[CML 032416] Re: 集団的自衛権行使違憲確認に松坂市長決意 各地で違憲訴訟を起こすか、原告に加わるかでしょう

higashimoto takashi higashimoto.takashi at khaki.plala.or.jp
2014年 7月 5日 (土) 14:30:41 JST


三重県松坂市の山中光茂市長が集団的自衛権行使違憲確認訴訟を起こす考えを明らかにしたということですが、すでに前田
朗さんからの指摘もあるように現行の「日本の裁判制度では、違憲確認訴訟は極めて困難です」。

違憲(無効)確認訴訟については、1950年に日本社会党を代表して当時の鈴木茂三郎委員長が警察予備隊設置に関する一
切の行為の無効確認を求めて最高裁判所に訴えを起こした例がありますが、最高裁は昭和27年10月8日大法廷の全員一致
の判決で警察予備隊の違憲性については一切触れることなく、訴えそのものを不適法として却下しました。その却下の理由は、
「日本の裁判所は具体的な争訟事件が提起されないのに将来を予想して憲法及びその他の法律命令等の解釈に対し存在する
疑義論争に関し抽象的な判断を下す権限はない」というものでした(wikipedia『警察予備隊違憲訴訟』)。

この点についてウィキペディアの解説は次のように述べています。

「憲法81条はアメリカ型の付随的違憲審査制を採っていると解するのが通説である。裁判所は具体的争訟の解決に付随しての
み違憲審査をすることができることになる。日本国憲法の違憲審査制は制定過程の経過をみてもアメリカの制度の流れをくむも
のであると考えられ、また、「第6章 司法」の章に違憲審査権について定める憲法81条の規定を置いており、この「司法」とは
伝統的に具体的事件に法令を適用して紛争を解決する作用を指すからである(wikipedia『違憲審査制』)。

違憲(無効)確認訴訟に関する最高裁大法廷の昭和27年10月8日判決はいまも通説として踏襲されており、具体的争訟を提起
することなく違憲確認訴訟を起こしても、訴えそのものが不適法として現行の日本の裁判制度下では門前払いの判決を受けるこ
とは確実です。

問題はそれでも違憲確認訴訟を提起することに意義があるかどうかです。そこで第一に考えなければならないことは、集団的自
衛権の憲法上の違憲性を問うはじめての裁判は、敗訴確実の裁判よりも、勝訴の可能性及び勝訴を追求しうる裁判闘争として
闘うべきであろうということです。集団的自衛権の憲法上の違憲性を問うはじめての裁判で敗訴必須の裁判を闘う積極的な理由
を私は見出すことはできません。形式的な門前払いの敗訴であってもその敗訴を敵側(ズル賢さにおいては優秀な安倍政権)が
狡猾に利用しないということはまず考えられません。集団的自衛権の憲法上の違憲性を問うはじめての裁判はあくまでも勝訴を
めざす裁判闘争でなければならない。次の国政選挙という政治日程も射程に入れておく必要もあるだろう、と私は思います。

第二に私はこの集団的自衛権行使の違憲確認訴訟を起こそうとしている三重県松坂市の山中光茂市長という人はなにものか、
ということも考えます。ウィキペディアによれば山中市長は慶大法学部法律学科を卒業しているようですから、現行の日本の裁
判制度の下では具体的争訟の提起をともなわない違憲確認訴訟は不適法として却下される可能性大であることについては当
然の法律知識として知悉しているものと思われます。

にもかかわらずなにゆえにいま違憲確認訴訟を起こそうとしているのか。端的に言って私は人気取りだろうと思います。やはり
ウィキペディアによれば山中氏はネオリベラリストの巣窟ともいえる松下政経塾の出身者であり、同塾終了後は民主党議員の
秘書などをつとめ、前回の松阪市長選挙ではみんなの党の渡辺喜美の支援を受けて当選しているようです。こうした経歴から
見る限り彼が根っから集団的自衛権行使に反対する主張の持ち主だとは判断しがたいものがあります。みんなの党の渡辺喜
美は同党の前回党大会の折に集団的自衛権の行使容認について、「憲法解釈を変えれば、自衛隊法などを部分的に直すだ
けでいい。非常に合理性がある」(The New Classic 2014年2月24日付)と広言した人であり、その妄言の人を支持し、その妄言
の人の支援を仰ぐ人物が集団的自衛権行使違憲確認訴訟を提起するというのですからその真意を疑うのは当然というべきで
しょう。少なくとも私はその真意を疑います。

以上、この件に関する私の若干の感想。もっと端的に言えばアホクサというのが私の感想です。標題の問題提起はミスリードと
いうべきでしょう。


東本高志@大分
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