「現在の医学的通説と大きくかけ離れたもの」だと判断しているわけではなさそうです。


それを踏まえての私の意見ですが、
A、「美味しんぼ」はまさに多様な意見の一つなのですから、その出版や表現を「公おおやけ」が制約しようということは、とんでもないと思います。
B、次に「鼻血が出た」、「以前には出なかった鼻血がフクイチ以降に出た」ということは事実です。もしそれが事実ではないというなら、「お前は鼻血など出していない」という証拠を見付けてから、否定してください。
C、鼻血が出たことが200万県民のごく一部だという主張なら、「そんなことはありえない」と強情を張るのではなく、少数者の体験は少数者の事例として尊重してください。
D、「鼻血が出たことは認めるが放射能のせいではなかろう」というなら、それを証明するために、被曝なしのフクイチ以前と被曝ありのフクイチ以後とを、きちんと較べる努力をしてください。その努力なしには、専門家といえども、頭ごなしには否定はできないはずです。

では本題。
弁護士さんのレトリックではなく、ごく普段着の意味での
「現在の医学的通説と大きくかけ離れた」を批判させていただきます。

この間の投稿を拝見すると、東本さんは、鼻血を放射能と結びつけること自体を「現在の医学的通説と大きくかけ離れた」と断言なさりたいようです。そのために、「放射線の専門家」と称する人の言辞を、無批判に引用なさいます。

ところが今回の問題では、
「放射線の専門家」と称する人は、あまりにも見事に「教条もち」の醜さを露呈してしまいました。
いわく、
(教条1)『放射線による鼻出欠は、瞬間に1シーベルト以上の放射線を浴びることで、骨髄の血小板生成機能がなくなって、おこるものだ』、(500mSv以上と言う人もいるが教条に変わりはない)
(教条2)『それほど強い放射線を浴びてないのだから、鼻血なんか起こりっこない』。

事実をひとつ一つ確認することのない教条的断定です。
「放射線防護学の専門家」とは、ずいぶんと常識はずれを言う商売人なんだなあ、とつくづく思います。
こうした、日本の放射線学者特有のステロタイプ発言は、ぜひ英語に翻訳して、国際的な判定を得たいと思います。

放射線は、強く浴びればあびるほど強い傷害を受けます。弱く浴びれば弱い傷害をうけます。これは誰が見ても常識です。
弱い傷害のほとんどは、簡単な手当てもしくは時間の経過とともに回復しますが、強い傷害は時間の経過では容易に回復しないか、元に戻れない不可逆性を持っています。

ICRPや放射線防護学は、弱い傷害を問題にせず強い傷害だけを問題にして、それをもって急性障害(確定的影響)と定義して、そこには「これだけ浴びなければそういう症状は起こらない」という閾(しきい)値を設けています。弱い傷害が起こりえないからではなく、つよい障害だけを問題にするという目的としきたりを持ち続けてきたからです。

ICRPに代表される放射線防護学には、不思議なことに、放射線の「利」と「害」を天秤にかける使命が付きまとっています。そして「害」の「量」を評価するために、評価基準(エンドポイント)には「死」をえらぶことにしています。ですから問題にするのは「発病」ではなく「致死」。「治療日数」ではなく「寿命損失年数」です。命に影響する強い傷害だけを問題にし、鼻血とか慢性病とか「死」につながらないものは、「問題外」にしてきたのです。

今回の美味しんぼを攻撃する「放射線防護学の専門家」たちの発言は、世間の常識とは違う特殊世界の非常識がモロに飛び出したといえます。子どもの鼻血を気にする親たちとは、全くの別世界別次元です。

親ならば、
子どもに弱い症状がでれば、中程度の症状になることを心配します。
中程度の症状がでれば、重い症状になることを懸念します。
当然です。 

これを指して非常識といい、鼻血の議論をギロチン遮断しようとする、
この料簡はいったい何なのでしょうか?
「専門家」とは放射能の弁護はしても、子どもたちの健康に関する心配を、屁にも掛けないひとたちだ、
と、親たちはつくづく思い知ったことでしょう。 


もちろん、
お子さんに何の障害も出なかった親御さんが、ぜんたいの中では多いことでしょう。
しかしだからと言って、少数の例証を無視してよいことにはなりません。
謙虚に耳を傾けて、むしろ警鐘として社会は受け止めるべきです。

風評被害を排するためと言う理由で、
子どもの健康被害を通常の10倍に増やしてよいわけがありません。
小児癌年間発症率1万人あたり1人だったものを、1万人あたり10人に増やしてよいわけがありません。

申し上げたかったのは以上ですが。
東本さんに付け加えてお尋ねします。

私は、「専門家」や「学者さん」、或いは「政治家」が、
美味しんぼを批判することは、反批判を受けることを覚悟すれば、
存分にしてよいことだと思います。
しかし、
環境省とか福島県とか福島県立医大とかの官庁名に身を潜めた官僚たちが、
「学問的常識はこうだ」とかノタマッテ、報道ステーションとか美味しんぼに
攻撃の刃を向けることが許されてよいのでしょうか。

官僚の行政業務とは、国民の自由を公共のために制限し律する行為ですから、
いかなる職務も、法律的根拠なしにはできないはずです。
「学問的にはこうだ、ああだ」といって、国民の言論を「公」の名で批判する、
こうしたことは許されるのでしょうか?
憲法擁護の第1人者である東本さんには、ぜひお聞きしておきたいことでした。

ni0615田島拝
、














-----Original Message----- 
From: 森中 定治
Sent: Friday, June 06, 2014 10:30 PM
To: 市民のML
Subject: Re: [CML 031800] Re1: 美味しんぼ「鼻血問題」 福島出身の弁護士はどう見たか? 
――石森雄一郎弁護士の問題提起は美味しんぼ「鼻血問題」議論の結論になりうるものではないか

東本さん,さっそくの返信有り難うございます. 


