[CML 029259] 東京都知事選主要候補の介護政策

林田力 info at hayariki.net
2014年 1月 29日 (水) 01:21:17 JST


ブラック介護撲滅の観点から東京都知事選挙の主要3候補(宇都宮けんじ、舛添要一、細川護熙、届け出順)の介護・雇用政策を分析する。候補者の政策は2014年1月28日時点のウェブサイトで確認した。

 最初に総論である。宇都宮氏と舛添氏は総論で介護を個別の問題ではなく、社会保障の中の一要素として総合的に捉える点で共通する。宇都宮氏は条例制定を公約に掲げており、制度化を目指している。「全力をあげます」と努力だけの舛添氏よりも具体的である。但し、条例は議会が制定するもので、都知事だけでできるものではない。舛添氏は「母親の介護の経験、厚生労働大臣時代の経験を生かし」と個人の経験をアピールする。
 宇都宮・舛添の両氏に比べると細川氏の総論は抽象度が高い。また、宇都宮・舛添の両氏が「生活保障システムをつくります」「社会保障の充実に全力をあげます」と行政の責任で社会保障サービスの提供を掲げていることに対し、細川氏は「自助・共助・公助」と行政の責任のウェイトを下げている。
 宇都宮「「くらし・住まい・雇用保障条例」により、<子育て・介護・年金・医療・女性・障がい>の抜本的な充実を実現させ、切れ目のない生活保障システムをつくります」
 舛添「母親の介護の経験、厚生労働大臣時代の経験を生かし、出産、育児、仕事、医療、そして、介護、人生の中で経験することとなるそれぞれのステージで、東京における様々なライフスタイルに合った社会保障の充実に全力をあげます」
 細川「人々の違いを認識・尊重し、自助・共助・公助で、若者、女性、高齢者、障がい者、子どもたちが生き生きと暮らすまちづくりを率先します」

 高齢者が自宅で自由に安心して生活できるようにする点では3候補者とも共通する。
 宇都宮「お年寄りの自由な生活を拡大するために介護予防を区市町村と共に取り組みます」
 舛添「住み慣れた地域や自宅で安心して老後を暮らすことができる介護システム」
 細川「障がい者や増加する一人暮らし高齢者も安心して暮らせるよう、健康都市東京づくりを進めます」

 高齢者向け施設については宇都宮氏と舛添氏は拡充を訴える。宇都宮氏は待機者ゼロを目指すと明言する。また、量の拡充だけでなく、人員も増やすことで質的にも拡充を目指している。細川氏は言及なし。
 宇都宮「特別養護老人ホームを拡充して、4万3000人を超える特養待機者を段階的にゼロにします。特養を拡充するとともに、人員を増やし、虐待のない尊厳を尊重した介護保障をめざします」
 舛添「特別養護老人ホーム、ケア付き住宅等の高齢者向け住居の増設」

 新しい介護サービスについて宇都宮氏と舛添氏が言及している。細川氏の言及はない。
 宇都宮「ヘルパーと看護師がペアをつくって訪問介護・訪問看護を同時に行う「24時間型巡回型在宅ケア」の仕組みを構築します」
 舛添「医療と介護、地域が連携した効率的・包括的な医療・介護サービス(医療・介護・福祉・消防等の地域・広域連携、診療所(ホームドクター)・地域病院・総合病院の役割分担、医療・介護のデータベースの公開・連結など)」

ブラック介護をなくすためには介護労働者の労働環境の改善が必要である。宇都宮氏の公約は労働者保護の政策は詳細である。
 「「ブラック企業規制条例」を制定し、若者の使い捨てを許しません」
 「公務公共部門で働く「官製ワーキングプア」の労働条件を改善します」
 「切り下げられた「保育所人件費の公私格差是正」を復活し、介護など他の福祉職場にも拡大をはかります」
 「看護・介護・保育など対人サービスで人手不足の公共部門では、公的雇用を拡大します」
これに対して舛添氏や細川氏は経済成長・規制緩和による雇用環境改善を志向する。
 舛添「攻めの雇用政策(東京の経済成長による雇用の創出、ワークライフ・バランスの推進、職業能力開発の充実、女性の再就職支援、障がい者の就労支援、正規雇用者と非正規雇用者の格差是正など)」
 「国家戦略特区を活用し、同一労働同一賃金の実現を目指すとともに、ハローワークは、国から都へ移管し、民間の職業紹介とも合わせてきめ細かな就業支援を実現します。また医療、介護、保育、教育などの都民生活に密接に関係する既得権のしがらみを断ち、国ができなかった思い切った改革を進めます。それぞれの分野で、新しいサービスの創出と産業としての発展につなげます」
http://hayariki.net/tosei/kaigo_tochiji.html
 介護する家族への支援については、宇都宮氏のみが公約で言及している。
 「認知症者の家族の支援を強化します。介護者が、人間として文化的な生活がすごせるように、休息(レスパイト)等の権利保障を促進します」

 保険料負担の軽減や生活困窮者への配慮については宇都宮氏のみが公約で言及している。
 「後期高齢者の保険料、国保保険料(税)、介護保険料の値下げをめざします」
 「公的保険料未払い者へ、財産の差押えを行っている区市があります。これらの区市に対して、財産差押えを止めるように働きかけます。これまで、地方税・公的保険料等の差押えを推奨してきた東京都の姿勢を転換して、生活実態に合わせた料金徴収政策に変えます」

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林田力Hayashida Riki
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