[CML 031678] 放射線被曝は神経疾患・精神疾患の原因にもなる

檜原転石 hinokihara at mis.janis.or.jp
2014年 6月 1日 (日) 07:49:28 JST


檜原転石です。

東本さん、こんちは。

「vanacoralの日記」(何でもかんでも放射能のせいにするいわゆる「脱原発カ
ルト」の存在が、日本における脱原発潮流の磐石化を妨害する 内なる敵である
事は再三話した通りですが)を紹介しながら

>はじめになにがなんでも福島の「鼻血」と「放射能」とを結びつけようとする
荒唐無稽の論。

■原発事故後、タレントや声優がファンに襲撃される事件が目立つようだが (26
日付「低気温のエクスタシーbyはなゆー」)
http://alcyone-sapporo.blogspot.jp/2014/05/blog-post_1028.html


 確かに、このブログには重大な大間違いがある。

 根本の間違いは、精神疾患と犯罪を結びつける愚劣であるが、この愚劣を導き
出したのは、“放射線被曝が精神疾患を増大させるという知見”である ことだけ
は確かである。  かように、せっかくの知識も使い方を間違えば馬鹿丸出しの
記事にしかならないという見本のようなブログだ。

 だがしかしフクシマの現実はむごく、押さえておくべきところは押さえておき
たい。私たちの多くはがん死するが、がん死とはゆっくり殺されること なの
で、その原因が自然放射線なのかフクシマ発の放射線なのか、あるいは他の原因
なのかは分からない。これら時間のカベなどを含む分からないこと をいいこと
に核・原発マフィアが目先の利益だけを求めて好き放題ができるわけだ。よって
数十年後にフクシマ以後のあらゆる病気の疾患率が有意に上 がったとしても、
東電をはじめとする犯罪者が責任をとらされることはないだろう。

 放射線はがん死を増加させるだけではない。 放射線は神経疾患・精神疾患の
原因にもなる。あなたがもし、『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』を読め
ば、一連のトンデモ発言が終わる可能性もあるが、しかしあなたは決して読まな
い。よって私が一部を紹介します。
 問題は、もしあなたが「放射線は神経疾患・精神疾患の原因にもなる」ことを
知っていたら、どう書いたのだろうか?っていうことかな。
 

■アレクセイ・V.ヤブロコフ/ヴァシリー・B.ネステレンコ/アレクセイ・V.ネ
ステレンコ /ナタリヤ・E.プレオブラジェンスカヤ『調査報告 チェルノブイリ
被害の全貌』 星川 淳 (監修, 訳)、チェルノブイリ被害実態レポート翻訳チー
ム (訳)、2013年

頁101――

5.8. 神経系と感覚器の疾患

・・・ チェルノブイリの大惨事以降、低線量や低線量率の放射線によって、神
経系の微細構造や神経系のより高次の活動、眼の組織、さらに、すべての汚染地
域で広範 囲に見られる精神神経障害[の発生]に甚大な影響が及んだことは明
らかだ。脳の放射線感受性を裏づける証拠が積み重ねられつつある・・・

頁103――

 表5.45 子宮内で被曝した子どもの神経疾患と精神疾患の発生率(%)
(Nyagu et al ,2004)

以下、引用者、表より13項目中の10項目抜き書き

            被曝群(検査対象121人) 対照群(検査対象77人)

神経学的に健康 60.3    85.7
てんかんの素因 7.4   1.3
片頭痛    2.5   0
その他の頭痛症候群 25.6   13.0
睡眠障害   3.3    0
知的に健康  15.7 58.4
器質性の精神障害 16.5   3.9
心理的な発達の障害 7.4    0
行動および情緒の障害 25.6 11.7
学習障害  17.2 3.9


頁110――

5.8.1.5 結論

 放射線による損傷に対する神経系の抵抗性を主張するかつての見方は、汚染地
域の住民、特にリクビダートル(引用者注:事故処理作業員)における 神経系
の疾患を示すデータの集積によって反証されている。かつての放射線防護の基準
では無害とみなされていた比較的少量の核放射線ですら、著しい 器質的ダメー
ジを生じさせているのだ。汚染地域に現存する放射線量は明らかに、数え切れな
いほどの人びとの中枢神経系に害を及ぼしている。 放射 線汚染地域の多くの
住民、とりわけ子宮内で放射線に曝された人びとやリクビダートルにおいて、知
覚、短期記憶、注意の持続、操作的思考、そして夢 見を含む神経系の機能が低
下している。こうした状態は、深部大脳半球、すなわち間脳領域、深部前頭葉お
よび側頭葉、ならびに大脳半球の後頭頭頂部 の損傷と関連がある。低線量の放
射線は植物神経系(自律神経系)に損傷を与える。広島や長崎の核爆撃を経験し
た女性が産んだ子どもの45%に知能 の遅滞が見い出された事実は、非常に悩ま
しい懸念事項である(Bulanova,1996)。

■放射線影響研所(放影研)
胎内被爆者の身体的・精神的発育と成長
http://www.rerf.or.jp/radefx/uteroexp/physment.html



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