第1については異議はありません.
文章の書き方は引っかかるところがあります(例えば現在の医学的通説と大きくかけ離れ・・など)が,多様な意見,可能性を慎重に検証する・・は必要だと思います.

第2については,大学の教授や医師などその分野の専門家ではなく,著者は一般人です.一般人が自分はこう思うと断定しても,私は問題なかろうと思います.例えば,福島に住む人を苦しめてやろうとか,本心では思ってもいないことを面白半分で書くとか,そう言うことであれば,つまり真に悪意から出た嘘や不真面目な行為であれば私は許すことができません.しかしそうではないことは明らかです.”いとも簡単に,そして安易に”と言われますが,以前マンガを見た時の記憶では地元にも出向いて自分なりに調べていたと思います.

森中


On 2014/06/06, at 20:58, higashimoto 
takashi wrote:

> 森中さん、コメント拝見しました。
>
> いろいろな観点からのご意見を述べておられますが、論点を整理したうえで議論させていただきたいと思います(そうでないと議論
> が拡散してしまいます)。何往復かやりとりをしなければならなくなると思いますが、その点はご容赦ください。
>
> 第1。石森弁護士の「仮に作中の『放射性物質の影響で鼻血が出る』という意見が、現在の医学的通説と大きくかけ離れたもので
> あっても、これを『真実と異なる』と簡単に断じることはすべきではないでしょう。今後の福島の状況を慎重に判断するためには、
> 『美味しんぼ』に出てくる意見を簡単に否定することはむしろマイナスで、多様な意見、可能性を慎重に検証する姿勢は絶対に必要
> です」という第1の問題提起については森中さんはどう考えられますか? この点についてはご異議は 
> ないだろうと思いますが、念
> のためお尋ねします。
>
> 第2。石森弁護士は第2の問題提起として「『美味しんぼ』の作者は、『福島は危険』『福島に滞在することで鼻血が出る』という意見
> をもつ双葉町前町長や岐阜環境医学研究所所長ら、極めて限定された人の意見を聞いただけで、いとも簡単に、そして安易に、
> その意見が客観的に正しいと『断定』し、それが『福島の真実』であるとし」ている。「作中の『意見内容』が問題なのではなく、一つの
> 意見にすぎないものを、ほとんど悩みを見せずに、いとも簡単に客観的事実として『断定』する表現姿勢が問題なのです」と述べてい
> ます。この石森弁護士のは第2の問題提起についてはどのようなご意見をお持ちでしょうか?
>
> まず、この2点について森中さんのご意見をお聞きしたいと思います。私の意見はその後に述べます。
>
>
> 東本高志@大分
> higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
> http://mizukith.blog91.fc2.com/
>
>
> From: 森中 定治
> Sent: Friday, June 06, 2014 8:19 PM
> To: 市民のML
> Subject: Re: [CML 031797] 美味しんぼ「鼻血問題」 福島出身の弁護士はどう見たか? 
> ――石森雄一郎弁護士の問題提起は美味しんぼ「鼻血問題」議論の結論になりう るものではないか
> 東本様
>
> 石森弁護士の「鼻血問題」についての理論的、論理的な再提起を示し,これがこの議論の最終結論になりうると思うとのことですが,ならないと思います.
>
> 私の住む近くに福島から嫁いできた方がいます.懇意にしています.当然その方の親族は福島に沢山います.当地に住む人が不安で,これからもずっと住んでいて安全かと役所に聞くと,国がそう言うのだから「安全」だと答えるそうです.
> 何かおかしいと思いませんか?
> 国そのものが,この災害に対する不誠実な対応によって信頼を失いました.私らのように遠くに住む人間には直接の影響はありませんが,福島に住む人にとっては人ごとではなく,直接の問題です.国に対して心理的な疑惑があります.疑惑をもつ人に対して,「安全だ」というデータをいくら並べても,その猜疑心は解消しないでしょう.
>
> ブログを拝見しましたが,鼻血問題の騒ぎが起こる前に国会議員が公開の席上で鼻血を言明したこと,井戸川さんが鼻血が出ると言ったことよりも,相馬郡医師会がまとめた3万件以上の調査の結論の方が明らかに信用がおけると主張されます.なぜそう断定できるのですか?
>
> 相馬郡医師会はいつ調査を行ったのですか?鼻血問題が大騒ぎになった後で緊急にまとめたのではないのですか?この調査は鼻血問題の沈静化つまり幕引きを明確な目的としたものであることが容易に分かるし,そうではないと言い張っても,そうではないことを証明できません.研究あるいは調査の意図があって,その意図に沿った結果を出す.これを「利益相反」というのです.地方の医師会どころか,名だたる大病院や医科大学がいくつも集まって出した結果が「利益相反」と毎日のように新聞を賑わしているのを知りませんか.「バルサルタン」という名前はあまりに新聞で大きく出るので,とうとう覚えてしまいましたよ.
>
> こういう状況で,安全だ!安全だ!鼻血はない!鼻血はない!といくら繰り返しても,疑惑が解けないのではありませんか.“疑惑”を解消するには,どうすればよいと思いますか?
>
> 森中
>



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